ひじきのゆでこぼしで、無機ヒ素は9割減る。鉄・カルシウム・食物繊維は7割以上残る

乾燥ヒジキの無機ヒ素が減る割合 水戻し 5割減 ゆで戻し 8割減 ゆでこぼし 9割減 鉄分・カルシウム・食物繊維は7割以上残る

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乾燥ヒジキをゆでこぼすと、無機ヒ素は9割程度減ります。そして鉄分・カルシウム・食物繊維は7割以上残ります1。

農林水産省が家庭でできる調理法を調べた結果です。手順も具体的に示されています。30分水に浸す → 戻し水を捨てる → お湯に入れて沸騰後5分ゆでる → 水洗い。

入口には、閉じられるものと閉じられないものがあります。ここには3つめがありました。減らせる入口です。

同じ食品に、2つの結論が出た

2004年7月28日、英国食品規格庁(FSA)がヒジキを食べないように英国民に勧告しました。理由は、FSAの調査で、発がんリスクが指摘されている無機ヒ素が多く含まれるという結果が得られたためです2。

その2日後の7月30日、厚生労働省がQ&Aを公表します。結論が違いました。

違いは、量を計算に入れたかどうかです。

厚生労働省が示した計算2
数値
日本人の海藻摂取量 1日14.6g(平成14年度 国民栄養調査)
そのうちヒジキの割合 約6.1%(生産・輸入・輸出量からの試算)
ヒジキの推定摂取量 1日 約0.9g
無機ヒ素のPTWI(WHO 1988年) 15µg/kg体重/週。体重50kgで107µg/日(750µg/週)
FSAが測った最大濃度 水戻し後のヒジキで22.7mg/kg
上限に届く量 毎日4.7g(週33g)以上を継続的に

0.9gと4.7g。約5倍の差があります。

日本人のヒジキ摂取量は1日約0.9gで、上限に届く4.7gまで約5倍の距離があることを示す図
実際の摂取量と、上限に届く量。最も濃度の高いヒジキを想定した場合の試算です2。

厚労省の結論はこうです。「ヒジキを極端に多く摂取するのではなく、バランスのよい食生活を心がければ健康上のリスクが高まることはないと思われます」。あわせて「海藻中に含まれるヒ素によるヒ素中毒の健康被害が起きたとの報告はありません」とも書いています2。

そして「ヒジキは食物繊維を豊富に含み、必須ミネラルも含んでいます」という一文が続きます2。魚の水銀について、同じ厚労省が「魚介類を全く食べない集団では、高度不飽和脂肪酸が欠乏し、小児の知能低下や成人の心臓病のリスクが上昇する」と書いているのと、同じ形です。

やめることの代償を、一緒に計算しています。

ほかの海藻は、別の話

1つ、混ざりやすい点があります。

Q&Aは「ヒ素は自然界に存在するため、他の海藻中にも含まれていますが、ヒジキとは異なり、毒性の低い有機ヒ素として存在しているとされています」と書いています2。

問題になるのは無機ヒ素のほうです。海苔、昆布、わかめが同じ扱いになるわけではありません。

また、ヒジキ中のヒ素に関する国際的な基準は設定されていません2。基準がないこと自体は、他の物質でも起きています。

調理で、どれだけ減るか

ここからが、実際に手が動く部分です。

農林水産省は2014年度に、家庭でできる調理法ごとの無機ヒ素の減り方を調べました1。

調理法と、無機ヒ素の減り方1
方法 手順 減り方
水戻し 30分水に浸す → 水洗い 5割程度減
ゆで戻し 水に入れてゆでる。沸騰後5分間ゆでる → 水洗い 8割程度減
ゆでこぼし 30分水に浸す → 戻し水を捨てる → お湯に入れてゆでる。沸騰後5分間ゆでる → 水洗い 9割程度減

理由は単純です。無機ヒ素は水に溶け出すため、水洗い・水戻し・ゆでこぼしの工程で減ります1。

そして、いちばん大事なのがこの一行です。

ヒジキに含まれる鉄分、カルシウム、食物繊維は、「水戻し」、「ゆで戻し」、「ゆでこぼし」をしても、7割以上残ります1

減らしたいものが9割減って、残したいものが7割以上残る。こういう結果は、めったに出ません。

除去食では、減らす対象がそのまま栄養の供給源になっていました。金属制限食でも、制限する対象に鉄・亜鉛・銅が含まれていました。だから期限が要ります。

ここでは、その衝突が起きていません。方法が分かれているからです。

入口には、3つ目の扱い方がある

蓄積の入口を整理すると、これまで2つに分けてきました。

入口の扱い方
例
閉じられる たばこ、缶飲料、装身具
閉じられない 主食のカドミウム、空気中のマイクロプラスチック
減らせる ヒジキの無機ヒ素(調理で9割減)、水道水の鉛(流し始めを捨てる)

3つめは、やめなくていいという点で決定的に違います。食べ続けながら減らせる。

そして「解毒にいい食べ物」で人の試験があるものは限られていましたが、こちらは入る量を実測で減らす話です。何割減るかが、調理法ごとに出ています。

今日やること

乾燥ヒジキを使うとき、戻し水を捨てる。

それだけで、水戻しの5割減がゆでこぼしの9割減に近づきます。手順が増えるのは、戻し水を捨てて、5分ゆでる、という部分だけです。

そして、ヒジキをやめる必要はありません。日本人の摂取量は上限に届く量の約5分の1で、厚労省も農水省も「食べるな」とは書いていません。農水省の資料の見出しは「より安全に食べるために」です1。

資料はこうも書いています。「食品を通じて摂取したヒ素による健康影響は認められておりませんが、ヒジキをより安全に食べるためには……」1。順番がはっきりしています。

参考文献・参考資料

  1. 農林水産省 消費・安全局 畜水産安全管理課「より安全に食べるために 家庭でできるヒジキの調理法」平成27年10月 https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/gyokai/g_kenko/busitu/pdf/hijiki02.pdf 関連ページ:ヒジキに含まれるヒ素の低減に向けた取組
  2. 厚生労働省「ヒジキ中のヒ素に関するQ&A」平成16年7月30日 https://www.mhlw.go.jp/topics/2004/07/tp0730-1.html

本記事は公的資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品の摂取を勧めるものでも、避けるよう勧めるものでもありません。食事制限を受けている方は、個別の指示が優先されます。

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