浄水器を選ぶとき、表示のどこを見るか

浄水器の「除去物質」表示 表示 義務である 法定の項目 12物質 家庭用品品質表示法にもとづく表示

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浄水器のパッケージにある「除去物質 13物質」という表示は、家庭用品品質表示法で義務づけられたものです1。メーカーが自分で決めた数字ではありません。

そして、その12項目の法定物質のなかに「溶解性鉛」と「総トリハロメタン」が入っています。検査の説明資料が水道水の入口として挙げているのは、まさにこの2つです。

見る場所は決まっています。パッケージの「除去物質」の欄と、「総ろ過水量」の数字。

「除去物質12」が、何を除いてくれるのか

家庭用品品質表示法(昭和37年法律第104号)は、家庭用品の品質表示を適正化して消費者の利益を保護することを目的とした法律です。浄水器は、その対象品目に指定されています1。

表示すべき内容は、雑貨工業品品質表示規程で決まっています。除去対象物質の用語も、そこに定められています。

法定の除去対象物質(12項目)
物質 何か
遊離残留塩素 消毒のために水道水に残されているもの
濁り 微粒子
クロロホルム 塩素と有機物が反応してできる消毒副生成物(トリハロメタン類)
ブロモジクロロメタン
ジブロモクロロメタン
ブロモホルム
総トリハロメタン 上の4つの合計
テトラクロロエチレン 工業用の溶剤。地下水汚染で問題になってきた
トリクロロエチレン
CAT 農薬(シマジン)
2-MIB カビ臭の原因物質
溶解性鉛 水に溶けた鉛。古い給水管に由来する

このほかに、JIS S 3201 で定められた任意の項目(1,2-DCE、ベンゼン、陰イオン界面活性剤、フェノール類、ジェオスミン)や、業界の自主規格による項目(鉄、アルミニウム)があります。「13物質」「15物質」といった数の違いは、任意項目を何個足したかの違いです。

規制されている物質が、規格から消えた話

2020年10月1日に、この規程が改正されました。除去対象物質から1,1,1-トリクロロエタンが削除されています。

理由が具体的です。この物質は、国際的な環境課題を議論するモントリオール議定書によって製造及び輸入が規制されており、国内市場に流通していないことから、試験の対象から消除する改正が行われた1。

水から消えたのではなく、そもそも作られなくなったので、試験する意味がなくなったということです。

規格の項目数は、危険の順位ではありません。何が測られているかは、そのときの状況で決まっています。

いちばん見落とされているのは「総ろ過水量」

ここが、この記事でいちばん実務的な部分です。

浄水器のパッケージには、除去物質のほかに総ろ過水量が書かれています。「約900L」「約200L」といった数字です。カートリッジの交換目安として案内されています。

この数字の定義が、規程にあります。

ろ過流量が50%に低下するまでの期間と、除去率が80%に低下するまでの期間とを比較し、いずれか早い方の総ろ過水量を表示させる1

総ろ過水量は、ろ過流量が50%に落ちるまでと除去率が80%に落ちるまでの、早いほうで決まることを示す図
2つの線のうち、先に来たほうが総ろ過水量になります1。

ここが重要です。2つの条件のうち、先に来たほうで決まっています。

そして2020年の改正で、この規定は連続式だけでなくすべての浄水器に適用されるようになりました1。

つまり、水の出が悪くなっていなくても、除去率のほうが先に落ちている場合があります。逆に、除去率は保たれているのに出が悪くなることもあります。どちらが先に来るかは製品によって違い、その早いほうが数字になっています。

だから交換の目安は、味でも、出の勢いでもありません。使った水量です。

数えられる形にする

とはいえ、使った水量を正確に数えるのは難しい話です。

実用的なのは、1日に使うおよその量で割ることです。総ろ過水量900Lの製品で、1日3L使うなら300日。1日6L使うなら150日。

多くの製品が「3か月」のような期間で案内していますが、これは標準的な使用量を前提にした換算です。使う量が多ければ、期間は短くなります。

そして記録が効くのはここでも同じで、交換した日をどこかに書いておくだけで、次の判断が決まります。

水道水そのものは、基準内で運用されている

前提として、日本の水道水には水質基準があります。鉛及びその化合物は0.01mg/L以下、総トリハロメタンは0.1mg/L以下と定められています2。

つまり浄水器は、基準を満たしていない水を基準内にするための装置ではありません。基準内の水から、さらに減らすためのものです。

そのうえで、鉛については配管の側の事情があります。皮膚科が金属制限食を指導するときの項目に「水道水は流し始めの5分間は使用しないこと」が入っているのは、止まっていた水が管に長く接していたぶんを避けるためです。

この2つは、やっていることが違います。最初の水を流すのは、管の中に溜まっていた分を捨てること。浄水器は、通る水から成分を減らすこと。

入口の一覧の中で、どこにいるか

検査の説明資料は、蓄積の入口の1つとして水道水を挙げ、トリハロメタン類(クロロホルムなど)、鉛を具体名で書いています。そして「浄水処理副生成物として基準値内ながら検出」と添えています3。

この記述は正確です。そして、入口の一覧の中でこの項目が珍しいのは、対策側にも法定の表示があるという点です。

水道水という入口の、特徴
状況
水の側の基準 ある。鉛0.01mg/L以下、総トリハロメタン0.1mg/L以下
対策側の表示 ある。家庭用品品質表示法で、除去対象物質と総ろ過水量の表示が義務
今日できること 最初の数分を流す/パッケージの除去物質と総ろ過水量を見る

缶のBPAには、そもそも日本の耐容量がありません。マイクロプラスチックには、評価そのものがありません。水道水は、入る側にも対策側にも数字がある、数少ない入口です。

だから、ここは判断ができます。買うか買わないかではなく、買うなら何が書いてあるものを買い、いつ交換するかまで、表示から決められます。

参考文献・参考資料

  1. 消費者庁表示対策課「雑貨工業品品質表示規程の一部を改正する告示について(概要)」令和2年10月1日 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/law/kaisei/assets/kaisei_201001_0002.pdf 除去対象物質の区分は、家庭用品品質表示法の法定物質・JIS S 3201の任意物質・業界自主規格による項目に分かれます。
  2. 水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)。鉛及びその化合物 0.01mg/L以下、総トリハロメタン 0.1mg/L以下 https://laws.e-gov.go.jp/law/415M60000100101/
  3. RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による。報告書の見本は公式サイトで公開されています https://resona-lab.com/humans

本記事は法令・公的告示の整理であり、特定の製品の効果を示すものでも、購入を勧めるものでもありません。個別の診断・治療に代わるものでもありません。表示の内容は製品ごとに異なります。実際の交換時期は、各製品の取扱説明書の指示が優先されます。

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