限られた診察時間を、自分の体の話に使うために

限られた診察時間を使うために 最初に言う 症状から 持っていく 記録・結果票・薬 いちばん抜けやすいのは、飲んでいるサプリメント

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最初の一言で、その日の診察時間の使われ方が変わります。

限られた診察時間を、自分の体の話に使うためのものを4つ挙げます。いちばん抜けやすいのは、飲んでいるサプリメントです。

「この検査で異常と言われました」から始めない

この一文から入ると、話はその検査についての議論になります。医師はその検査を知らないかもしれず、知っていても、その妥当性をどう説明するかに時間が使われます。

そして、いちばん大事なことが後回しになります。あなたにいま何が起きているかです。

伝え方を変えるだけで、同じ情報が違う働きをします。

同じことを伝えるときの、二つの言い方
言い方
時間が検査の話に使われる 「この検査で肝臓が悪いと言われました」
自分の体の話に使える 「半年ほど疲れが抜けません。肝臓のことが気になっているのですが、確かめられる検査はありますか」

持っていくのは、四つ

1. 症状の記録

いつから、どんなときに、どれくらいの頻度で。「なんとなくだるい」より「先月から、午後になると集中が続かない日が週に3日ほどある」のほうが、次に何を調べるかを一緒に考えやすくなります。記録で何が分かり、何が分からないのかも、知っておくと役に立ちます。

2. これまでの経過

健康診断の結果票を持っていきます。肝臓と腎臓については、そこに答えの出ている項目があります。過去数年分を並べられれば、値が動いているのか横ばいなのかも分かります。

3. 試したこと

何を、いつから、どれくらい続けて、どうだったか。効かなかったことも情報です。食品を外して戻した記録があれば、それも持っていきます。

4. 飲んでいるもの、すべて

ここが最も抜けやすい項目です。処方薬、市販薬、サプリメント、ハーブ、健康食品。全部です。

サプリメントを、必ず申告する理由

日本のがん専門施設で行われた調査があります。16のがんセンターと40の緩和ケア病棟の患者3,461人から回答を得たもので、補完代替医療を利用していた人のうち60.7%が医師に相談せずに使っていました。そして利用者の5.3%が有害反応を報告しています1。

申告が必要なのは、飲み合わせが実際に問題になるからです。セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)については、厚生省が2000年に注意喚起を出しています。肝臓の薬物代謝酵素を誘導し、併用した薬の血中濃度を下げるためです2。

「サプリだから薬ではない」という理由で伝えないと、医師は不完全な情報で判断することになります。

「確かめられる検査はありますか」と聞く

この聞き方が効くのは、検査の側が科ごとに分かれているからです。

たとえば金属アレルギーなら、確かめるのはパッチテストで、行うのは皮膚科です。背中に貼って48時間後に剝がし、その1時間後、24〜48時間後、120時間後に判定する——判定まで7日かかります3。手順が決まっている検査です。

食物アレルギーなら、確定は食物経口負荷試験。鉄なら、ヘモグロビンとフェリチン。検査はそれぞれ違う問いに答えているので、「何を確かめたいか」を先に言えば、検査の側から選んでもらえます。

そして、食事を大きく制限している場合は、それも申告してください。金属制限食のように医療の中で行われる除去にも、「必ず医師の指導のもとで行う」「2ヶ月続けて無効なら中止する」という条件が置かれています3。理由は、制限の対象に必須の栄養素が含まれるからです。自己判断の除去も、同じ条件の中にあります。

この聞き方には利点があります。判断を医師に委ねつつ、自分が何を気にしているかは正確に伝わるからです。

そして、確かめられるものは実際にあります。ビタミンDや亜鉛には学会の判定指針があり、血液で確かめられます。鉛と水銀も測定できます。一方で、血液では蓄えが分からない栄養素もあります。

「全部測ってください」と頼むのは、あまりうまくいきません。項目が増えるほど、健康な人でもどこかが基準から外れる確率は上がります。気になっている症状を一つ挙げて、そこから決めてもらうほうが早く進みます。

どこに行くか

特別な事情がなければ、かかりつけ医か一般内科から始めます。症状に応じて、必要な科へ紹介してもらう流れが確実です。

次のような症状は、検査結果を読んでいる場合ではありません。結果より先に来ます。

検査結果より先に来る症状
症状
体重が意図せず減っている
発熱が続いている
皮膚や白目が黄色い
尿の量が減った、むくみが続いている
血便がある、便が黒い
症状が日ごとに悪化している

結果は、話を始めるための材料

どんな検査結果も、それ単体で答えを出すものではありません。値は、症状や経過と合わせて初めて意味を持ちます。検査ごとに答えている問いが違うのも、同じ理由です。

診察で効くのは、どこかに書かれた判定より自分の側にある記録のほうです。症状の記録、健診の推移、試したこと、飲んでいるもの。この四つが揃っていれば、話は具体的なところから始められます。

参考文献・参考資料

  1. Hyodo I, Amano N, Eguchi K, et al. Nationwide survey on complementary and alternative medicine in cancer patients in Japan. Journal of Clinical Oncology. 2005;23(12):2645-2654. doi:10.1200/JCO.2005.04.126 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15728227/
  2. 厚生省医薬安全局安全対策課・生活衛生局食品保健課「セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)と医薬品の相互作用について」平成12年5月10日 https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1205/h0510-1_15.html
  3. 足立厚子「金属アレルギーの対処法〜全身型金属アレルギーを中心に〜」アレルギー 2020;69(3):169-173. https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/69/3/69_169/_pdf

本記事は医療機関で相談するときの整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の検査・製品の効果を示すものでもありません。受診の要否と必要な検査は医師の判断によります。服用中の薬を自己判断で中止・変更しないでください。

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