カテゴリー: 栄養・食

  • サラダ油とは?中身・健康面・選び方

    サラダ油とは?中身・健康面・選び方

    「サラダ油は体に悪い」と聞くことがあります。でも、そもそもサラダ油とは何なのでしょうか。実は、特定のひとつの油を指す名前ではありません。

    何からつくられているのか、なぜこれほど家庭に普及したのか。そこから見ていくと、健康面でどう考えればいいのかも分かりやすくなります。

    サラダ油とは何か

    サラダ油は、オリーブ油や米油のように、原料そのものを表した名前ではありません。

    なたね、大豆、とうもろこし、こめぬか、ごまなどからつくられた植物油のうち、一定の基準を満たしたものが「サラダ油」と呼ばれます1。

    サラダ油の原料例(なたね、大豆、とうもろこし、こめぬか、ごま)

    「サラダ油」という植物があるわけではありません。

    実際の商品を見ると、「食用なたね油」「食用大豆油」など、使われている原料はそれぞれ違います。

    なぜサラダ油はこれほど普及したのか

    サラダ油が家庭に広く普及したのは、健康面で特別な油だったからではありません。

    価格を抑えやすく、クセが少なく、さまざまな料理に使いやすかったことが大きな理由です。

    さらに、家庭用の油に使われるなたねは、そのほとんどが輸入です。農林水産省の資料によると、油をしぼるためのなたねは年間200万トン程度が供給されていて、国産はそのうち0.1〜0.2%。主な輸入先はカナダと豪州です2。

    日本の油糧用なたねの供給量と、カナダ・豪州を中心とした輸入先

    海外産だから健康に悪い、という意味ではありません。重要なのは、大量に調達できる原料を使うことで、価格を抑えながら安定して供給しやすいということです。

    複数の植物油を組み合わせた商品もあります。こうした価格・供給・使いやすさのバランスによって、サラダ油は家庭の定番として広く使われるようになりました。

    キャノーラ油とサラダ油は違うのか

    スーパーでは「サラダ油」と並んで「キャノーラ油」もよく見かけます。この2つは、まったく別のものではありません。

    キャノーラ油は、なたねからつくられる油です。なたねの中でも、油の成分を改良した品種がキャノーラと呼ばれています。規格の上では食用なたね油にあたり、基準を満たせばサラダ油としても売られます1。

    サラダ油は大きなカテゴリー。
    キャノーラ油はその中の具体的な油のひとつ。

    健康面では何を見ればいいのか

    健康面で油を見るときは、油の名前ではなく、中身を見ます。

    中身は原料によって変わります。その中身をつくっているのが、脂肪酸です。脂肪酸とは、油をつくっている主な成分のことです。

    脂肪酸は大きく、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。バターや脂身の多い肉に多いのが飽和脂肪酸、植物油や魚に多いのが不飽和脂肪酸です。これまでの研究では、飽和脂肪酸の一部を不飽和脂肪酸に置き換えることが、心臓や血管の健康に有利だと示されています3。

    飽和脂肪酸の一部を不飽和脂肪酸に置き換えることで、心臓や血管の健康に有利とされることを示した図

    米油やオリーブ油と比べるとどうなのか

    では、サラダ油の原料になる油は、米油やオリーブ油と比べてどう違うのでしょうか。

    まずは、健康との関係がよく研究されている脂肪酸の構成を比べてみます。

    なたね油・大豆油・とうもろこし油・米油・オリーブ油の脂肪酸構成比を比べたグラフ

    比べてみると、サラダ油の原料としてよく使われるなたね油は、米油より飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸の割合は高めです。

    一方、大豆油やとうもろこし油は、なたね油やオリーブ油とは脂肪酸のバランスがかなり違います。

    つまり、「サラダ油」という名前だけでは、中身の特徴は分かりません。

    実際に選ぶときは、何の油が使われているか、その原料がどこ産なのかを見ます。

    選ぶときは、裏面を見る

    スーパーで迷ったら、まず商品の裏面を確認します。

    見るのは主に2つです。

    原材料名

    「食用なたね油」「食用大豆油」「食用とうもろこし油」など、実際に何の油が使われているかを確認します。

    原料原産地表示

    表示されている場合は、原料がどこで作られたものかも確認できます。

    健康を意識して選ぶなら、「サラダ油かどうか」ではなく、「何の油で、どこ由来なのか」を見る。

    これだけでも、選び方はかなり変わります。

    参考文献・参考資料

    1. 農林水産省「日本農林規格 食用植物油脂」JAS 0523:2024 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_standard/attach/pdf/index-386.pdf
      「サラダ油」は油の名前ではなく等級名。原料ごとに「なたねサラダ油」「大豆サラダ油」などがある。3.17 食用調合油は「2以上の油を調合した油」、3.8 食用なたね油は「あぶらな又はからしなの種子から採取した油」
    2. 農林水産省 農産局地域作物課「なたねをめぐる状況について」令和8年2月 https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/attach/pdf/soba.natane-15.pdf
      油糧用なたねの供給量は年間200万トン程度で、ほとんどを輸入に依存。国産は3〜4千トン程度(供給量の0.1〜0.2%)。主な輸入先はカナダ及び豪州
    3. 2026 Dietary Guidance to Improve Cardiovascular Health: A Scientific Statement From the American Heart Association. Circulation. doi:10.1161/CIR.0000000000001435
      飽和脂肪酸の摂取源を多価不飽和脂肪酸に置き換えることが冠動脈疾患リスクの低下と関連する、としている

    me:LABは、RESONA-LABとサプリメントを提供する株式会社bio medicalが運営しています(運営について)。本記事は公的資料と査読済み文献の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の商品・製法の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。

  • 亜麻仁油とは?特徴・健康面・使い方

    亜麻仁油とは?特徴・健康面・使い方

    亜麻仁油は、植物からオメガ3を摂るほぼ唯一の選択肢です。ただし魚のオメガ3と同じ扱いはできません。その差がどこから来るのかと、実際の使い方を整理します。

    α-リノレン酸が、桁違いに多い

    脂質1gあたりのα-リノレン酸(ALA)が56.7%。ほかの4種は0.3〜6.8%ですから、比率が2桁違います1。

    α-リノレン酸の割合(脂質1gあたり)
    油 α-リノレン酸
    亜麻仁油 56.7%
    米油 1.2%
    オリーブ油 0.6%
    ごま油 0.3%
    サラダ油(調合油) 6.8%

    ALAは、体の中で作れない必須脂肪酸のひとつです。厚生労働省の食事摂取基準は「n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸は、体内で合成できず、欠乏すると皮膚炎などが発症する。したがって、これらは必須脂肪酸である」と書いています2。食べ物から入れるしかない、ということです。

    魚のオメガ3とは、同じものではない

    ここが、この記事でいちばん大事なところです。「オメガ3」とひとくくりにされますが、ALAとEPA・DHAは別の物質です。ALAは亜麻仁油などの植物油に、EPAとDHAは魚に多く含まれます。

    体の中でALAからEPA・DHAを作ることはできます。ただし、その効率がはっきり低いことが分かっています。

    ALAからの変換率(ヒトで測られたもの)
    対象 EPAへ DHAへ
    若い女性3 21% 9%
    若い男性4 変換は確認された(割合の算出なし) 検出されず

    出典:Burdge GC ら / British Journal of Nutrition 200234

    男性を対象にした試験では、21日間追跡してもDHAの標識が検出されませんでした。著者は「成人男性がALAをDHAに変換する能力は非常に低いか、存在しない」と書いています4。

    さらに、変換は食事の中身にも左右されます。オメガ6の多い食事では、変換が4〜5割減ると報告されています。

    出典:Gerster H / International Journal for Vitamin and Nutrition Research 19985

    健康アウトカムでも、差が出ている

    血中濃度と病気の関係を調べた大規模な解析でも、ALAとEPA・DHAは同じ結果になっていません6。

    ここから言えるのは、「亜麻仁油を摂れば魚を食べたのと同じことになる」とは言えない、ということです。逆に、ALAに意味がないという話でもありません。必須脂肪酸であることは変わりませんし、植物性の食事でオメガ3を摂る手段としては現実的に他にほぼありません。

    加熱に向かない理由

    熱に弱い多価不飽和脂肪酸が71.2%。5種類のなかで突出しています1。オリーブ油の7.2%と比べると10倍です。

    二重結合が多い脂肪酸ほど酸素と反応しやすく、熱でその反応が速くなります。だから亜麻仁油は、炒め物にも揚げ物にも使いません。

    保存と摂り方

    亜麻仁油の扱い
    どうするか
    使い方 ドレッシング、ヨーグルト、スープや料理の仕上げにかける。火を通さない
    保存 開封後は冷蔵。光と空気で傷むので、遮光容器のまま、しっかり栓をする
    容量 小さい瓶を選ぶ。開けてから時間が経つほど傷む
    使い切る目安 商品ごとの表示に従う。においや味が変わったら使わない

    注意点

    「オメガ3を摂っているから魚は要らない」という置き換えはできません。変換率の話がそのまま効いてきます。魚を食べる習慣があるなら、亜麻仁油はその代わりではなく、別の枠として考えるほうが実態に合います。

    もうひとつ。亜麻仁油は「足す」油であって、「置き換える」油ではありません。炒め物の油を亜麻仁油に替えることはできないので、日常の調理油とは役割が分かれます。

    次に読むなら:

    参考文献・参考資料

    1. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 脂肪酸成分表編」第3表 脂質1g当たりの脂肪酸成分表。mg/g脂質を%に換算 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
    2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 脂質(1-2 機能) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316463.pdf
    3. Burdge GC, Wootton SA. Conversion of alpha-linolenic acid to eicosapentaenoic, docosapentaenoic and docosahexaenoic acids in young women. Br J Nutr. 2002;88(4):411-20. PubMed 12323090
      女性6人に標識したALA 700mgを投与し21日追跡。推定正味変換率は EPA 21%・DPA 6%・DHA 9%
    4. Burdge GC, Jones AE, Wootton SA. Eicosapentaenoic and docosapentaenoic acids are the principal products of alpha-linolenic acid metabolism in young men. Br J Nutr. 2002;88(4):355-63. PubMed 12323085
      男性6人に同じ方法で投与。血漿のどの脂質分画でもDHAの標識が検出されなかった
    5. Gerster H. Can adults adequately convert alpha-linolenic acid (18:3n-3) to eicosapentaenoic acid (20:5n-3) and docosahexaenoic acid (22:6n-3)? Int J Vitam Nutr Res. 1998;68(3):159-73. PubMed 9637947
      飽和脂肪の多い食事を背景にした場合、長鎖代謝物への変換はEPA約6%・DHA約3.8%。n-6系多価不飽和脂肪酸の多い食事では変換が40〜50%減少
    6. Omega-3 polyunsaturated fatty acid biomarkers and risk of type 2 diabetes, cardiovascular disease, cancer, and mortality. Clin Nutr. 2022;41(8):1798-1807. PubMed 35830775

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  • ごま油とは?特徴・健康面・使い方

    ごま油とは?特徴・健康面・使い方

    ごま油を選ぶときの実際の分かれ目は、香りをつけたいかどうかです。健康目的で語られることもありますが、根拠の厚みはオリーブ油や米油に届きません。何が分かっていて、何が分かっていないかを整理します。

    ごま油には3つの等級がある

    日本農林規格(JAS)は、食用ごま油を「ごまから採取した油」と定義したうえで、3つの等級を置いています1。

    JASの等級(食用ごま油)
    区分 一般状態 酸価
    ごま油 いりごま特有の香味を有し、おおむね清澄 4.0以下
    精製ごま油 清澄で、香味良好 0.20以下
    ごまサラダ油 清澄で、舌触りよく、香味良好 0.15以下

    出典:農林水産省「日本農林規格 食用植物油脂」JAS 0523:20241

    いちばん上の「ごま油」だけ、要件に「いりごま特有の香味」が入っています。これが、いわゆる焙煎ごま油です。酸価の上限が4.0と他の2つより緩いのは、品質が低いからではなく、香りを残すために精製を強くかけていないからです。

    太白ごま油との違い

    店頭で見かける「太白ごま油」は、ごまを煎らずに生のまま搾った油です。九鬼産業は自社の太白純正胡麻油について「ごまを煎らず、そのまま搾る」製法だと説明しています2。焙煎しないので色がほとんどなく、ごま油らしい香りもありません。

    つまり太白ごま油は「香りのないごま油」です。ごま油を選ぶときの実際の分かれ目は、健康成分ではなく、香りを付けたいかどうかです。

    脂肪酸で見ると、標準的な植物油

    ごま油は、脂肪酸の構成で見るかぎり標準的な植物油です。オリーブ油のように、一方へ大きく偏ってはいません。

    中身は、加熱で傷みにくいオレイン酸と、体内で作れないため食事からとる必要があるリノール酸が、ほぼ半々3。魚に多いn-3系脂肪酸はごくわずかで、ごま油はその供給源にはなりません。

    ごま油の特徴は、脂肪酸ではなく別の成分にあります。

    セサミンなどのリグナン

    ごまの成分として名前が挙がるのはセサミンやセサモリンです。リグナンと呼ばれる、ごまに多い成分の仲間です。ただし、ここで扱いに注意が要ります。

    研究の多くは「ごま油」ではなく「ごま」や、そこから取り出した成分を摂った試験です。下に挙げるメタ解析も、介入の中身は「ごまの摂取」であって、調理油としてのごま油ではありません4。

    ヒトで確かめられていること

    読み方を分けます。

    言えること:2型糖尿病の人がごまを摂った試験で、血中脂質の数値が下がりました。

    言えないこと:健康な人が調理でごま油を使って同じことが起きる、とは言えません。対象も介入の形も違います。試験数も10と限られています。

    加熱に向くか

    炒め物に使って問題のない範囲です。熱に弱い脂肪酸の割合は、米油より多く、大豆油より少ない位置にあります3。

    ただし、焙煎ごま油を高温で長く加熱すると香りが飛びます。香りが目的なら、火を止めてから回しかけるほうが活きます。加熱調理をがっつりやるなら、香りのない太白ごま油のほうが向いています。

    ごま油を、どう位置づけるか

    エビデンスの厚みでは、オリーブオイルや米油に届きません。健康のためにごま油を増やす、という使い方には根拠が足りていません。

    そのうえで、ごま油の役割は香りです。これは劣っているという意味ではありません。他の油で代えられない機能を持っている、ということです。ナムル、中華の仕上げ、和え物。ここでごま油の代わりになる油はありません。

    実務的にはこうなります。香りをつけたいときに使う。健康のために量を増やすことは考えない。それで十分です。

    次に読むなら:

    参考文献・参考資料

    1. 農林水産省「日本農林規格 食用植物油脂」JAS 0523:2024(3.7 食用ごま油、表7 食用ごま油の等級ごとの品質基準) https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_standard/attach/pdf/index-386.pdf
    2. 九鬼産業株式会社「九鬼太白純正胡麻油」製品ページ(製法の記述) https://www.kuki-info.co.jp/products/sesame_oil/kuki_taihaku.html
    3. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 脂肪酸成分表編」第3表 脂質1g当たりの脂肪酸成分表。mg/g脂質を%に換算 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
      ごま油はリノール酸40.9%、オレイン酸37.3%、α-リノレン酸0.3%。多価不飽和脂肪酸の割合は、ごま油41.2%、米油33.3%、大豆油55.8%
    4. Vajdi M, et al. Effect of sesame supplementation on body composition and lipid profile in patients with type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2024;34(4):838-849. PubMed 38316576

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  • オリーブオイルとは?特徴・健康面・使い方

    オリーブオイルとは?特徴・健康面・使い方

    オリーブオイルは、食用油のなかで健康アウトカムのデータがいちばん厚い油です。ただし「エキストラバージン」という言葉が何を保証しているかは、あまり知られていません。選ぶときに見る場所から整理します。

    まず、等級の話から

    「エキストラバージン」は、日本の規格には存在しない言葉です。

    日本農林規格(JAS)が定めている食用オリーブ油の等級は2つしかありません。「オリーブ油」と「精製オリーブ油」です1。

    JASの等級(食用オリーブ油)
    区分 一般状態 酸価
    オリーブ油 オリーブ特有の香味を有し、おおむね清澄 2.0以下
    精製オリーブ油 おおむね清澄で、香味良好 0.60以下

    では「エキストラバージン」はどこから来ているかというと、国際オリーブ理事会(IOC)の通商規格です。そこでは、遊離酸度(オレイン酸として100gあたりのグラム数)で区分されています2。

    IOCの区分(遊離酸度)
    区分 遊離酸度
    エキストラバージンオリーブ油 100gあたり0.8g以下
    バージンオリーブ油 100gあたり2.0g以下
    精製オリーブ油 100gあたり0.3g以下

    出典:International Olive Council, Trade Standard 20252

    ここで大事なのは、バージンオリーブ油は、機械的な手段だけで搾った油だという点です。熱や溶剤で中身を変える処理をしていません。だから果実に入っていた香り成分やポリフェノールがそのまま残ります。精製オリーブ油の酸度が低いのは品質が上ということではなく、精製の工程で遊離脂肪酸を取り除いているからです。

    つまり数字の低さで並べても意味がありません。見るのは「バージンかどうか」です。

    脂肪酸は、はっきり偏っている

    脂質1gあたりのオレイン酸が73.1%。5種類の食用油のなかで突出しています。米油が39.1%、ごま油が37.3%ですから、倍近い差です。

    出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 脂肪酸成分表編3

    健康アウトカムのデータ

    ほかの食用油と決定的に違うのはここです。血液の数値ではなく、病気そのものの発生を数えた大規模試験があります4。

    ただし、この試験の読み方には2つ条件があります。

    1つめ。調べられたのは「EVOOという油」ではなく、「EVOOを足した地中海食」です。野菜、豆、魚、ナッツを含む食事全体が介入の中身でした。油だけを取り出した効果ではありません。

    2つめ。対象は心血管リスクの高い55〜80歳でした。もともとリスクが低い人に同じ数字が当てはまるとは限りません。

    それでも、食用油でここまでのデータを持つものは、現時点でほかにありません。「いちばん厚い」というのは、そういう意味です。

    加熱してよいのか

    「EVOOは加熱に向かない」とよく言われます。脂肪酸の組成から見ると、これは逆です。

    熱に弱い多価不飽和脂肪酸の割合は、オリーブ油が7.2%。米油33.3%、ごま油41.2%、亜麻仁油71.2%と比べて、5種類のなかでいちばん少ない油です3。酸化のしやすさという点では、むしろ加熱向きの側にいます。

    混同されているのは、別の2つの話です。

    「加熱に向かない」と言われるときの2つの話
    話 中身
    酸化しやすいか 多価不飽和脂肪酸が7.2%と少ない。酸化しにくい側
    風味と成分が残るか 高温では香りとポリフェノールが飛ぶ。高いEVOOを揚げ物に使うのは、その分が無駄になる

    つまり「体に悪くなるから加熱するな」ではなく、「もったいないから生で使うほうが活きる」という話です。炒め物に使って差し支えはありません。

    選ぶときに見る場所

    ラベルで見るところ
    見るもの なぜ
    「エキストラバージン」の表示 機械的に搾っただけの油かどうか。精製オリーブ油とは中身が違う
    遮光された容器 光で傷む。透明な瓶のまま棚に置かない
    使う量と容量が合っているか 開けてからは空気に触れ続ける。使い切れる大きさを選ぶ

    ひとつ注意があります。日本のJASには「エキストラバージン」の等級がないため、この表示は国内の公的基準で担保されたものではありません1。IOCの基準に沿った輸入品かどうかは、商品ごとに確かめるしかないのが実情です。

    どう使えばいいか

    データのいちばん厚い油なので、使う量を増やしたいなら生食から始めるのが現実的です。サラダ、スープの仕上げ、パン。香りが立つ使い方のほうが、量も自然に増えます。

    そして忘れないほうがいいのは、PREDIMEDが調べたのが食事全体だったということです。油を1本替えるより、何の代わりに使うかのほうが先に効きます。

    次に読むなら:

    参考文献・参考資料

    1. 農林水産省「日本農林規格 食用植物油脂」JAS 0523:2024(3.11 食用オリーブ油、表11 食用オリーブ油の等級ごとの品質基準) https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_standard/attach/pdf/index-386.pdf
    2. International Olive Council. Trade Standard Applying to Olive Oils and Olive Pomace Oils(COI/T.15/NC No 3/Rev. 21, 2025) TRADE-STANDARD-REV-21
      遊離酸度はオレイン酸として100g当たりのグラム数で表す。バージンオリーブ油は、果実から機械的または物理的な手段のみで得られた油と定義されている
    3. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 脂肪酸成分表編」第3表 脂質1g当たりの脂肪酸成分表。mg/g脂質を%に換算 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
    4. Estruch R, et al. Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet Supplemented with Extra-Virgin Olive Oil or Nuts. N Engl J Med. 2018;378(25):e34. PubMed 29897866(2013年版は手順の逸脱により撤回、再解析のうえ再出版)

    me:LABは、RESONA-LABとサプリメントを提供する株式会社bio medicalが運営しています(運営について)。本記事は公的資料と査読済み文献の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の商品・製法の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。脂質異常症などで食事の指示を受けている方は、個別の指示が優先されます。

  • 米油とは?特徴・健康面・使い方

    米油とは?特徴・健康面・使い方

    米油は、米そのものではなく、精米のときに出る「米ぬか」から作られる油です。クセが少なく、炒め物にも揚げ物にも使えます。

    一方で、健康面ではオリーブ油やなたね油と何が違うのか、店頭の表示だけでは分かりません。ここでは、ほかの油と比べながら整理します。

    米油は何から作られる?

    米油の原料は、玄米を精米するときに出る「米ぬか」です1。

    普段食べている白米をつくる過程で取り除かれる部分から、油を取り出して作られています。

    ほかの油と何が違う?

    オリーブ油は研究実績。
    なたね油は脂肪酸構成。
    米油は国産原料と米ぬか由来成分。

    これが、3つの油を比べるときの大きな違いです。

    • オリーブ油:心臓・血管との関係を調べた研究が多い
    • なたね油:飽和脂肪酸が少なく、n-3系脂肪酸も含む
    • 米油:脂肪酸は中間的で、国産原料の商品が多く、γ-オリザノールなど米ぬか由来成分を含む

    農林水産省も、米油を「国産原料による生産という点で、ほぼ唯一の油」としています3。

    脂肪酸(油をつくっている主な成分)の違いは、下の図を見ると一目で分かります2。

    オリーブ油、なたね油、大豆油、米油の脂肪酸構成比を比較したグラフ

    米油ならではの成分

    農林水産省は、米ぬかとこめ油について3つの成分を挙げています3。

    γ-オリザノール

    米ぬかに特徴的に含まれる成分です。農林水産省は「一般的な植物油には含まれていません」と書いています。米油をほかの植物油と分けている成分が、これです。

    米ぬかに含まれるγ-オリザノールと、脂質・コレステロールとの関係を示した図

    植物ステロール

    コレステロールと似た構造を持ち、腸でのコレステロールの吸収に関係する成分です。植物油には広く含まれますが、農林水産省はこめ油に「とくに豊富に含まれている」としています。

    トコトリエノール

    ビタミンEの仲間で、酸化から守る働きが研究されている成分です。

    では、これらを含む米油を実際に食べた人で、何が確かめられているのか。

    健康面では何が分かっている?

    人を対象にした研究では、米ぬか・米油をとった人で、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪が下がったとする解析があります4。いずれも健康診断の血液検査でおなじみの項目です。

    2024年の解析では、11の比較試験・572人をまとめた結果、これらの血中脂質の改善が報告されました。

    つまり米油は、「なんとなく体によさそう」というだけではなく、血中脂質については人を対象にした研究でも改善が確認されている油です。

    毎日の調理油として使いやすいことに加えて、こうした研究結果があることも、米油が評価される理由のひとつです。

    加熱調理には向いている?

    米油は、炒め物や揚げ物など、普段の加熱調理に使いやすい油です。理由は、加熱への強さ・価格・風味のバランスにあります。

    米油の加熱への強さ、価格、風味のバランスを示した図

    加熱への強さは、熱に弱い種類の脂肪酸をどれだけ含むかで、ある程度決まります。その割合で並べると、米油は大豆油やごま油より少なく、オリーブ油よりは多いという位置です2。亜麻仁油は米油の倍以上を含み、加熱には向きません。

    ただし、熱に弱い脂肪酸が少なければ必ず加熱に強い、というほど単純ではありません。加熱の温度や時間、油の精製のしかたでも変わります。

    「圧搾」は選ぶ基準になる?

    米油のつくり方は、大きく分けると圧搾と溶剤抽出があります。

    圧搾は、米ぬかを物理的に搾って油を取り出す方法です。

    一方、一般的な米油では、米ぬかから効率よく油を取り出すために溶剤を使って抽出し、その後に精製する工程が使われます5。

    違いは、下の図を見ると分かります。

    米油の圧搾と溶剤抽出の製造工程を比較した図

    製法まで気にして選ぶなら、商品表示やメーカー情報で、圧搾か抽出かを確認できます。

    米油をどう見るか

    米油は、脂肪酸だけで突出した油ではありません。

    一方で、国産原料の商品が多いこと、米ぬか由来の成分を含むこと、クセが少なく加熱調理に使いやすいことが重なり、日常使いの油として評価されています。

    オリーブ油のように研究実績が強い油、なたね油のように脂肪酸構成に特徴がある油とは、強みの場所が違います。

    米油は、「毎日使いやすいこと」と「原料・成分まで見て選びやすいこと」が特徴の油です。

    参考文献・参考資料

    1. 農林水産省「日本農林規格 食用植物油脂」JAS 0523:2024 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_standard/attach/pdf/index-386.pdf
      3.9 食用こめ油を「こめぬかから採取した油であって、食用に適するよう処理したもの」と定義
    2. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 脂肪酸成分表編」第3表 脂質1g当たりの脂肪酸成分表 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
      米ぬか油はオレイン酸391mg・リノール酸321mg・α-リノレン酸12mg/脂質1g。多価不飽和脂肪酸の割合は亜麻仁油71.2%、大豆油55.8%、ごま油41.2%、米油33.3%、オリーブ油7.2%
    3. 農林水産省「米ぬかとこめ油」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/okome_summary/04/functio_nality_07.html
      γ-オリザノール・植物ステロール・トコトリエノールの記述。ヒト試験の結果としてではなく、成分の説明として書かれている。トコトリエノールの抗酸化力については「といわれる」と伝聞の形で書かれている
    4. Park S-y, Kim Y, Park MJ, Kim JY. Rice Bran Consumption Improves Lipid Profiles: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Nutrients. 2024. PMC11723186
      11のランダム化比較試験・572人。評価しているのは血中脂質で、心筋梗塞や脳卒中などの発症は見ていない
    5. 一般社団法人 日本植物油協会「用語集」搾油・圧搾・抽出の項 https://www.oil.or.jp/yougo/
      圧搾は油分を多く含む原料に行う工程だが、圧搾後の原料にはまだ多くの油分が残るため、さらに溶剤抽出で採取する、としている

    me:LABは、RESONA-LABとサプリメントを提供する株式会社bio medicalが運営しています(運営について)。本記事は公的資料と査読済み文献の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の商品・製法の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。脂質異常症などで食事の指示を受けている方は、個別の指示が優先されます。

  • 健康のための油の選び方 ― 米油・オリーブ油・ごま油・亜麻仁油・サラダ油を比較

    健康のための油の選び方 ― 米油・オリーブ油・ごま油・亜麻仁油・サラダ油を比較

    「油は太りやすいから減らしたほうがいい」とも、「良い油は摂ったほうがいい」とも言われます。では、油は減らすべきなのか、選んで摂るべきなのか。まず、そこから整理します。

    なぜ健康のために油を選ぶのか

    油というと、「脂質が多い」「太りやすい」という印象を持つ人も多いと思います。

    一方で最近は、フィッシュオイルやオメガ3脂肪酸のサプリメントを見かける機会も増えました。

    ドラッグストアの棚に並ぶ、EPA・DHA・オメガ3をうたったサプリメントの商品パッケージ

    なぜ、避けた方がよさそうな「油」が、健康のために摂るものとしても注目されているのでしょうか。

    理由のひとつは、

    油が単なるカロリーではないからです。

    脂質は、細胞をつくったり、体内で作れない脂肪酸を補ったりするために必要な栄養素です。

    そして健康を考えるときは、「どれだけ油を摂るか」だけでなく、

    「どんな脂肪酸を摂るか」

    も大切だと分かってきています。

    出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」脂質1

    油をつくっている主な成分を、脂肪酸といいます。そのひとつが、オメガ3脂肪酸のEPAです。魚に多く含まれています。

    日本人を約10年追跡した研究では、血液中のEPAが少ない人は、多い人に比べて、がんで亡くなるリスクが約2倍でした。

    出典:久山町研究 / Journal of Epidemiology 20172

    この久山町研究は、医師の南雲吉則先生もYouTubeで取り上げています。


    また、油は種類によって健康への影響が違います。

    たとえば、飽和脂肪を不飽和脂肪に置き換えること。つまり、バターや脂身の多い肉に多い脂を、オリーブ油や魚に多い脂へ替えることです。これで心臓や血管の病気が起きにくくなることが、多くの研究で示されています。

    出典:American Heart Association, Dietary Guidance, 20263

    油と健康に関する研究を4つ並べて整理した図解

    油は、健康を考えるうえで無視できない栄養です。

    実際に、脂肪酸の種類によって健康との関係が変わることも分かってきています。

    だからこそ大切なのは、どんな油を選ぶかです。

    次に、油によって何が違うのかを見ていきます。

    油の違いを見るポイント

    油の違いを見る5つのポイント

    まず、家庭でもよく使われる「サラダ油」について

    実は、サラダ油はひとつの油の名前ではありません。

    なたね油、大豆油、コーン油など、一定の基準を満たした植物油が「サラダ油」として販売されています。そのため、商品によって原料も脂肪酸の構成も違います。

    つまり、「サラダ油だから体に悪い」「サラダ油なら全部同じ」と考えるのは正確ではありません。

    健康を意識して選ぶなら、「サラダ油」という名前ではなく、何の油が使われているかを見ることが大切です。

    サラダ油について詳しくはこちら

    では、それぞれの油は何が違うのでしょうか

    サラダ油は、ここまで見てきたように、複数の植物油を含む「カテゴリー」です。

    一方、今回比較する米油・オリーブ油・ごま油・亜麻仁油は、それぞれ異なる原料からつくられています。原料が違えば、油の中身も変わります。

    下のグラフを見ると、同じ植物油でも脂肪酸の構成がかなり違うことが分かります。

    オリーブ油・米油・ごま油・亜麻仁油の脂肪酸構成比

    つまり、健康面で注目される特徴も油によって違います。

    亜麻仁油は、健康目的で特に注目される脂肪酸を多く含みます。オリーブ油は、心血管の健康との関係について多く研究されています。米油やごま油にも、それぞれ特徴的な成分があります。

    どの油が自分に合うかは、健康目的によって変わります。

    それぞれの油の特徴については、各記事で詳しく紹介します。

    健康のための油選び

    油は、原料によって脂肪酸の構成や、健康面で注目される特徴が異なります。

    大切なのは、それぞれの特徴を知ったうえで、自分の健康目的に合わせて選ぶことです。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 脂質 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316463.pdf
      1-2 機能(p.105)および 3-3-2-1 目標量の策定方法(p.108)。目標量は20〜30%エネルギーで、下限の20%は必須脂肪酸の目安量を下回らないように算定されている
    2. Nagata M, Hata J, Hirakawa Y, et al. The ratio of serum eicosapentaenoic acid to arachidonic acid and risk of cancer death in a Japanese community: The Hisayama Study. J Epidemiol. 2017;27(12):578-583. PubMed 28669629
      40歳以上3,098人を平均9.6年追跡(がん死亡121人)。血清EPA/AA比の最低四分位(0.29未満)は最高四分位(0.60超)に対し、がん死亡のハザード比1.93(95%CI 1.15〜3.22、多変量調整後)。部位別では肝がんでのみ関連が見られ、ほかのがんでは見られていない。観察研究。著者の1名はEPA製剤を扱う持田製薬の所属
    3. 2026 Dietary Guidance to Improve Cardiovascular Health: A Scientific Statement From the American Heart Association. Circulation. doi:10.1161/CIR.0000000000001435
      飽和脂肪酸の摂取源を多価不飽和脂肪酸に置き換えることが冠動脈疾患リスクの低下と関連し、置き換え先が多価不飽和脂肪酸のときに心血管上の利益が最も大きい、としている。2021年版の更新
    4. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 脂肪酸成分表編」第3表 脂質1g当たりの脂肪酸成分表 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
    5. Estruch R, et al. Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet Supplemented with Extra-Virgin Olive Oil or Nuts. N Engl J Med. 2018;378(25):e34. PubMed 29897866
      7,447人・中央値4.8年。EVOOを加えた地中海食の群で、心筋梗塞・脳卒中・心血管死のハザード比0.69(95%CI 0.53〜0.91)。対象は心血管リスクの高い55〜80歳で、油だけを取り出した試験ではない。2013年版は手順の逸脱により撤回、再解析のうえ再出版

    me:LABは、RESONA-LABとサプリメントを提供する株式会社bio medicalが運営しています(運営について)。本記事は公的資料と査読済み文献の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の商品・製法の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。脂質異常症などで食事の指示を受けている方は、個別の指示が優先されます。

  • 甘味料を、どこまで気にすればいいか

    甘味料を、どこまで気にすればいいか

    2023年5月、WHOは「体重コントロールや非感染性疾患のリスク低減の手段として、非糖質甘味料を使用しないことを提案する」と出しました1。ただしこれは条件付き勧告で、根拠の確実性は「低い」と自ら評価しています1。

    そしてもう一つ。このガイドラインは安全性の評価を変えるものではありません。消費者庁の資料に、そう明記されています1。

    日本人が実際に摂っている量は、一日摂取許容量(ADI)の0.002〜0.25%でした1。

    WHOが出したのは、栄養のガイドラインだった

    2023年5月のガイドラインの目的は、資料にこう書かれています。遊離糖の摂取量を減らす手段としてNSS(非糖質甘味料)への関心が高まってきたことを受けた指針である、と1。

    消費者庁の資料は、性格をひとことでまとめています。「つまり、栄養摂取に係るガイドラインであると言える」1。

    対象範囲も限定されています。糖尿病の方は対象としない。そして「既に個別に設定されている安全量(ADI)の更新を意図するものではない」1。

    つまり「甘味料が危ない」と言った文書ではありません。砂糖を減らす手段として甘味料に置き換えることを勧めない、という文書です。

    勧告の強さと、根拠の確実性

    WHOの勧告には強さの段階があり、今回は条件付き勧告です1。

    根拠の確実性については、ガイドライン自身がこう書いています。

    エビデンス全体の確実性について低いと評価され、前向きコホート研究で観察された優先的な健康アウトカムに関してNSS使用の望ましくない効果に基づいているが、これらはエビデンスの確実性がそれぞれ非常に低い又は低いと評価された1

    もとになっているのは観察研究です。そして体重については、「短期的な摂取はグルコース代謝に影響を与えることが示唆されているが、体重減少や維持に長期的に有効かどうかは不明」とされています1。

    「エビデンスがある」と書かれていたときに確かめる三つのうち、ここでは「どれくらいの差なのか」が未確定のまま残っています。

    日本人が実際に摂っている量

    厚生労働省は、市場で売られている加工食品を買って混ぜ、含有量を測る方式で摂取量を推定しています。マーケットバスケット方式です。令和元年度の成人(20歳以上)の結果です1。

    非糖質甘味料の推定一日摂取量と対ADI比(令和元年度・成人20歳以上)1
    甘味料 推定一日摂取量 1人あたりの許容量 対ADI比
    ステビア抽出物 0.579 mg 235 mg 0.25%
    アセスルファムカリウム 1.779 mg 882 mg 0.20%
    スクラロース 0.752 mg 882 mg 0.09%
    サッカリン 0.144 mg 223 mg 0.06%
    アスパルテーム 0.055 mg 2,352 mg 0.002%
    ネオテーム 0.0002 mg 59 mg 0.0003%
    アドバンテーム 0 mg 294 mg 0%
    甘味料4種の対ADI比を並べた図。ステビア抽出物0.25%、アセスルファムK 0.20%、スクラロース0.09%、アスパルテーム0.002%
    1人あたりの一日摂取許容量は、ADIに成人の平均体重58.8kgを掛けて出しています1。いちばん高いステビア抽出物で、許容量の400分の1です。

    生産量から推定する別の方法でも算出されています。こちらは対ADI比で最大1.1%(サッカリンナトリウム)でした1。資料の結論はこうです。「いずれの調査結果においても、推定一日摂取量はADIよりも大幅に低い値であった」1。

    日本の制度は、どう動いたか

    WHOのガイドラインを受けて、日本でも甘味料の規格基準を変える必要があるかが検討されました。2024年11月28日の添加物部会の資料に、結論が書かれています1。

    WHOガイドラインは、NSSの食品添加物としてのリスク評価に変更を生じさせる内容ではなく、あくまでも公衆衛生上の見地から、その摂取方法や栄養学的な取扱いについて指針を示すものである。また、国内におけるNSSの摂取量推計によると、推定一日摂取量はADIよりも大幅に低い値であった。よって、NSSの各食品添加物の規格基準について見直す必要はないと考える1

    基準は変わっていません。変わっていない理由も、2つとも書かれています。

    読者の側に残る問い

    WHOが提案しているのは、甘味料を避けることではなく、甘味料を「砂糖を減らす手段」として当てにしないことです。ガイドラインは、遊離糖を減らすことや、ナトリウム・脂肪に関する他の指針とあわせて検討すべきだとしています1。

    そして原材料名の欄では、甘味料は「/」の右側に、用途名つきで書かれます。「甘味料(アセスルファムK、スクラロース)」のような形です。

    確かめられることは1つです。ふだん飲んでいるものの原材料名を見て、甘味料が何個入っているかを数える。数が分かれば、上の表で自分がどのあたりにいるかの見当がつきます。

    添加物の欄が該当したときの見方は、添加物はどう調べられているかに書いています。

    参考文献・参考資料

    1. 消費者庁 食品衛生基準審議会 添加物部会(令和6年11月28日)資料4「WHOの非糖質甘味料の使用に関するガイドラインと国内における非糖質甘味料の摂取量推計について」 https://www.caa.go.jp/policies/council/fssc/meeting_materials/assets/fscc_cms101_241203_02.pdf(原典:WHO “Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline” 2023年5月 https://www.who.int/publications/i/item/9789240073616)

    本記事は公的資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・成分の摂取を勧めるものでも、避けるよう勧めるものでもありません。糖尿病などで食事の指示を受けている方は、個別の指示が優先されます。

  • 12の栄養素を1つの表で並べて、手のつけ所を決める

    12の栄養素を1つの表で並べて、手のつけ所を決める

    銅は、日本人の摂取量が推奨量を上回っている栄養素です。

    推奨量は30〜49歳で男性0.9mg、女性0.7mg。実際は20歳以上の平均で男性1.18mg、女性1.03mg12。男性131%、女性147%です。

    検査が測る12の栄養素のなかで、この項目は足りていない前提から始める理由がいちばん薄いほうにあります。

    どのあたりにいるか

    銅の推奨量0.9mgに対し、男性の摂取量は1.18mgで上回っている
    30〜49歳の推奨量と、20歳以上の摂取量の平均値12。
    銅の推奨量(mg/日)と、実際の摂取量
    男性 女性
    推奨量 18〜29歳 0.8 0.7
    推奨量 30〜64歳 0.9 0.7
    推奨量 65歳以上 0.8 0.7
    実際(20歳以上の平均) 1.18 1.03
    実際(20〜29歳) 1.10 0.91
    耐容上限量(18歳以上) 7 7
    妊婦の付加量 — +0.1
    授乳婦の付加量 — +0.6

    男性で131%、女性で147%です。この媒体で扱った12の栄養素のなかで、上回っている幅がいちばん大きい項目になります。

    12の栄養素を、まとめて並べる

    ここまでの記事の数字を1つの表にします。「足りていない」は、栄養素によって全然違います。

    基準に対する充足率(20歳以上の平均)
    栄養素 男性 女性 方向
    ビタミンA 57% 67% 大きく足りない
    カルシウム 65% 73%
    マグネシウム 69% 81%
    ビタミンD 77% 69%
    カリウム(目標量に対して) 79% 84% やや足りない
    ビタミンC 90% 95%
    亜鉛 95% 95% ほぼ足りている
    鉄(男性・月経なし女性) 107% 120%
    ビタミンE 111% 110% 上回っている
    葉酸 121% 115%
    銅 131% 147%
    ナトリウム(食塩相当量) 143% 140% 減らす側

    1つの表にすると、どこに力を使えばいいかが決まります。12をまとめて心配する必要はありません。

    なお鉄については、月経のある女性だけ推奨量が10.0〜10.5mgに上がり、そこに対しては68〜72%になります。同じ栄養素でも、条件で答えが変わります。

    亜鉛と一緒に見る理由

    この栄養素には、他と違う事情があります。

    亜鉛を多く摂り続けると、銅の吸収が妨げられます。腸で吸収されるときに競合するためです。

    食事から両方を摂っているぶんには問題になりません。問題になるのは、サプリメントで片方だけ大量に摂ったときです。

    「増やすと不利になる場合がある」という項目が、判断の順番に入っているのは、こういう関係があるためです。1つの栄養素を足すことは、その栄養素だけの話ではありません。

    どの食品に、どれだけ入っているか

    日本食品標準成分表(八訂)増補版の値です。可食部100gあたり3。

    銅の含有量(mg/100g)
    食品 100gあたり 1回分のめやす
    ごま(いり) 1.68 大さじ1(9g)で0.15mg
    アーモンド(乾) 1.17 10粒15gで0.18mg
    かき(養殖、生) 1.04 5個60gで0.62mg
    ぶた 肝臓(生) 0.99 50gで0.50mg
    大豆(国産、乾) 0.96 —
    あおさ(素干し) 0.80 ひとつまみ2gで0.02mg
    糸引き納豆 0.61 1パック45gで0.27mg
    乾しいたけ(乾) 0.60 2枚6gで0.04mg
    にわとり 肝臓(生) 0.32 50gで0.16mg
    アボカド(生) 0.24 1/2個70gで0.17mg

    顔ぶれが、また同じです。ごま、アーモンド、大豆、納豆、かき。マグネシウム、亜鉛、カルシウムで出てきた食品と重なります。

    12の栄養素の供給源を並べると、レバー・ナッツ・豆類・魚・海藻の5つで10に関わっていました。銅もその中に入ります。

    検査結果の「不足」欄に銅が出たら

    集団としては、推奨量を上回っています。

    RESONA-LABの結果報告書は、銅の「解毒への関与」として「抗酸化酵素(SOD)の構成要素」と記しています4。

    SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)が銅と亜鉛を含む酵素であることは確立しています。ただし「銅を増やせば抗酸化が高まる」と人で確かめられた手順は見当たりません。

    また報告書は、銅の医師コメントを「鉄とのバランスが重要なミネラルです」としています。銅は鉄の利用を助ける側にあり、鉄の話とつながっています。

    今日できること

    この栄養素については、単独で動かす理由が薄いほうです。

    そして、動かす必要のあるカルシウム・マグネシウム・ビタミンA・ビタミンDのために選ぶ食品に、銅も一緒に入っています。

    12を1つずつ埋めようとするのではなく、重なっている食品を置く。この記事のいちばんの結論はそこです。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」表3・表4 栄養素等摂取量 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
    2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ミネラル(微量ミネラル)銅の食事摂取基準 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316469.pdf
    3. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補版」本表 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html 1回分のめやすは、成分表の値から計算したものです。
    4. RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による https://resona-lab.com/humans

    本記事は公的資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品・サプリメントの効果を示すものでも、摂取を勧めるものでもありません。銅の代謝に関わる疾患で治療中の方、亜鉛を含むサプリメントを長期に使用している方は、個別の指示が優先されます。

  • 減塩を、どこから始めれば効くか

    減塩を、どこから始めれば効くか

    ナトリウムは、検査が測る12の栄養素のうち唯一、減らす側にあるものです。

    目標量は18歳以上で男性7.5g未満、女性6.5g未満(食塩相当量)。日本人の摂取量は20歳以上の平均で男性10.7g、女性9.1gです12。

    目標量の143%と140%。他の11の栄養素が足りない側にあるなかで、ここだけ方向が逆です。

    3つの線がある

    この栄養素には、性質の違う数字が3つ置かれています。

    ナトリウムの基準(18歳以上、食塩相当量 g/日)
    男性 女性 何のための値か
    推定平均必要量 1.5 1.5 不足しないための量
    目標量 7.5未満 6.5未満 生活習慣病の発症予防
    重症化予防のための量 6.0未満 高血圧およびCKDの重症化予防
    実際(20歳以上の平均) 10.7 9.1 —
    食塩相当量の目標量に対し、男性は7.5g未満に対し10.7g、女性は6.5g未満に対し9.1gで超えている
    目標量と、20歳以上の摂取量の平均値12。

    必要量は1.5g、目標量は7.5g未満、実際は10.7g。必要量の7倍を摂っていることになります。

    この差を見ると、「足りているか」ではなく「どこまで減らせるか」の話だと分かります。

    もう1つの線、6.0g未満

    表の脚注に、こう書かれています。

    高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための食塩相当量の量は、男女とも6.0g/日未満とした1

    目標量(7.5g/6.5g未満)とは別の、もう1段低い線です。対象が違います。目標量は一般の集団の発症予防、6.0gは既に高血圧やCKDがある人の重症化予防。

    同じ物質に複数の線があるとき、どの線が自分に当てはまるかを先に決める必要があります。

    血液では分からない。尿から推定する

    ナトリウムは、血液で摂取量が分からない側です。血中濃度は体が厳しく調節しているためです。

    食事摂取基準は、別の方法を挙げています。24時間尿中ナトリウム排泄量からナトリウム摂取量を推定することができる1。

    入ってきた量ではなく、出ていった量から逆算する。この媒体で何度か出てきた形です。ブロッコリースプラウトの試験が尿中の代謝物を測っているのも、同じ考え方です。

    どこから入っているか

    ナトリウムは、他の栄養素と違って「どの食品に多いか」では話が済みません。調味料と加工の過程で入るためです。

    食事摂取基準は、日本人の食塩摂取の主な供給源として、しょうゆ・みそ・食塩といった調味料と、漬物・魚介加工品などを挙げています。

    そして加工食品の表示を見ると、栄養成分表示に食塩相当量が必ず記載されています。これは食品表示基準で義務づけられた5項目(熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量)の1つです。

    その欄をどこで見つけて、どう使うかは、消費者庁の動画で確かめられます。


    つまり、この栄養素だけは製品ごとの数字が表示されています。12のうち、買う前に量が分かる唯一の項目です。

    減らすと、他のものも動く

    1つ注意点があります。加工食品を減らすと、食塩以外のものも同時に動きます。

    そしてカリウムは、ナトリウムの排出を助けます。日本人はそちらが目標量に届いていません。

    2つを並べると、方向が決まる
    目標量に対して 方向
    ナトリウム(食塩相当量) 男性143%、女性140% 減らす
    カリウム 男性79%、女性84% 増やす

    いも類・葉の野菜・豆を増やし、調味料と加工食品を減らす。2つの基準が、同じ方向を指しています。

    検査結果の「不足」欄にナトリウムが出たら

    ここは、他の11の栄養素と読み方が変わります。

    日本人の集団としては、不足ではなく過剰の側にあります。必要量1.5gに対して10.7g。

    RESONA-LABの結果報告書は、ナトリウムについて「水分代謝を調整し、腎臓の働きを支える」とし、医師コメントとして「過不足どちらも注意が必要な栄養素です」と記しています4。

    報告書自身が、この栄養素だけ両方向に注意を促しています。実際の集団の状況は、過剰の側です。

    ただし、大量に汗をかいた場合や、下痢・嘔吐が続いた場合は別です。そうした状況は、この記事の平均の話とは別枠になります。

    今日できること

    加工食品を1つ手に取って、栄養成分表示の「食塩相当量」を見る。

    12の栄養素のうち、買う前に数字が分かるのはこれだけです。カップ麺1個、惣菜1パック、パン1個。1食で何gかを知ると、1日10.7gがどこから来ているかが見えます。

    目標量まで減らすには、男性で3.2g、女性で2.6g。1食分の差で埋まる幅です。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ミネラル(多量ミネラル)ナトリウムの食事摂取基準 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316468.pdf
    2. 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」表3・表4 栄養素等摂取量 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
    3. 消費者庁「食品表示基準」栄養成分表示。熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5項目が義務表示 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/
    4. RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による https://resona-lab.com/humans

    本記事は公的資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品の摂取を勧めるものでも、避けるよう勧めるものでもありません。高血圧・腎臓の疾患で治療中の方、減塩食の指示を受けている方、大量に発汗する環境にいる方は、個別の指示が優先されます。

  • カリウムの2つの基準を、どう使い分けるか

    カリウムの2つの基準を、どう使い分けるか

    カリウムには2つの基準があります。目安量と、目標量です。

    目安量は18歳以上で男性2,500mg、女性2,000mg。目標量は男性3,000mg以上、女性2,600mg以上1。

    日本人の摂取量は20歳以上の平均で男性2,370mg、女性2,190mg2。目安量は女性のみ超え、目標量は男女とも届いていません。

    目安量と目標量は、別の問いに答えている

    この栄養素をややこしくしているのは、基準が2つあることです。

    2つの基準(18歳以上、mg/日)
    男性 女性 何のための値か
    目安量 2,500 2,000 不足しないための量
    目標量 3,000以上 2,600以上 生活習慣病の発症予防のための量
    実際(20歳以上の平均) 2,370 2,190 —
    カリウムの目標量に対し、男性は3000mgに対し2370mg、女性は2600mgに対し2190mg
    目標量と、20歳以上の摂取量の平均値12。

    「足りているか」の答えは、どちらの基準で見るかで変わります。女性は目安量(2,000mg)は超えていますが、目標量(2,600mg)には届いていません。

    これは検査ごとに答えている問いが違うのと同じ構造です。数字だけを見て「足りている/いない」と言えません。

    ナトリウムと一緒に見る

    カリウムの目標量が置かれている理由は、ナトリウムとの関係にあります。

    カリウムはナトリウムの排出を助けます。そして日本人のナトリウム(食塩相当量)の摂取量は、目標量を大きく超えています。男性10.7g(目標量7.5g未満)、女性9.1g(同6.5g未満)。

    2つを並べると
    目標量に対して
    ナトリウム(食塩相当量) 男性143%、女性140% 超えている
    カリウム 男性79%、女性84% 届いていない

    方向が逆です。片方は減らす側、もう片方は増やす側。

    そしてこの2つを扱っているのは、どちらも腎臓です。RESONA-LABの結果報告書も、カリウムの「解毒への関与」を「ナトリウム排出を助け、腎臓の負担を軽減」としています4。

    血液の値は、摂取量を表していない

    カリウムは、血液で足りているかが分からない側です。

    血中カリウム濃度は、体が厳しく調節しています。血液の値は、調節の結果であって、摂取量ではありません。

    ナトリウムについては、食事摂取基準が24時間尿からの推定という方法を挙げています。カリウムも同様に、血液ではなく尿の側から見る栄養素です。

    どの食品に、どれだけ入っているか

    日本食品標準成分表(八訂)増補版の値です。可食部100gあたり3。

    カリウムの含有量(mg/100g)
    食品 100gあたり 1回分のめやす
    ほしひじき(乾) 6,400 乾10gで640mg
    乾しいたけ(乾) 2,200 2枚6gで132mg
    大豆(国産、乾) 1,700 —
    アーモンド(乾) 760 10粒15gで114mg
    らっかせい(乾) 740 20粒20gで148mg
    ほうれんそう(生) 690 1食70gで483mg
    糸引き納豆 660 1パック45gで297mg
    アボカド(生) 590 1/2個70gで413mg
    えだまめ(生) 590 1食50gで295mg
    さつまいも(皮なし、生) 480 1本200gで960mg
    ブロッコリー(生) 460 1食70gで322mg
    じゃがいも(皮なし、生) 410 1個100gで410mg
    バナナ(生) 360 1本100gで360mg

    いも類が効きます。含有量では上位ではありませんが、1回に食べる量が大きいためです。さつまいも1本で960mg、目標量の3分の1が入ります。

    100gあたりの数字と、実際に摂れる量は別という話は、ここでもそのまま当てはまります。

    茹でると減る

    1つ、注意点があります。カリウムは水に溶けます。

    腎臓病の食事療法で「茹でこぼす」という手順があるのは、この性質を使ってカリウムを減らすためです。ヒジキの無機ヒ素がゆでこぼしで9割減るのと、同じ原理です。

    ただし方向が逆です。健康な人が目標量に届いていない状況では、減らす工程は不利に働きます。生で食べられるもの、煮汁ごと食べられるものを選ぶほうが、この栄養素については理にかなっています。

    腎臓の機能が低下している場合は、別の話

    はっきり書いておきます。この記事は、腎臓の機能が保たれている人についての話です。

    腎臓の機能が低下すると、カリウムが排泄されにくくなります。そのため制限が指示されることがあります。その場合、この記事の数字は当てはまりません。個別の指示が優先されます。

    今日できること

    いも類か、葉の野菜を1品。さつまいも1本で960mg、ほうれんそう1食で483mg、じゃがいも1個で410mg。

    足りない分(男性で約630mg、女性で約410mg)は、1品で埋まります。

    そしてもう一方の、減らす側も一緒に見ると、方向が決まります。増やすのはカリウム、減らすのは食塩です。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ミネラル(多量ミネラル)カリウムの食事摂取基準 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316468.pdf
    2. 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」表3・表4 栄養素等摂取量 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
    3. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補版」本表 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html 1回分のめやすは、成分表の値から計算したものです。
    4. RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による https://resona-lab.com/humans

    本記事は公的資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品・サプリメントの効果を示すものでも、摂取を勧めるものでもありません。腎臓の機能が低下している方、カリウムに影響する薬を使用中の方は、この記事の内容は当てはまりません。個別の指示が優先されます。