毎日出なくても大丈夫か。便通の線引きを知る

便秘かどうかの国際基準 回数 6項目のうち1つ 線引き 週3回未満 毎日出ていなくても、基準の外にはならない

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便秘かどうかを判断する国際的な基準では、回数は6項目のうちの1つにすぎません。しかも線引きは「週3回未満」です。

毎日出ていなくても、基準の外にはなりません。逆に、毎日出ていても残りの5項目に当てはまれば基準を満たします。

「毎日ちゃんと出ているから大丈夫」は、いちばん数えやすい項目だけを見ている、ということになります。

診断基準では、回数は6つのうちの1つ

広く使われている Rome IV(2016年)では、次の6項目のうち2つ以上を満たすと機能性便秘と診断されます1。

Rome IV における機能性便秘の項目(2つ以上を満たす)
項目 頻度の条件
いきみ 排便の4回に1回以上
硬い便 排便の25%以上
残便感 排便の25%以上
肛門直腸の閉塞感 排便の25%以上
指などで助ける必要がある 排便の25%以上
排便回数が週3回未満 —

毎日出ていても、いきみが強く、硬く、残便感があるなら、基準上は便秘に該当しえます。「毎日出ているから大丈夫」という判断は、6項目のうち1つだけを見ていることになります。

「毎日」は目標値ではない

回数の正常範囲は、思われているより幅があります。週3回から1日3回程度までが、症状を伴わなければ通常の範囲として扱われることが多いとされます。

この幅の広さは、裏を返せば「何回が正しいか」が個人によって違うということでもあります。集団の平均を個人にそのまま当てはめるときに残る隙間は、ここにもあります。

大事なのは絶対的な回数より、その人にとっての普段と比べてどうか、でしょう。長年週4回で不便を感じていない人が、急に週1回になったなら、それは変化です。逆に、もともと毎日ではない人が「毎日にしなければ」と考える理由は、特にありません。

回数と腸内細菌の関係も、単純ではない

「排便があれば腸内環境が良い」という言い方には、もう一段の飛躍があります。

排便の回数や性状は、主に腸の運動と、便が大腸を通過する時間を反映しています。腸内細菌の構成は通過時間から影響を受けますが、通過時間だけでは決まりません。

そもそも健康な腸内細菌叢とは何かについて、合意された定義はまだないのです。何を「良い」とするかが定まっていない以上、排便という一つの指標から腸内細菌の状態を読み取ることには、原理的な限界があります。

同じ理由で、善玉菌が増えたから毎日出るようになったという説明も、もう少し慎重に扱ったほうがよさそうです。

回数以外に見ておけること

もう一つ、回数とは別に効いてくる話があります。便は、金属の主要な出口でもあります。

ニッケルの場合、経口で入った量のうち腸から吸収されるのは1〜10%。残りの90〜99%は、吸収されずに便として出ていきます2。吸収された分だけが、尿・汗の側へ回ります。

つまり便通は、お腹の快適さだけの話ではありません。肝臓が処理して尿からは出せないと判断したものも、胆汁に乗って腸へ送られてきます。通過が滞れば、そこに置かれている時間が延びます。

診断基準の項目立てが示しているのは、回数より過程と感覚が重視されている、ということです。

いきむ必要があるか。硬さはどうか。出しきった感じがあるか。この3つは、毎日記録しなくても、なんとなく思い出せる範囲で振り返る価値があります。

そして、変化があったかどうか。回数、硬さ、時間帯、どれでも構いません。普段と違う状態がいつから続いているか。これは診察の場でも役に立つ情報になります。

回数を数えても意味がない場合

次の場合は、回数を数えても答えが出ません。便通の読み方ではなく、別の枠の話になります。

便に血が混じる。黒い便が続く。急に排便の習慣が変わり、それが続いている。体重が意図せず減っている。腹痛が続く。50歳以上で新たに便通の変化が生じた。

これらは機能性の問題以外の可能性も含むため、自己判断や市販薬での対応の前に確認したほうがいい領域です。

ひとつの数字に、多くを背負わせない

「毎日出ているか」は分かりやすく、記録もしやすい。だからこそ、腸の状態全体を代表する指標のように扱われやすくなります。

実際には、診断基準ですら6項目のうち1つとしてしか扱っていません。分かりやすい指標が、必ずしも重要な指標とは限らない。その一例です。

そして便は、消化のあとの残りかすだけではありません。肝臓が処理して、尿からは出せないと判断したものが胆汁に乗って送られてくる先でもあります。通過が滞れば、腸に置かれている時間が延びます。

便通に手をつけるなら、食物繊維には公的な目標量があります。日本人成人の摂取量の中央値との差は、はっきり分かっています。

参考文献・参考資料

  1. Lacy BE, Mearin F, Chang L, et al. Bowel Disorders. Gastroenterology. 2016;150(6):1393-1407.e5. doi:10.1053/j.gastro.2016.02.031 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27144627/
  2. 足立厚子「金属アレルギーの対処法〜全身型金属アレルギーを中心に〜」アレルギー 2020;69(3):169-173. https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/69/3/69_169/_pdf

本記事は診断基準と研究状況の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。

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