ビタミンEは、足す必要があるのか

ビタミンE|成人男性 111 % 目安量6.5mgに対して、平均7.2mg 目安量

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ビタミンEは、日本人が目安量を上回っている数少ない栄養素です。

目安量は30〜64歳で男性6.5mg、女性6.0mg。実際は20歳以上の平均で男性7.2mg、女性6.6mg12。男性で111%、女性で110%です。

そして、この栄養素の基準には注意書きがあります。「α-トコフェロールについて算定した。α-トコフェロール以外のビタミンEは含まない」2。

どのあたりにいるか

ビタミンEの目安量に対し、男性は6.5mgに対し7.2mg、女性は6.0mgに対し6.6mgで上回っている
30〜64歳の目安量と、20歳以上の摂取量の平均値12。
ビタミンEの目安量(mg/日、α-トコフェロール)と、実際の摂取量
男性 女性
目安量 18〜29歳 6.5 5.0
目安量 30〜64歳 6.5 6.0
目安量 65〜74歳 7.5 7.0
実際(20歳以上の平均) 7.2 6.6
実際(20〜29歳) 6.4 5.7
耐容上限量 30〜64歳 800 700

どの年代でも、おおむね目安量の前後にあります。この栄養素については、埋めるべき差がありません。

「推奨量」ではなく「目安量」であること

この栄養素の基準は目安量です。推奨量ではありません。

2つの指標の違い
意味 この媒体で扱った例
推奨量 必要量が推定できるとき、母集団の97〜98%が充足する量として算定されるもの カルシウム、マグネシウム、亜鉛、葉酸、ビタミンA、ビタミンC
目安量 必要量を推定するだけの根拠がないときに、実際に摂れている量から置かれるもの ビタミンE、ビタミンD、カリウム

ここが重要です。目安量は「日本人が実際に摂れている量」から置かれています。だから「目安量を上回っている」ことは、足りていることの証明ではありません。基準の作られ方が、そもそもそういう形です。

同じ目安量のビタミンDでは、逆に基準を下回っています。こちらは日照という別の入口が考慮されているためで、事情が違います。

「ビタミンE」は、1つの物質ではない

表の脚注に、こう書かれています。「α-トコフェロールについて算定した。α-トコフェロール以外のビタミンEは含まない」2。

ビタミンEと呼ばれる物質は、4種のトコフェロール(α・β・γ・δ)と4種のトコトリエノールの総称です。基準はそのうちα-トコフェロールだけで作られています。

だから成分表の「ビタミンE」も、この記事の数字も、α-トコフェロールの量です。サプリメントの表示が何を指しているかは、製品によって違います。

同じ名前でも、測っているものが違うことがあるという話の、分かりやすい例です。

どの食品に、どれだけ入っているか

日本食品標準成分表(八訂)増補版の値です。可食部100gあたり3。

ビタミンE(α-トコフェロール)の含有量(mg/100g)
食品 100gあたり 1回分のめやす
ひまわり油 39.0 大さじ1(12g)で4.7mg
アーモンド(乾) 30.0 10粒15gで4.5mg
サフラワー油 27.0 大さじ1(12g)で3.2mg
らっかせい(乾) 11.0 20粒20gで2.2mg
うなぎ(養殖、生) 7.4 1/2尾50gで3.7mg
赤ピーマン(生) 4.3 1/2個60gで2.6mg
西洋かぼちゃ(生) 3.9 1食80gで3.1mg
アボカド(生) 3.3 1/2個70gで2.3mg
ブロッコリー(生) 3.0 1食70gで2.1mg
ほうれんそう(生) 2.1 1食70gで1.5mg

上位が油で占められています。そして油は、意識して食べるものではなく、調理に使われるものです。

これが、この栄養素が目安量を上回っている理由の一部でもあります。日本人の脂質エネルギー比率は28.0%(20歳以上男性)で、油からの寄与が自然に積み上がります。

上限は、100倍先にある

耐容上限量は30〜64歳で男性800mg、女性700mgです2。実際の摂取量が7.2mgですから、100倍以上先にあります。

食事から届く量ではありません。ひまわり油を毎日2リットル飲むような計算になります。

届くのはサプリメントです。脂溶性ビタミンは体に蓄えられます。足りているのに足す理由があるかという問いが、この栄養素ではとくに効いてきます。

検査結果の「不足」欄にビタミンEが出たら

集団としては足りています。むしろ目安量を上回っています。

RESONA-LABの結果報告書は、ビタミンEの「解毒への関与」として「活性酸素を除去し、肝臓の負担を軽減」と記しています4。

ビタミンEが抗酸化作用を持ち、細胞膜を守ることは確立しています。ただし「増やせば肝臓の負担が減る」と人で確かめられた手順は見当たりません。

そして、この栄養素については足りていない前提から始める理由がありません。集団の平均は目安量を超えています。

今日できること

この栄養素については、動かす必要がない可能性が高いほうです。

12の栄養素をまとめて「足りていない」と扱うと、本当に足りていないものが埋もれます。足りていないのは、カルシウム・ビタミンA・ビタミンD・マグネシウムのほうです。

そちらに使う食品を選ぶと、結果としてビタミンEも一緒に入ります。アーモンド10粒で4.5mg。マグネシウム44mg、亜鉛0.5mg、カルシウム38mgも同時に入ります。

参考文献・参考資料

  1. 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」表3・表4 栄養素等摂取量 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
  2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ビタミン(脂溶性ビタミン)ビタミンEの食事摂取基準 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316466.pdf
  3. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補版」本表 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html 1回分のめやすは、成分表の値から計算したものです。
  4. RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による https://resona-lab.com/humans

本記事は公的資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品・サプリメントの効果を示すものでも、摂取を勧めるものでもありません。抗凝固薬を使用中の方は、ビタミンEを含むサプリメントについて個別の指示が優先されます。

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