ビタミンAを、摂りすぎずに埋める

ビタミンA|成人男性 57 % 推奨量900に対して、平均512µgRAE 推奨量

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ビタミンAは、足りない側と、摂りすぎる側の両方に線がある数少ない栄養素です。

推奨量は30〜49歳で男性900µgRAE、女性700µgRAE。日本人の摂取量は20歳以上の平均で男性512µgRAE、女性471µgRAEです12。男性で約57%、女性で約67%。

一方で耐容上限量は2,700µgRAE。鶏レバー100gに14,000µgRAE入っています3。1食で上限の5倍です。

どれだけ足りていないか

ビタミンAの推奨量に対し、男性は900µgRAEに対し512、女性は700µgRAEに対し471
30〜49歳の推奨量と、20歳以上の摂取量の平均値12。
ビタミンAの推奨量(µgRAE/日)と、実際の摂取量
男性 女性
推奨量 18〜29歳 850 650
推奨量 30〜49歳 900 700
推奨量 50〜64歳 900 700
実際(20歳以上の平均) 512 471
実際(20〜29歳) 394 354
耐容上限量(18歳以上) 2,700

この栄養素は、上下の幅が狭いのが特徴です。推奨量900に対して上限2,700。3倍しかありません。カルシウムが推奨量750に対して上限2,500(3.3倍)、ビタミンDが目安量9.0に対して上限100(11倍)なのと比べると、余裕が小さい側です。

上限は、どう作られたか

食事摂取基準の報告書に、計算の過程が書かれています。

成人では肝臓へのビタミンAの過剰蓄積による肝臓障害を指標にし、最低健康障害発現量を13,500µgRAE/日とした。不確実性因子を5として耐容上限量は2,700µgRAE/日とした2

13,500を5で割って2,700。この「5」が不確実性因子です。食品添加物の一日摂取許容量が100で割って作られているのと同じ考え方で、割る数が違います。

報告書は、過剰摂取による健康障害が報告されているのは「サプリメントを大量に摂取した場合や動物の肝臓を大量に摂取した場合である」としています2。

野菜からは、過剰にならない

ここが、この栄養素のいちばん重要な区別です。

報告書は、こう書いています。プロビタミンA(カロテノイド)からビタミンA(レチノイド)への変換は厳密に調節されており、必要に応じて体内でビタミンAに変換される。つまり、カロテノイドを大量に摂取しても過剰症を生じるレベルまでレチノイドに変換されることはない2。

そのため耐容上限量はレチノイドに対してのみ定められ、プロビタミンA(カロテノイド)は含まれていません2。

2つの入り方
主な食品 上限の対象か
レチノイド レバー、うなぎ、卵、乳製品 対象。2,700µgRAE
プロビタミンA(β-カロテンなど) にんじん、かぼちゃ、ほうれんそう 対象ではない

「にんじんを食べすぎるとビタミンAが過剰になる」ということは起きません。変換のほうが調節されているからです。

どの食品に、どれだけ入っているか

日本食品標準成分表(八訂)増補版の値です。可食部100gあたり、レチノール活性当量3。

ビタミンAの含有量(µgRAE/100g)
食品 100gあたり 1回分のめやす
鶏レバー(生) 14,000 50gで7,000(上限の2.6倍)
豚レバー(生) 13,000 50gで6,500
うなぎ かば焼 1,500 1/2尾50gで750
にんじん(皮つき、生) 720 1/3本50gで360
ほうれんそう(生) 350 1食70gで245
プロセスチーズ 250 1切れ20gで50
西洋かぼちゃ(生) 210 1食80gで168
鶏卵(全卵、生) 210 1個50gで105

レバーだけが、2桁違います。鶏レバー50gで7,000µgRAE。耐容上限量2,700の2.6倍です。

ただし耐容上限量は毎日その量を続けた場合の基準です。たまに食べることを問題にしているのではありません。報告書も「大量に摂取した場合」と書いています。

妊娠中は、別に読む必要がある

報告書は、妊婦について別の計算をしています。

ビタミンA過剰摂取による胎児奇形の報告をもとに、健康障害非発現量を4,500µgRAE/日、不確実性因子を1.5とすると、付加量も含めた耐容上限量は3,000µgRAE/日となるが、成人と同じ2,700µgRAE/日を参考とすることが望ましい2。

そして推奨量の付加量は、妊娠初期+0、中期+0、後期のみ+80µgRAEです2。

妊娠中にレバーを避けるよう言われることがあるのは、この計算が背景にあります。β-カロテンの側は対象ではないので、にんじんやかぼちゃは別の話です。

検査結果の「不足」欄にビタミンAが出たら

集団としては足りていません。特に20代は推奨量の4〜5割です。

RESONA-LABの結果報告書は、ビタミンAの「解毒への関与」として「腸管バリアを維持し、有害物質の侵入を防ぐ」と記しています4。

ビタミンAが腸の粘膜の維持に関わることは、報告書も「皮膚や粘膜を守り、免疫を支える」として挙げています2。ただし「増やせば有害物質の侵入が減る」と人で確かめられた手順は見当たりません。

足りない分を埋める理由は、そちらではなく、視覚機能・成長・細胞分化・免疫という基本的な役割のほうにあります。

今日できること

緑黄色野菜を1品入れる。にんじん1/3本で360µgRAE、ほうれんそう1食で245µgRAE。足りない分(男性で約390µgRAE)の半分から全部が埋まります。

そしてこちらは、上限を気にしなくていい側です。β-カロテンの変換は調節されています。

レバーで埋めようとすると、逆の問題が出ます。「足りないなら、いちばん多く入っているものを」という発想が通用しない、数少ない栄養素です。

埋めるなら、にんじん・かぼちゃ・青菜の側です。こちらはβ-カロテンとして入り、必要な分だけビタミンAに変換されます。だから、この経路では過剰症が問題になりません。

気をつける対象は2つだけです。動物のレバーを続けて食べること、そしてビタミンAを含むサプリメントを重ねること。裏を返せば、野菜から埋めるぶんには数えなくて済みます。

参考文献・参考資料

  1. 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」表3・表4 栄養素等摂取量 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
  2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ビタミン(脂溶性ビタミン)ビタミンAの食事摂取基準 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316466.pdf
  3. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補版」本表 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html 1回分のめやすは、成分表の値から計算したものです。
  4. RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による https://resona-lab.com/humans

本記事は公的資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品・サプリメントの効果を示すものでも、摂取を勧めるものでも、避けるよう勧めるものでもありません。妊娠中・妊娠の可能性のある方、ビタミンA誘導体を含む薬を使用中の方は、個別の指示が優先されます。

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