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  • 「解毒」を高めるために、実際に必要なもの

    「解毒」を高めるために、実際に必要なもの

    「解毒」が実際にしているのは、物質に別の分子をくっつけて、水に溶ける形へ作り変えることです。くっつける材料の名前まで分かっています。

    グルクロン酸、硫酸、グルタチオン、グリシン、タウリン、グルタミン酸、アセチル基、メチル基。これが第II相反応で使われるものの一覧です1。

    毒を消しているのではありません。捨てられる形に変えています。

    そのままでは、捨てられない

    食べ物、薬、環境中の化学物質。体の外から入ってきた物質の多くは、脂に溶けやすい性質を持っています。

    脂に溶けやすいものは、そのままでは尿に混ぜて捨てられません。腎臓で濾過されても、再吸収されてしまうからです。

    そこで、体は形を変えます。水に馴染む形にしてから捨てる。この一連の作り変えを、生体内変換(biotransformation)といいます。

    この処理の大部分は肝臓の肝細胞で行われますが、脂肪組織、腸、腎臓、肺、皮膚でも起きています1。肝臓だけの話ではありません。

    第I相:反応しやすい部分を作る

    一段階目は、分子に手をかけて、後で何かをくっつけられる場所を作る工程です。

    第I相で起きる反応
    反応
    酸化 シトクロムP450による。最も多い
    還元
    加水分解

    シトクロムP450は、細胞内の小胞体に膜結合している酵素群です。中でもCYP3A4が最も多く、全CYP450活性の約50%を占めます1。

    この酵素の名前は、薬の説明書で見たことがあるかもしれません。「この薬と一緒に飲まないでください」という組み合わせの多くは、同じ酵素を取り合うために起きます。

    第II相:くっつけて、水に溶かす

    二段階目が、この記事の中心です。第I相で作った場所に、別の分子をくっつけます。

    第I相で反応しやすい部分を作り、第II相で別の分子をくっつけて水に溶ける形にする二段階の図
    二段階の作り変え。第II相でくっつけるものが、水に溶ける形へ変える役割を担っています1。
    第II相でくっつけるもの
    反応 くっつけるもの
    グルクロン酸抱合 グルクロン酸。最も多い
    硫酸抱合 硫酸
    グルタチオン抱合 グルタチオン
    アミノ酸抱合 グリシン、タウリン、グルタミン酸
    アセチル化 アセチル基
    メチル化 メチル基

    ここまで具体的に分かっています。「解毒力」という総合点はありませんが、何をくっつけているかは名前で並べられます。

    この段の速さは、人によって違う

    第I相を担うP450には、遺伝子型によって働きの強さが違うものがあります。CYP2C19の場合、働きが弱い型は欧米で2〜5%、東アジアで13〜23%です。

    ただし、これは薬の効き方で確立した知見です。食品や環境中の物質の処理速度に同じように当てはまるかは、まだ別の話です。

    順番が狂うと、逆に働く

    二段階であることには、見落としやすい意味があります。

    第I相でできる中間代謝物は、元の物質より反応しやすくなっています。これは薬の場合には利点で、体内で活性型に変わるプロドラッグはこの仕組みを使います1。

    ただし裏返すと、第II相が追いつかなければ、反応しやすい状態のものが溜まるということでもあります。

    だから「解毒力を高める」という言い方は、この構造を知ると分かりにくくなります。第I相を速めるのか、第II相を速めるのかで、意味が逆になりうるからです。

    止めたり、再開したりする器官ではない

    「臓器を休ませる」という言い方が、断食やクレンズの説明でよく使われます。

    ただ、この処理は常時進行しています。肝臓は血漿タンパク質を作り続け、腎臓は再吸収を続けています。作業を止めたり再開したりする器官ではありません。

    くっつけるものは、どこから来るか

    第II相でくっつけるものの正体を辿ると、すべて糖とアミノ酸に行き着きます。

    第II相でくっつけるものの出どころ
    くっつけるもの 何からできているか
    グルクロン酸 グルコース(糖)から作られる
    グルタチオン 3つのアミノ酸がつながったもの
    グリシン、タウリン、グルタミン酸 アミノ酸そのもの
    硫酸 含硫アミノ酸に由来する硫黄
    メチル基 メチオニン(アミノ酸)に由来

    並べると分かることがあります。特別な物質は一つも出てきません。糖とアミノ酸、それだけです。

    つまり解毒は、材料を消費する反応です。これは比喩ではなく、分子の名前まで分かっている話です。そして材料は、日々の食事から来ています。

    反応を回す側にも、栄養素が要る

    くっつける分子とは別に、その反応を担う酵素の側があります。

    シトクロムP450も、抱合を行う酵素も、単独では働きません。補因子と呼ばれる金属やビタミンが要ります。マグネシウムは300以上の酵素反応に関わるミネラルで、鉄と銅は酸化還元を担う酵素の構成要素です。

    RESONA-LABのレポートは、検査で測るビタミン・ミネラルについて、栄養素ごとに「解毒への関与」を記載しています2。

    レポートが記している「解毒への関与」
    栄養素 記載
    ビタミンC 有害物質の中和と肝臓酵素の働きを支える
    マグネシウム 肝臓酵素の働きを助け、毒素排出を促す
    亜鉛 有害金属の排出を助ける
    鉄 肝臓の代謝酵素の補因子
    葉酸 肝臓のメチル化反応に関与し、解毒酵素をサポート
    ビタミンA 腸管バリアを維持し、有害物質の侵入を防ぐ
    ビタミンE 活性酸素を除去し、肝臓の負担を軽減
    銅 抗酸化酵素(SOD)の構成要素

    レポートはこの一覧のあとに、こう書いています。「検査で測るビタミン・ミネラルは、排出経路の鍵を握る栄養素。つまり、『何が溜まっているか』だけでなく、出す力(排出力)が足りているかまでわかります」2。

    なおレポート自身が、この内容は一般的な栄養学的知見に基づくものであり、特定の製品を推奨するものではないと注記しています2。

    ただし、ここから先に線があります。「特定の栄養素を足せば処理が速くなる」とは、まだ言えません。足りない状態から足したときと、足りている状態から足したときでは、起きることが違うためです。足すかどうかの前に、足りているかどうかという順番が効いてくるのは、ここでも同じです。

    この工程が動いたことを、人で測った例がある

    第II相が実際に動いたかどうかは、尿に出てきた形を測れば分かります。

    大気汚染の大きい地域で行われた291人の無作為化試験では、ブロッコリースプラウト飲料を飲んだ群で、ベンゼン由来のメルカプツール酸の尿中排泄が61%増えました。メルカプツール酸は、第II相で処理されたあとに尿から出ていく形の1つです。

    この工程は、外から動くことがある。ただしその試験が測ったのは出てきた量であって、体内に残っている量でも、健康アウトカムでもありません。

    変換のあとに、出口がある

    ただし、この工程を通らない入り方もあります。

    口から入ったものは、腸から吸収されたあと肝臓を経由してから全身へ回ります。吸って入ったものは、肺から直接全身の循環に乗ります。第I相も第II相も経由しません。

    食品安全委員会のワーキンググループ報告は、吸入曝露についてこう書いています。「粉塵や煙として直接体内に入る。肝臓の解毒を経由しないので、腎障害が起こりやすい」。

    つまりこの二段階は、すべての入口に働くわけではありません。どの入口から入ったかで、処理の経路そのものが変わります。

    第I相と第II相を経て水に溶ける形になったものは、腎臓から尿として出ます。

    ただし、それでも尿から出せないものがあります。その行き先が胆汁で、終点は便です。医学の教科書は胆汁を「腎臓でろ過または排泄できない、潜在的に有害な脂溶性物質の主要排泄経路」と書いていて、そこに出されるものに重金属が挙げられています。

    つまり体の処理は、変換して、出すという二つの段階でできています。変換だけ進んでも、出口が動いていなければ完結しません。

    「解毒」は、抽象語ではない

    この記事に出てきたのは、すべて標準的な生化学の教科書に載っている名前です。

    シトクロムP450。CYP3A4。グルクロン酸抱合。硫酸抱合。グルタチオン抱合。グリシン、タウリン、グルタミン酸。アセチル化。メチル化。

    解毒は、物質名で語れる範囲の話です。怪しくなるのは、この仕組みを使って何かを売るときに、何が出たのかを言わないときです。

    そしてどこから手をつけるかには順番があります。上流だけ速めても、出口が動いていなければ途中に溜まります。

    仕組みが実在することと、その仕組みを名乗る商品が効くことは、別のことでした。入れる側と出す側を一緒に見るのは、前者が実在するからです。

    そして、くっつける材料には名前がついています。グルクロン酸ならグルコース、メチル基ならメチオニン、硫酸なら含硫アミノ酸。すべて糖とアミノ酸から作られます。

    特別な物質は1つも出てきません。だから確かめられるのは、食事の量が極端に減っていないかです。断食や糖質の大幅な制限をしているなら、上流の材料もそのぶん減っています。「休ませる」つもりの行動が、材料を止める側に働くことがあります。

    参考文献・参考資料

    1. Phang-Lyn S, Llerena VA. Biochemistry, Biotransformation. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 最終更新 2023年8月14日. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK544353/
    2. 株式会社bio medical「バイオレゾナンス検査結果報告書」サンプル(各栄養素の役割と不足したときの影響/排出・代謝の仕組み) RESONA-LAB 公式サイト

    本記事は生化学の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・サプリメント・製品・施術の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。特定の栄養素の摂取が生体内変換の速度を変えるかどうかについて、十分な検証はなされていません。服用中の薬の飲み合わせは、その薬ごとに決まっているもので、この記事の範囲には入りません。

  • 残留農薬の心配を、数字で整理する

    残留農薬の心配を、数字で整理する

    残留農薬について、日本では実際にスーパーで食品を買って、調理して、測っています。推定ではありません。

    令和4年度の調査では、8地域のスーパーマーケット等で市販された食品を購入し、必要に応じて調理したうえで14の食品群に分け、48種類の農薬等を分析しています1。

    結果は、許容一日摂取量に対する割合が0.000〜2.954%。いちばん高かったものでも3%に届きません1。

    買って、調理して、測る

    この調査の名前は、マーケットバスケット方式といいます。やっていることは、名前のとおりです。

    令和4年度 食品中の残留農薬等の一日摂取量調査の方法
    内容
    対象 48農薬等(農薬、動物用医薬品、飼料添加物)
    地域 北海道、宮城県、栃木県、東京都、新潟県、大阪府、高知県、長崎県の8地域
    試料 各地域のスーパーマーケット等で市販された食品を購入し、そのまま、あるいは必要に応じて調理した後に分析
    分け方 食品摂取量の地域別平均の分量に従って14の食品群に分別し、群ごとに混合均一化
    体重 令和元年国民健康・栄養調査の1歳以上の平均体重56.3kgで推計

    14の食品群は、米、雑穀・芋、砂糖・菓子、油脂、豆、果実、有色野菜、その他の野菜・漬物・きのこ・海藻、嗜好飲料、魚介、肉・卵、乳、調味料、飲料水です1。

    「調理した後」というところが効いています。洗って、皮をむいて、加熱して。実際に口に入る状態で測っています。

    結果の並び

    残留農薬の対ADI比。最大でも2.954%で、許容一日摂取量に対して大きく下回っていることを示す図
    令和4年度調査で定量された農薬等の対ADI比の範囲1。ADIは、一生涯毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される量です。
    定量された農薬等の一部(令和4年度)
    農薬等 ADI(mg/kg体重/日) 平均一日摂取量(µg/人/日) 対ADI比
    グリホサート 1 5.45〜11.08 0.010〜0.020%
    ジノテフラン 0.22 3.31〜5.59 0.027〜0.045%
    アセタミプリド 0.071 0.23〜1.85 0.006〜0.046%
    イミシアホス 0.0005 0.01〜0.83 0.041〜2.954%

    報告書は、推定された対ADI比は0.000〜2.954%であり、国民が一生涯に渡って毎日摂取したとしても健康に影響を生じるおそれはないものと考えられるとしています1。

    そして、全地域・全食品群で定量されなかった農薬等もあります。そちらは検出限界を下回っていたということです1。

    「分かっているもの」と「分かっていないもの」を分ける

    ここが、この記事でいちばん持ち帰れる部分です。

    体に入ってくるものについて、いま日本ではデータの揃い方に大きな差があります。

    入ってくるものと、分かっていることの差
    上限の数字 日本人が実際にどれだけ摂っているか
    残留農薬 ADIあり 毎年、買って測っている
    食品添加物 ADIあり 継続的に推定されている
    PFAS 2024年にTDI設定。ただし海外と最大5,300倍の開き データ収集をこれから進める段階
    マイクロプラスチック なし 測り方が国際的に揃っていない

    「体に悪いものが入ってくる」とひとまとめにすると、この差が消えます。残留農薬は、上限の数字があり、実際の摂取量も測られていて、その結果が公開されている側です。

    不安の総量は変わらなくても、どこに手を打てるかは変わります。

    それでも残る、入る量の不確かさ

    ただし、この調査が答えているのは平均一日摂取量です。

    8地域の食品を、地域別平均の分量に従って混ぜた試料を測っています。平均に一致する人が目の前にどれだけいるかは、別の話です。特定の食品に偏って食べている人の値は、この平均には表れません。

    そして、上の表で見たとおり、測られていない物質、測り方が決まっていない物質もあります。

    調理で減るものもある

    この調査が「買って、調理して、測る」方式をとっているのは、調理で量が変わるからです。

    実際に測られた例があります。乾燥ヒジキの無機ヒ素は、水戻しで5割、ゆで戻しで8割、ゆでこぼしで9割減りました。鉄・カルシウム・食物繊維は7割以上残ります。

    入る量は、食べるかどうかだけで決まるわけではありません。

    入る量が読めないぶんは、出す側で決まる

    ただし、この物質について言えば読めない部分は小さいほうです。対ADI比0.000〜2.954%という数字は、上限まで距離があることを示しています。

    同じ「検出された」でも、距離は桁で違います。添加物は最も高いもので17.2%、カドミウムは平均35%・95パーセンタイルで67%。心配の総量を等分に配る理由はありません。

    入ってくるものを全部把握することはできません。測られているものもあれば、これから測るものもあり、測り方が決まっていないものもあります。

    その状態で体に残る量を決めているのは、入る量と出る量の差のほうです。

    体の出口は尿と便の2つあります。水に溶ける形になったものは腎臓から尿へ。尿から出せないものは、肝臓が胆汁に乗せて便へ送ります。医学の教科書は、胆汁をそうした物質の主要排泄経路と書いていて、そこに出されるものに重金属が挙げられています。

    入口の側は、選べる範囲が限られています。出口の側は、毎日動いています。

    そして、残留農薬については確かめられることが1つあります。対ADI比の数字は毎年測り直されて公表されています。気になる農薬の名前があるなら、その年の報告書で自分の目で位置を確かめられます。不安の大きさではなく、数字の桁で見られる話です。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省「令和4年度 食品中の残留農薬等の一日摂取量調査結果」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/pesticide_residues/assets/001166921.pdf(調査方法 p.1、調査結果 p.2、別表1)

    本記事は公的な調査結果の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品・農法の優劣を示すものでも、選択を勧めるものでもありません。記載の数値は調査年度の平均一日摂取量であり、個人の摂取量がそのまま当てはまるわけではありません。

  • PFASを、いまどこまで気にすればいいか

    PFASを、いまどこまで気にすればいいか

    食品安全委員会は2024年6月25日、PFOSとPFOAの耐容一日摂取量を20 ng/kg体重/日と定めました1。日本で初めて、PFASに数字が引かれたことになります。

    ただし同じ評価書に、こう書かれています。海外評価機関が採用しているエンドポイント(どの健康影響を基準に置くか)及び指標値は大きく異なり、PFOSで約600倍、PFOAで約5,300倍。現時点では、国際的に整合性の取れた健康影響評価が確立されている状況ではない1。

    線は引かれました。ただし、その線がどこにあるかについて、世界の合意はありません。

    どうやって20という数字が出たのか

    耐容一日摂取量(TDI)は、毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される、一日当たりの摂取量です1。

    出し方は、食品添加物の一日摂取許容量と同じ考え方です。動物試験で影響が出なかった量を出発点にして、種の差と個人の差を見込んだ係数で割ります。

    PFOS・PFOAのTDI算出
    PFOS PFOA
    出発点 ラット2世代試験の児動物の体重増加抑制 マウス試験の胎児の骨化部位数の減少など
    ヒト等価用量 500〜600 ng/kg体重/日 5,300 ng/kg体重/日
    不確実係数 30(種間3×種内10) 300(種間3×種内10×LOAEL使用10)
    TDI 20 ng/kg体重/日 20 ng/kg体重/日

    出発点の値は10倍近く違うのに、TDIは同じ20に落ち着いています。不確実係数が30と300で違うためです。数字が同じでも、その後ろにある確からしさは同じではありません。

    600倍と5,300倍という開き

    ここが、この評価書でいちばん正直な部分です。

    海外評価機関の指標値がPFOSで約600倍、PFOAで約5,300倍の開きがあることを示す図
    評価書が記している、海外評価機関の指標値の開き1。同じ物質について、機関ごとにこれだけ違う値が出されています。

    同じ物質について、機関ごとに採用する試験も指標値も違い、その幅がPFOAでは5,300倍に達しています。「エビデンスがある」と言うとき、何を指しているのかという問題が、そのまま出ている状態です。

    そして評価書は、将来的に科学的知見が集積してくればTDIを見直す根拠となる可能性はあると書いています1。いまの20という数字も、確定したものではありません。

    評価できなかったものがある

    PFASは総称で、多くの種類があります。今回、指標値が出たのはPFOSとPFOAの2つです。

    PFHxSについては、「評価を行う十分な知見は得られていない」として、指標値の算出は困難と判断されました1。

    また、EFSAは2020年にPFOS・PFOA・PFHxS・PFNAの合計値で指標を設定していますが、食品安全委員会は複数のPFAS分子種による複合ばく露について、動物試験でも疫学調査でも知見がほとんどないとして、合算での設定を採っていません1。

    自分がどこにいるかは、まだ分からない

    線が引かれても、自分がその線のどちら側にいるかは別の問題です。

    評価書は、今後必要なこととしてこう挙げています。摂取量・ばく露量の分布、高ばく露の個人や集団の把握、摂取・ばく露経路の推定についての情報。そして、飲料水や食品におけるPFAS濃度の分布に関するデータ収集を早急に進めることが必要である1。

    つまり日本人が実際にどれだけ摂っているかの全体像は、これから集める段階にあります。

    これはマイクロプラスチックと同じ構造です。線が引かれたかどうかの違いはありますが、「自分がいまどれだけ入れているか」を確かめる手段が手元にないという点は共通しています。

    入る量が分からないとき、何が残るか

    入口の側について、分かっていることがあります。PFASは撥水・撥油加工に使われてきたため、フライパンのコーティング、撥水加工の衣類、包装紙が経路として挙げられます。

    ここは金属の入口の一覧と並べると位置がはっきりします。金属には、魚種ごとの摂食目安も、水質基準も、耐容週間摂取量もあります。PFASには、日本のTDIという数字が1つあるだけで、自分の摂取量を知る手段がありません。

    そして、入口を完全には閉じられません。この点はマイクロプラスチックと同じ構造です。

    PFASは、分解されにくいことから対策が議論されている物質群です。入口を特定して減らす取り組みは、使用規制や排出源対策として国の側で進みます。

    個人の側で残るのは、入った分をどれだけ処理して外へ出せているかのほうです。

    体の出口は尿と便の2つあります。水に溶ける形になったものは腎臓から尿へ、尿から出せないものは肝臓が胆汁に乗せて便へ送ります。入る量を自分で測れないときほど、この差が効いてきます。

    そして胆汁を介した経路の終点は便です。その通過に関わる食物繊維は、日本人がすでに目標量に届いていない項目でした。

    参考文献・参考資料

    1. 内閣府食品安全委員会「有機フッ素化合物(PFAS)の食品健康影響評価について」2024年6月25日 https://www.fsc.go.jp/osirase/pfas_health_assessment.data/pfas_hyoukagaiyou.pdf 評価に関する情報ページ

    本記事は公的機関の評価書の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の製品・検査・浄水器などの効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。PFASの健康影響評価は国際的に確立しておらず、記載の指標値は今後見直される可能性があります。居住地域の水道水質については、各自治体の公表資料をご確認ください。

  • 出す力を上げたいとき、どこを見ればいいか

    出す力を上げたいとき、どこを見ればいいか

    医学の教科書は、胆汁を「腎臓でろ過または排泄できない、潜在的に有害な脂溶性物質の主要排泄経路」と書いています1。

    そこへ出されるものとして具体的に挙げられているのは、ビリルビン、胆汁酸、コレステロール、リン脂質、そして重金属です1。

    つまり体の出口は、尿だけではありません。尿から出せないものが通る道が、別にあります。そしてその道の終点は、便です。

    腎臓が扱えないものがある

    体から何かを外へ出すとき、まず思い浮かぶのは尿です。腎臓が血液を濾過して、不要なものを尿に混ぜて捨てる。これは正しい。

    ただし、腎臓が扱えるのは水に溶けるものです。脂に溶けやすい物質は、濾過されても再吸収されてしまいます。

    そこで肝臓が、二段階の変換を行います。第一相で分子に手をかけて反応しやすい部分を作り、第二相で別の分子をくっつけて水に溶けやすくする。水に馴染む形になれば、尿から出せます。

    ただし、この変換だけでは足りないものがあります。変換しても水に溶けにくいままのもの、分子が大きすぎるもの。それらの行き先が胆汁です。

    体の出口が尿と便の2つあり、水に溶ける形になったものは尿へ、そうでないものは胆汁を経て便へ向かうことを示す図
    肝臓が水に溶ける形へ変えたものは、腎臓から尿として出ます。それでも尿から出せないものは、胆汁に乗って腸へ向かいます1。

    胆汁は、脂肪の消化だけの液ではない

    胆汁と聞いて出てくるのは、たいてい「脂肪の消化を助ける」という説明です。それも合っています。教科書も、脂肪吸収の促進が胆汁の主な機能だと書いています1。

    ただし同じ教科書が、続けてもう一つの役割を挙げています。潜在的に有害な外因性脂溶性物質と、内因性基質の主要排泄経路であること1。

    胆汁へ排出されるものとして挙げられているもの
    物質
    ビリルビン 古い赤血球を分解してできた色素
    胆汁酸 脂肪の吸収を助ける。大部分は回収される
    コレステロール 体外へ出す主要な経路のひとつ
    重金属 教科書が名指しで挙げている
    リン脂質・酵素・ビタミン

    量も具体的です。肝細胞は1日に600〜1000mLの胆汁を分泌します1。ペットボトル1本から2本分が、毎日この経路を流れています。

    出したものが、戻ってくる仕組みもある

    胆汁は腸へ出たあと、そのまま全部が便になるわけではありません。

    胆汁酸の95%は、回腸で再吸収されて肝臓へ戻ります。便から失われるのは5%で、その分は肝臓で新しく作られて補われます1。この行って戻る流れを、腸肝循環といいます。

    胆汁酸の95%が回腸で再吸収されて肝臓へ戻り、5%が便から出ることを示す循環の図
    胆汁酸について報告されている割合1。再吸収される割合は物質によって異なり、すべてがこの比率で戻るわけではありません。

    ここは慎重に読む必要があります。95%というのは胆汁酸の数字であって、胆汁に出されたすべての物質がこの割合で戻るという意味ではありません。再吸収されるかどうかは物質によって違います。

    それでも、構造としてはっきりしていることがあります。胆汁に出されたものは、いったん腸に置かれる。そこから先、便として出ていくか、腸に留まるかで、体に残る量が変わります。

    便通が、出口の話でもある理由

    ここまでを並べると、便の位置づけが変わります。

    便は「消化のあとの残りかす」だけではありません。肝臓が処理して、尿からは出せないと判断したものが送られてくる先でもあります。

    だから便通の診断基準が、回数だけでなく、いきみ・硬さ・残便感まで6項目で見ているのは、腸の快適さだけの話ではないことになります。通過が滞れば、腸に置かれている時間が延びます。

    そして通過に関わるものには、数字があります。食物繊維の目標量は30〜64歳の男性で22g、女性で18g。実際の摂取量は12.45gと11.5gでした。

    金属についても、同じ向きの数字があります。ニッケルの場合、経口摂取のうち腸から吸収されるのは1〜10%。90〜99%は、吸収されずに便として出ていきます2。

    つまり金属には、2つの出方があります。吸収されずにそのまま通過する分と、吸収されて肝臓で処理され、胆汁に乗って腸へ戻される分。どちらも、最後は腸を通ります。

    この構造があるので、「溜まっているかもしれない」に対して、便の通過は無関係ではありません。口の中の金属や、食品に含まれる金属についても、経路はここへ集まります。

    「出す」を、商法から取り戻す

    「デトックス」という言葉は、いま使いにくい状態にあります。物質名が書かれていない「毒素」を出すという商品や施術が多く、出たかどうかを誰も確かめられないからです。

    ただ、そこで話を止めると、出す側そのものが無かったことになります。

    この記事で並べたのは、すべて標準的な生理学の教科書に書かれていることです。肝臓が二段階で変換すること。水に溶けない物質の主要排泄経路が胆汁であること。そこに重金属が含まれること。1日600〜1000mL分泌されること。95%が回収され、5%が便へ出ること。

    出す側は、実在します。怪しいのは、その仕組みを使って何かを売るときに、何が出たのかを言わない売り方のほうです。

    入れる側だけでは、残る量が決まらない

    健康の話は「何を食べるか」「何を足すか」に寄ります。そちらは選びやすく、買いやすいからです。

    ただ、入る量を完全には管理できないものもあります。そういうとき、体に残る量を決めているのは入る量と出る量の差のほうです。

    そして、どちらから先に手をつけるかには順番があります。出口が滞っていれば、上流を動かしても行き場がありません。

    尿と便。出口は2つあります。片方は水に溶けるものを、もう片方は溶けないものを担当しています。入れる側と一緒に出す側も見るのは、この構造があるからです。

    今日数えられるのは、便が出た回数です。胆汁に出されたものは、いったん腸に置かれます。そこで止まっている時間が長いほど、戻ってくる分が増えます。

    国際的な基準の線引きは週3回未満です。毎日でなくても基準の外ではありませんが、何回だったかを知らないままでは、出口の側が動いているかを判断できません。1週間、数えるところからです。

    参考文献・参考資料

    1. Dave HD, Shumway KR, Al Obaidi NM. Physiology, Biliary. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 最終更新 2022年12月15日. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK537107/
    2. 足立厚子「金属アレルギーの対処法〜全身型金属アレルギーを中心に〜」アレルギー 2020;69(3):169-173.(図1「ニッケルの体内代謝」) https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/69/3/69_169/_pdf

    本記事は生理機能の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品・検査・施術の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。再吸収される割合は物質によって異なり、記載の数値がすべての物質に当てはまるわけではありません。肝機能・胆道系の検査値について指摘を受けている方は、個別の評価が行われている段階で、この記事の範囲には入りません。

  • マイクロプラスチックに、いま現実的にできること

    マイクロプラスチックに、いま現実的にできること

    マイクロプラスチックについて、「体内にどれだけ溜まると危ないか」という線を、まだ誰も引けていません。害がないと分かったからではなく、測り方が国際的に揃っていないからです。

    米国FDAは2024年7月の更新で、「食品中で検出されているレベルが人の健康にリスクをもたらすことを、現在の科学的根拠は示していない」としています。ただし同じページで、その評価を制限している要因も挙げています。標準化された定義、参照物質、試料の採取・調製手順が欠けていることです1。

    つまり「安全だと確かめた」ではなく、「比べられる形で測れていない」という段階にあります。

    入口は3つ挙げられている

    FDAは曝露経路として、空気、食べもの、そしてパーソナルケア製品の使用による皮膚からの吸収を挙げています1。

    ただし3つめについては、成分によって結果が分かれています。日焼け止めの場合、無機の散乱剤は角層の外層より奥へ到達しなかったという報告が大半で、逆に有機の吸収剤は血中に出ることが測定されています。「皮膚から入る」も、物質ごとに分けないと答えが出ません。

    食品については、食塩、魚介類、砂糖、ビール、ボトル入り飲料水などでの検出が報告されています。ただしFDAは、これらについて定量値を示していません。研究ごとに分析方法が違い、比較が困難だからです1。

    ここが、他の体内蓄積の話と決定的に違うところです。鉛と水銀なら、入口が具体的に分かっています。食品添加物なら、一日摂取許容量が決まっていて、日本人の実際の摂取量も毎年推定されています。

    マイクロプラスチックには、そのどちらもありません。

    同じプラスチック由来でも、フタル酸エステル類には物質ごとの耐容一日摂取量があり、2025年6月からポジティブリスト制度が完全施行されています。「プラスチック容器」という1つの入口の中に、答えが出ているものと出ていないものが混ざっています。

    日本の現状認識

    日本学術会議は、提言「マイクロプラスチックによる水環境汚染の生態・健康影響研究の必要性とプラスチックのガバナンス」で、現状をこう書いています2。

    日本学術会議の提言が示している現状
    記述
    可能性として指摘されていること ナノサイズのプラスチックが細胞膜を通過して、生物組織を傷害する可能性がある
    調査の状況 吸着・含有された有害物質による生物への毒性影響の調査事例は少ない
    リスク評価 環境および健康リスク評価は全く行われていない

    「危険だと分かっている」でも「安全だと分かっている」でもありません。評価そのものが行われていない、という第三の状態です。

    欧州食品安全機関(EFSA)は健康リスク評価を開始していて、結果の公表は2027年末までとされています3。線が引かれるとしても、まだ先です。

    入口を全部は閉じられない

    ここから先が、実際に手を動かせる部分です。

    入口を減らす方向は、いくつかあります。飲料の容器を選ぶ、加熱にプラスチック容器を使わない、パーソナルケア製品の成分表示を見る。どれも意味はあります。

    ただし空気が経路に入っている時点で、入る量を自分で完全に管理することはできません。屋内の繊維やほこりからも入ります。減らせても、ゼロにはなりません。

    入る量を減らしても完全には閉じられず、体に残る量は処理して出す側で決まることを示す図
    入口は減らせますが、閉じきることはできません。残る量を決めているのは、入る量と出る量の差のほうです。

    だとすると、実際に体に残る量を決めているのは、入る量だけではありません。入った分をどれだけ処理して外へ出せているか、その差のほうです。

    出す側は、実在する仕組みである

    「デトックス」という言葉は、いま扱いにくい状態にあります。物質名が書かれていない「毒素」を出すという商品や施術が多く、出たかどうかを誰も確かめられないからです。

    ただ、そこで話を止めると、出す側そのものが無かったことになります。実際には、経路ははっきり分かっています。

    体が不要なものを外へ出す経路
    経路 担っているもの
    尿 腎臓。水に溶ける形になったものを濾し出す
    便 肝臓がつくる胆汁。尿からは出せない物質を便側へ送り出す
    変換 肝臓の第I相・第II相。脂に溶けやすい物質を、水に溶ける形へ変える

    肝臓の主な働きは八つ以上あり、そのうちの一つが「胆汁をつくる」ことです。その役割は、尿からは出せない物質を便の側へ送り出すこと。つまり出口は尿だけではありません。

    そしてこの二段階の変換には、注意点があります。第一相でできる中間産物は、元の物質より反応しやすく、場合によっては毒性が強くなります。第二相が追いつかなければ、その中間産物のほうが問題を起こしうる。「解毒力を高める」という言い方が分かりにくいのは、この構造のためです。

    測れないものと、測れるもの

    この「測れなさ」は、検査の側にもそのまま現れています。

    RESONA-LABの結果報告書は、体内蓄積の欄を3つに分けています。重金属は9種の項目名が並び、添加物はE番号で並ぶ。そしてプラスチック蓄積の欄には、「準備中・・・」とだけ書かれています4。

    ここは正直な表示です。金属には、入口ごとの公的な基準や摂取量調査があります。添加物には一日摂取許容量があり、日本人の摂取量も毎年推定されています。マイクロプラスチックには、そのどちらもありません。FDAが定義も参照物質も採取手順も揃っていないと書いているとおりです。

    つまり「まだ測れない」という状態が、そのまま欄に書かれているということです。埋まっている欄と、埋まっていない欄の違いは、体の側ではなく、測る技術の側にあります。

    マイクロプラスチックは、いまのところ入る量も、体内の量も、比べられる形では測れません。線も引かれていません。

    その状態で自分に対してできることは、2つに分かれます。

    入口の側。容器、加熱、パーソナルケア製品。減らせますが、空気が入っている以上、閉じきれません。

    出口の側。尿と便という経路は実在し、肝臓・腎臓・腸が関わっています。便として出す経路は、食物繊維の量に影響されます。そしてその処理に必要な栄養素が足りているかは、確かめられる項目です。

    ほかの入口にどこまで数字があるかは、入ってくるものと、出す力で比べられます。

    入る量が測れないときほど、出す側が働いているかどうかが効いてきます。入口を完全には閉じられないからこそ、そちらが残りの量を決めます。

    参考文献・参考資料

    1. U.S. Food and Drug Administration. Microplastics and Nanoplastics in Foods.(最終更新 2024年7月24日) https://www.fda.gov/food/environmental-contaminants-food/microplastics-and-nanoplastics-foods
    2. 日本学術会議 提言「マイクロプラスチックによる水環境汚染の生態・健康影響研究の必要性とプラスチックのガバナンス」 https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-24-t288-1-abstract.html 提言本文(PDF)
    3. 欧州食品安全機関(EFSA)はマイクロプラスチックの健康リスク評価を開始しており、結果の公表は2027年末までとされています。
    4. RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による。報告書の見本は公式サイトで公開されています https://resona-lab.com/humans

    本記事は公的機関・学術団体の公開資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の製品・検査・食事法の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。マイクロプラスチックの健康影響については評価が進行中であり、記載の内容は今後変わる可能性があります。

  • 糖質を減らすとき、一緒に減るものへの備え

    糖質を減らすとき、一緒に減るものへの備え

    糖質を減らすと、体から出す経路のひとつが細ります。米・パン・麺・いも・果物は、日本人の食物繊維の主な供給源だからです。

    体の出口は尿だけではありません。肝臓は胆汁をつくり、尿からは出せない物質を便の側へ送り出しています。その便の通過に関わるのが食物繊維です。

    そして日本人は、すでに食物繊維の目標量に届いていません。30〜49歳男性で目標22gに対し、実際は12.45gでした。

    目標量が「残り」である、ということ

    『日本人の食事摂取基準(2025年版)』は、炭水化物の目標量をこう説明しています。炭水化物がエネルギー源として重要な役割を担っていることから、たんぱく質及び脂質の残余として目標量(範囲)を設定した1。

    たんぱく質13〜20%と脂質20〜30%を決めたあと、残りが炭水化物50〜65%になることを示す図
    たんぱく質13〜20%、脂質20〜30%。この2つを引いた残りが炭水化物の範囲になります1。

    順番が逆なのが要点です。「炭水化物はこれだけ必要だ」という研究から50〜65%が出たのではありません。他の2つを決めた結果、そこが空いた。

    だから、この範囲を下回ったときに何が起きるかについて、基準は答えを持っていません。線が引かれていないことと、下回って大丈夫なことは別です。

    なお、この%エネルギーにはアルコールから摂ったエネルギーも含まれます(基準表の脚注に明記されています)1。飲む人は、炭水化物の枠の一部を酒が占めていることになります。

    砂糖にも、目標量はない

    糖質制限の話で真っ先に減らされるのは砂糖ですが、糖類(単糖及び二糖類)に目標量は設定されていません。

    報告書は理由を書いています。糖類の過剰摂取が肥満や齲歯の原因となることは広く知られているが、諸外国で指標の設定に多く用いられている added sugar 及び free sugar の摂取量の把握が日本において現状では困難であること、及び他国と日本における糖類摂取状況が大きく異なる可能性があることから、目標量は設定しなかった1。

    害がないから設定しなかったのではありません。日本人が実際にどれだけ摂っているかを測る仕組みが、まだないからです。

    減るのは、糖質だけではない

    ここが、この記事でいちばん実務的な部分です。

    糖質を減らすと、米・パン・麺・いも・果物が減ります。これらは日本人の食物繊維の主な供給源です。

    そして食物繊維が関わっているのは、便の通過です。体が不要なものを処理して外へ出すとき、出口は尿だけではありません。肝臓の主な働きの一つが「胆汁をつくる」ことで、その役割は尿からは出せない物質を便側へ送り出すことでした。

    つまり糖質を減らすという選択は、入れる側の話に見えて、出す側にも届きます。入れる側と出す側を一緒に見るのは、そのためです。

    その食物繊維には、はっきりした目標量があります。

    食物繊維の目標量と実際の摂取量。30〜49歳男性は目標22gに対し摂取12.45g、女性は18gに対し11.5g
    30〜49歳の目標量と、摂取量の中央値1。目標量の算定に用いられたのは平成30年・令和元年の国民健康・栄養調査の値です。
    食物繊維の目標量(g/日)
    年齢 男性 女性
    18〜29歳 20以上 18以上
    30〜64歳 22以上 18以上
    65〜74歳 21以上 18以上
    75歳以上 20以上 17以上

    さらに、この目標量は理想の量ではありません。報告書は、成人の理想的な目標量は25g/日以上と考えられるが、現在の日本人の摂取実態を鑑み、実行可能性を考慮してこれよりも低く設定されていると書いています1。

    効果の大きさについても数字があります。観察研究を含むメタ・アナリシスでは、25〜29g/日の摂取量で最も顕著な効果が観察されたと報告されています1。

    つまり、下げられている目標量にすら届いていないところから、さらに糖質を減らすことになります。

    減らすなら、どこから入れ直すか

    糖質を減らすこと自体を止めるものではありません。減った食物繊維をどこから入れるかを、先に決めておきます。

    穀類以外の供給源は、豆類、海藻、きのこ、野菜、ナッツです。ここを増やさずに主食だけ減らすと、目標量からの距離が開きます。

    ただし、一度に大きく増やすと張りや不快感が出ます。報告書も、便秘の重症化予防を目的とした食物繊維の追加摂取について、1日10g・少なくとも4週間にわたる追加が勧められていること、腸にガスがたまるといった症状の悪化も報告されていることから、慎重に判断されるべきだとしています1。

    成分表の版が変わると、数字も変わる

    食物繊維の数字を扱うときの注意が1つあります。

    日本食品標準成分表が七訂から八訂になったとき、測定法が変わりました。精白米は0.3g→1.5g、食パンは2.3g→4.2g(可食部100gあたり)。食品が変わったのではなく、測り方が変わったためです1。

    そして目標量のほうは、七訂相当の測定法で算定されています。八訂を使ったアプリで計算すると、実際より高めの値が出ます。報告書も「八訂を用いた場合の値は高めに算出されることを考慮すべきである」と書いています1。

    線が引かれていない場所と、引かれている場所

    もう1つ、食物繊維が関わる場所があります。通過そのものです。

    ニッケルの場合、経口で入った量のうち腸から吸収されるのは1〜10%で、90〜99%は吸収されずに便として出ていきます2。加えて肝臓が胆汁に出したものも腸へ送られてきます。医学の教科書は、そこへ出されるものに重金属を名指しで挙げています。

    つまり便として出る経路は、栄養の話であると同時に、入ってきたものが体を通り抜ける経路でもあります。糖質を減らすと食物繊維も一緒に減る、という構造が効いてくるのは、こちら側でもあります。

    目標量22g・18gに対して、実際は12.45gと11.5g。出口が先で、上流があとという順番の中で、いちばん数字がはっきりしているのがこの差です。

    炭水化物の目標量は、他の2つを決めた残りでした。糖類には目標量そのものがありません。「何%から制限なのか」に、日本の基準は答えを持っていません。

    数字があるのは食物繊維です。30〜64歳の男性で22g、女性で18g。実際の摂取量は12.45gと11.5g。しかもこの目標量は、理想とされる25gから実行可能性を考慮して下げた値でした。

    糖質をどれだけ減らすかは自分で決めることになります。そのとき手元にある唯一の数字が、食物繊維です。

    そして食物繊維は、入れる側の項目でありながら、出す側の経路にも関わっています。減らした分をどこから入れ直すかは、その両方を動かす選択になります。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 各論 エネルギー・たんぱく質 1-4 炭水化物 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316464.pdf(食物繊維の摂取量 p.135、測定法の変更 p.136、便秘と食物繊維 p.137、概要 p.138、炭水化物の基準表 p.143、食物繊維の基準表 p.144)
    2. 足立厚子「金属アレルギーの対処法〜全身型金属アレルギーを中心に〜」アレルギー 2020;69(3):169-173. https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/69/3/69_169/_pdf

    本記事は公的な基準の整理であり、個別の診断・治療・栄養指導に代わるものではありません。特定の食品・製品・食事法の効果を示すものでも、実施を勧めるものでもありません。必要量には個人差があり、記載の数値がそのまま当てはまるとは限りません。糖尿病などで食事療法を受けている方は、量が個別に決められています。この記事の範囲の外です。

  • 更年期かどうかを決めるのは、血液検査ではなく月経と症状

    更年期かどうかを決めるのは、血液検査ではなく月経と症状

    40代、50代に入ってから、それまでなかった不調が出てきた。ほてり、寝つきの悪さ、イライラ、疲れやすさ。調べると「更年期かもしれません」と出てきます。

    ただ、本当にそうなのかをどう確かめるのかは、たいてい書かれていません。

    更年期かどうかは、血液検査では決まりません。決めているのは、年齢と、月経の状況と、症状と、ほかの病気がないことです。

    このうち検査でまっすぐ確かめられるのは、4つ目だけです。順に見ていきます。

    「更年期」は、期間の名前

    更年期は、症状の名前ではなく期間の名前です。

    閉経とは、1年間月経がない状態を指します。日本人女性の閉経平均年齢は50.5歳で、これをはさんだ前後10年間が更年期(周閉経期)です1。

    更年期は閉経をはさんだ前後10年間。日本人の閉経平均年齢は50.5歳で、45.5歳から55.5歳にあたる
    閉経の平均は50.5歳。その前後5年ずつ、計10年間が更年期にあたります1。閉経は「最後の月経から1年たった」ことで判定されるため、渦中では確定しません。

    ここに、知られていない性質があります。閉経は、後ろから決まります。1年間月経がなくて初めて「あれが最後だった」と分かる。つまり、いま不調の渦中にいる人が「自分は更年期のどのあたりか」を確定させることは、その時点ではできません。

    症状が出ている最中に「更年期です」と一発で確定する検査が存在しないのは、この構造のためです。

    症状があることと、病名がつくことは別

    日本産科婦人科学会は、二つを分けています。更年期に現れるさまざまな症状が更年期症状。そのうち症状が重く、日常生活に支障をきたす状態が更年期障害です2。

    症状の幅は広く、学会が挙げているだけでも三つの系統にまたがります。ほてり・のぼせ・発汗といった血管症状、めまい・動悸・胸が締め付けられるといった身体症状、気分の落ち込み・意欲の低下・イライラといった精神症状です2。厚生労働省研究班の解説は、これに皮膚の乾燥やかゆみ、腟の乾き、尿失禁なども加えています1。

    幅が広いということは、当てはまる項目が見つかりやすいということでもあります。リストに当てはまったことは、原因がそれだと示していません。

    疑っている人と、確かめた人の差

    厚生労働省が2022年3月に実施した調査があります。全国の20〜64歳、女性2,975人・男性2,025人へのインターネット調査です3。

    女性で更年期障害の可能性を考えている割合は40代28.3%・50代38.3%、医療機関で診断された割合は40代3.6%・50代9.1%
    女性で「更年期障害の可能性がある」と考えている割合と、医療機関で診断された割合3。調査の「更年期症状」は回答者本人の主観に基づくものと、報告書に明記されています。

    50代女性では、38.3%が更年期障害の可能性を考えていて、医療機関で診断されたのは9.1%。40代では28.3%に対して3.6%です3。

    受診の側から見ると、もっとはっきりします。更年期症状を自覚している人のうち「受診していない」と答えたのは、40代女性で81.7%、50代女性で78.9%でした3。

    そして同じ調査で、更年期に入る前にほしかった情報を聞いています。40代女性の回答では「主な更年期症状に対する対処法」38.4%、「主な更年期症状の内容や程度」35.6%に続いて、「医療機関(婦人科等)を受診する目安」が21.9%、「受診すべき診療科の情報」が17.3%でした3。

    足りていないのは症状の一覧ではなく、いつ、どこへ行けばいいのかのほうだった、ということになります。

    ホルモンを測れば決まる、ではない

    「血液検査で女性ホルモンを測れば分かる」と考えて受診する人がいます。ここが、実際とずれています。

    厚生労働省研究班の解説はこう書いています。「血液中のホルモン濃度測定は、更年期の診断の補助に使えます」1。補助であって、決め手ではありません。

    理由は前の節と同じです。閉経の判定そのものが「12か月月経がない」という時間の観察で決まります。数値ひとつを取り出しても、その時間を先取りできません。

    これは健診の「異常なし」が答えている問いが狭いのと同じ構造です。検査は測った項目について答えるだけで、測っていないものについては何も言いません。

    測れるのは、「更年期以外」のほう

    ここが、この記事でいちばん実務的な部分です。

    厚生労働省研究班の解説は、更年期障害を疑うときに除外が重要な疾患として、次を具体的に挙げています1。

    更年期障害と症状が重なり、50歳近辺で頻度が多くなる疾患
    疾患 解説が挙げている受診先
    糖尿病 内科
    甲状腺機能低下症 内科
    メニエール病 耳鼻科
    手指関連疾患 整形外科

    日本産科婦人科学会も、症状の陰に別の病気が潜んでいないかの確認は大切だとして、産婦人科だけでなく内科・整形外科・耳鼻科・心療内科・精神科への受診をすすめることがある、と書いています2。

    この一覧が示しているのは、更年期かどうかを測るのではなく、更年期以外を消していくという順番です。そして消す側は、どれも数値や検査で確かめられます。

    甲状腺機能低下症は、疲れやすさ、寒がり、体重増加といった「代謝が落ちた」と表現されがちな不調と重なります。血液でTSHとFT4を測れば分かる項目です。

    疲れが抜けないという訴えなら、ヘモグロビンが基準内でも貯蔵鉄が減っている状態もありえます。フェリチンで確かめられます。

    自分の側で用意できるもの

    受診するかどうかを別にしても、記録は先に作れます。検査で代わりに出せないのが、まさにこの部分だからです。

    月経のこと。最後の月経がいつだったか。周期が乱れ始めたのはいつごろからか。量に変化はあるか。

    症状のこと。何が、いつから、週に何回くらい、どれくらい続くか。そして日常生活に支障が出ているかどうか。学会が更年期症状と更年期障害を分けている基準がここなので、診察室でもそのまま使われます。

    厚生労働省研究班のサイトには、症状の程度を点数にするセルフチェックが公開されています。点数そのものが診断になるわけではありませんが、「なんとなく調子が悪い」を持っていくより、記録を持っていくほうが話が早く進みます。

    治療の選択肢は、一つではない

    日本産科婦人科学会が挙げている治療は、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、向精神薬(抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬)です2。どれを使うか、使わないかは、症状と本人の状況によって医師が判断します。

    ここで書けるのは、選択肢が複数あるという事実までです。個別にどれが向いているかは、この記事では決められません。

    男性の場合は、まだ分かっていないことが多い

    同じ厚生労働省の調査で、男性にも聞いています。50代男性で更年期障害の可能性を考えている割合は14.3%、診断されたのは1.7%でした3。

    ただし調査の定義欄は、男性の更年期障害についてこう書いています。概ね40歳以降に男性ホルモン(テストステロン)の減少により女性更年期障害と類似した症状を呈するが、病態が複雑で、まだ十分に解明されていない3。

    女性の更年期と同じ精度で語れる段階にはない、というのが現時点の状況です。

    確かめる順番

    順番の前に、押さえておくことが1つあります。ここで挙がる症状は、他の説明とほぼ全部重なります。

    疲労感、集中力の低下、睡眠の問題、肌の変化、気分の落ち込み。一般の人1,000人の調査では、過去7日間に症状がまったくなかった人は10.6%でした。栄養素不足の説明にも、検査結果の症状一覧にも、同じ言葉が並びます。

    だから「当てはまるかどうか」では、どれなのかが決まりません。決まるのは、年齢、月経の変化、そして経過という、当てはまり以外の情報です。

    更年期かどうかを一発で決める検査はありません。決めているのは、年齢と、月経の状況と、症状と、ほかの病気がないことでした。

    このうち自分で用意できるのは、最後の月経の時期と、症状の記録です。検査ではっきりするのは、甲状腺・血糖・貧血といった更年期以外の側です。そして、そちらが消えるほど、更年期という説明は確からしくなります。

    受診先が婦人科とは限らないのも、同じ理由からです。症状の内容によっては、内科や耳鼻科が先になります。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省研究班(東京大学産婦人科学講座・国立成育医療研究センター監修)「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」更年期障害とは? https://w-health.jp/climacterium_alarm/about_climacterium/(最終更新 2025年5月13日)
    2. 公益社団法人 日本産科婦人科学会「更年期障害」 https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/
    3. 厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査(結果概要)」2022年 https://www.mhlw.go.jp/content/000969136.pdf(定義 p.1、更年期障害の可能性 p.2、受診までの期間 p.3、ほしかった情報 p.8)

    本記事は公的機関・学会の公開資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の治療法・食品・サプリメント・製品の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。症状の現れ方には個人差があり、記載の数値がそのまま当てはまるとは限りません。

  • 寝る前のコーヒー1杯は、すでに線を超えている

    寝る前のコーヒー1杯は、すでに線を超えている

    日本は、カフェインの1日の目安を示していません。感受性の個人差が大きく、健康への影響を正確に評価することが難しいから、というのがその理由です。

    数字を出しているのは海外で、健康な成人は1日400mg・1回200mgでほぼ一致しています。コーヒーなら200mLのマグカップで約120mg、3杯強です。

    ただし寝る前の1杯は、すでに別の線を超えています。就寝直前の100mgで睡眠障害が起きうる、という報告があります。

    日本が数字を出していない理由

    農林水産省のカフェインのページには、こう書かれています。「日本では、明確な基準や具体的な摂取量の目安は示していないものの、海外における情報に基づき、農林水産省のほか、以下の機関から情報発信をしています」1。

    内閣府食品安全委員会のファクトシートは、もう一歩踏み込んで書いています。「カフェインに対する感受性は個人差が大きいため、健康に及ぼす影響を正確に評価することは難しく、カフェインの一日摂取許容量(ADI)は設定されていません」2。

    調べた結果、一つの数字にすると実態から外れるという判断になった、ということです。同じ量で眠れなくなる人と、何ともない人がいます。

    同じものを食べても反応が人によって違うのと同じで、集団の平均で線を引いても、その線が自分に当てはまる保証はありません。

    海外の数字は、そろっている

    一方、海外の機関は具体的な値を出しています。しかも、健康な成人についてはほぼ一致しています1。

    各機関が示しているカフェイン摂取量の目安(上限)
    機関 健康な成人 妊婦・授乳婦
    欧州食品安全機関(EFSA)2015年 1日400mg/1回200mg 1日200mg
    米国食品医薬品局(FDA) 1日400mg かかりつけ医に相談
    カナダ保健省 1日400mg(18歳以上) 1日300mg
    オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ) 1日400mg/1回200mg(18歳以上) 1日200mg
    世界保健機関(WHO)2016年 — 1日300mg以上で摂取量を減らすよう注意喚起

    成人の1日400mgは、4つの機関で一致しています。分かれるのは妊婦の値で、200mgと300mgに割れています。18歳未満については、体重1kgあたり2.5〜3mgで示されています1。

    400mgは、何杯なのか

    ここを、日本の数字で換算します。文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』の値です1。

    100mLあたりのカフェイン量。玉露160mg、コーヒー60mg、紅茶30mg、せん茶20mg
    浸出液100mLあたりのカフェイン量1。ほうじ茶・ウーロン茶も20mg、番茶は10mgです。玉露は茶葉10gを60℃の湯60mLで2.5分という濃い出し方のため、この値になります。

    いちばん濃いのは玉露です。コーヒーの約2.7倍。一度に飲む量は少なくても、「お茶だから軽い」とは言えません。

    コーヒーは60mg/100mL。200mLのマグカップで約120mgになります。400mgは3杯強という計算です。

    エナジードリンクや眠気覚まし用の飲料は、農林水産省が2026年7月に市販12製品の成分表示を調べたところ、1本あたり50〜170mgでした1。製品によって3倍以上の幅があります。

    夜、眠れないのはどの量からか

    就寝直前であれば、100mgから睡眠に影響が出ることがあります。1日の総量とは別の話です。

    オーストリア保健・食品安全局(AGES)が2017年に公表したエナジードリンクの健康リスク評価は、こう述べています。「就寝直前に、1回当たり100mg(体重70kgの成人の場合:約1.4mg/kg体重)のカフェイン摂取は、一部の成人で睡眠障害を引き起こす可能性がある」2。

    カフェイン量の目安。就寝直前100mg、コーヒー1杯120mg、1回の目安200mg、1日の目安400mg
    各機関が挙げている量と、コーヒー1杯(200mLのマグカップ)の位置12。1日の上限にはまだ余裕があっても、寝る前の1杯はすでに睡眠に影響しうる量を超えています。

    1杯で超えます。1日の総量では余裕があっても、飲んだ時刻のほうで効いてくる、ということです。

    ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)も、「一部のヒトはコーヒー1杯でも睡眠障害を生じることもある」と書いています2。

    公的な睡眠指針が見ている「質」は、朝の休養感でした。寝つきや中途覚醒に心当たりがあるなら、杯数より最後の1杯が何時だったかのほうが確かめやすい項目です。

    知らないうちに重なる

    カフェインが入っているのは、コーヒーと茶だけではありません。農林水産省は、風邪薬・眠気防止薬・酔い止め薬といった市販の医薬品にも含まれていることがあると書いています1。

    そのうえで、次の2つを挙げています1。

    • カフェインを含む医薬品を服用するときは、エナジードリンクやコーヒー、お茶と一緒に飲むことを避ける
    • エナジードリンクなどカフェインを多く含む飲料と、アルコールを一緒に摂らない

    後者について、米国疾病予防管理センター(CDC)は理由を説明しています。カフェインがアルコールによる機能低下を隠すため、思った以上に飲んでしまう可能性がある。そしてカフェインはアルコールの代謝に影響しないので、血中のアルコール濃度は下がりません1。

    お酒を飲んだ日の睡眠にも別のことが起きているので、この2つが重なった日は、翌朝の状態が読みにくくなります。

    粉末は、まったく別の話

    高純度・高濃度のカフェイン粉末は、飲み物とはまったく別の話です。含まれる量の桁が違います。

    米国食品医薬品局(FDA)は、高純度のカフェイン粉末では小さじ1杯にコーヒー28杯分、液体の高濃度製品では半カップでコーヒー20杯分以上のカフェインが含まれると説明しています1。

    安全な量と有害な量の差が非常に小さく、台所用の計量器具では正確に量れない。これを理由に、FDAは2018年、粉末や液体の高純度・高濃度カフェインを大量包装で消費者に直接販売することを違法とみなすガイダンスを出しました1。

    ドイツでは、ティースプーン2杯(約9g)の高濃度カフェイン粉末を摂取した若い女性が急性中毒で死亡した例が報告されています1。

    自分の感受性のほうを見る

    この記事で見てきた数字の作られ方は、他の物質と同じ形をしています。

    食品添加物の一日摂取許容量は、動物実験で影響が出なかった量を100で割って作られています。カドミウムの耐容週間摂取量は、腎臓への影響を指標に置かれています。上限の数字には、必ず「何を守るために置いたか」があります。

    カフェインの場合、日本には上限値が設定されていません。だからこの記事で並べたのは、他国の機関が置いた数字でした。数字を見るときは、誰が、何を守るために置いたかを一緒に見ます。

    日本に数字がないのは、決めていないからではなく、一つの数字では合わないという判断の結果でした。

    だとすると、使える情報は2つになります。ひとつは、海外機関が示している400mgという枠。もうひとつは、自分がその枠のどこで反応するかです。

    コーヒー1杯で眠れなくなる人がいることは、公的な資料にも書かれていました。その場合、正しい上限は400mgではありません。一度に一つだけ変えて、変化を記録する。最後の1杯の時刻を2時間早めてみて、朝の感覚が変わるかを見る。確かめ方はそちらになります。

    めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠、下痢や吐き気。これらは農林水産省が過剰摂取の影響として挙げている症状です1。減らして消えるならカフェインが原因で、消えないなら別のものです。そこは自分で切り分けられます。

    参考文献・参考資料

    1. 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」(作成 2015年12月25日/最終更新 2026年8月28日) https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
    2. 内閣府食品安全委員会「ファクトシート 食品中のカフェイン」(作成 2011年3月31日/最終更新 2018年2月23日) https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf

    本記事は公的機関の公開資料の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・飲料・製品の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。カフェインへの感受性には大きな個人差があり、記載の数値がそのまま当てはまるとは限りません。

  • たんぱく質を、どこまで増やす意味があるか

    たんぱく質を、どこまで増やす意味があるか

    たんぱく質に、耐容上限量は設定されていません。健康な人で腎機能を悪くすると言える報告が足りない、というのがその理由です。

    同じ報告書が、逆のことも書いています。1.6 g/kg体重/日を超えて摂っても、除脂肪量はそれ以上増えない可能性が高い。

    「飲みすぎると腎臓に悪い」も「多いほどいい」も、日本の公的な基準のなかでは根拠が乏しいとされていました。

    必要量には、具体的な数字がある

    『日本人の食事摂取基準(2025年版)』は、たんぱく質の推奨量を年齢と性別ごとに示しています1。

    たんぱく質の推奨量と目標量(g/日、%エネルギー)
    年齢 推奨量 男性 推奨量 女性 目標量(男女共通)
    18〜49歳 65g 50g 13〜20%エネルギー
    50〜64歳 65g 50g 14〜20%エネルギー
    65歳以上 60g 50g 15〜20%エネルギー

    この数字の出どころは、たんぱく質維持必要量 0.66 g/kg体重/日です。15〜84歳を対象にした28研究・計348人のメタ・アナリシスで得られた値で、95%信頼区間は0.64〜0.68。性差も、若年・中年と高齢者の差も認められませんでした1。

    推奨量は、ここに参照体重と個人差の係数を掛けて出しています。

    日本人の平均は、すでに推奨量を上回っている

    では、実際にどれくらい食べているのか。令和5年(2023年)の国民健康・栄養調査では、20歳以上の1日あたり平均摂取量は男性77.7g、女性65.7gでした2。

    たんぱく質の推奨量と実際の摂取量。男性は推奨量65gに対し摂取量77.7g、女性は推奨量50gに対し65.7g
    20歳以上の1人1日あたり平均摂取量と、18〜64歳の推奨量21。80歳以上でも男女計67.1gで、推奨量を下回ってはいません。

    もちろんこれは平均です。平均に一致する人がどれだけいるかは別の話で、少ない人はいます。ただ、「日本人全体としてたんぱく質が不足している」と言える状況ではありません。

    上限が設定されていない理由

    ここが、この記事でいちばん重要な部分です。

    食事摂取基準は、栄養素ごとに「これ以上は健康被害のリスクが上がる」という耐容上限量を定めます。たんぱく質には、どの年齢区分にも設定されていません1。

    報告書は、その検討過程をそのまま書いています。もっとも関連が深いと考えられたのは腎機能への影響でした。そこで調べた結果が、次の3つです1。

    健康な人での、たんぱく質摂取と腎機能に関する報告
    研究 結果
    健康な人で摂取量を変えて腎機能を検討した試験のシステマティック・レビュー 35%エネルギー未満であれば腎機能を低下させることはないだろうと結論
    20%エネルギー以上(1.5 g/kg体重/日以上または100 g/日以上)の高たんぱく質摂取が糸球体濾過率に与える影響のメタ・アナリシス 通常または低たんぱく質摂取と比べて有意な違いは観察されなかった
    たんぱく質摂取量と腎疾患リスクをまとめた2023年のアンブレラレビュー 観察期間が短いなどの課題は残るが、発症リスクを高めるという結論には至らなかった

    これらを踏まえて、報告書はこう書いています。「現時点でたんぱく質の耐容上限量を設定し得る十分かつ明確な根拠となる報告はない」1。

    読み違えやすいところなので分けておきます。上限が設定されていないことは、「いくらでも大丈夫」という意味ではありません。調べた範囲では健康な人の腎機能を悪くすると言える結果が出ていない、というところまでです。

    そして、これは健康な人の話です。慢性腎臓病(CKD)では、腎臓の保護を目的にたんぱく質摂取量の制限が食事療法の主眼に置かれています1。すでに腎機能を指摘されている人は、この記事の範囲の外にいます。

    ただし、「多いほどいい」の根拠もない

    同じ報告書が、逆の方向についても書いています。

    レジスタンストレーニング期にある成人を対象に、たんぱく質の除脂肪量への効果を検証した研究のメタ・アナリシス。そこでは、1.6 g/kg体重/日以上摂取しても、除脂肪量の増大への効果は得られない可能性が高いと報告されています1。

    体重あたりのたんぱく質量。維持必要量0.66、推奨量約1.1、高齢者で検討された1.2、筋量の頭打ち1.6 g/kg体重/日
    報告書に出てくる体重あたりの量を並べたもの1。推奨量は体重60kgの成人男性(65g/日)を目安に換算した値です。

    さらに、推奨量以上の摂取によって他の健康指標に有益な影響が得られるという根拠も乏しいとされています。報告書は、「上限のないたんぱく質の摂取が健康増進に有益な効果をもたらすわけではない点には注意が必要である」と明記しました1。

    血圧との関連も、骨密度との関連も、レビューの結果は一貫しておらず十分な結論は出ていません1。

    例外は、65歳以上

    年齢によって、話の向きが変わります。

    2025年版では、65歳以上の目標量の下限が15%エネルギーに引き上げられています(1〜49歳は13%、50〜64歳は14%)。理由は、フレイルとサルコペニアの発症予防です1。

    報告書は、高齢者については推奨量の値よりも多め(1.2 g/kg体重/日以上)に摂取するほうが、フレイル及びサルコペニア発症を予防できる可能性があると書いています1。

    根拠のひとつが、70歳以上の高齢男性を対象にした10週間の無作為化比較試験です。0.8 g/kg体重/日を摂る群では四肢の筋量が減少し、その2倍の1.6 g/kg体重/日を摂る群では維持されました1。

    若年成人でも、エネルギー摂取量を増やしたうえで比べた試験で、0.68 g/kg体重/日の群は除脂肪量が減り、1.8 g/kg体重/日の群は増えたと報告されています1。

    つまり、「生きるのに足りる量」と「筋量を保つ量」は別の数字だということです。推奨量は前者を満たすための値でした。

    目標量の上限、20%エネルギーの意味

    耐容上限量はありませんが、目標量には上限があります。1歳以上の全年齢区分で20%エネルギーです1。

    報告書は、この線を引いた理由も書いています。20〜23%エネルギー前後の摂取について、成人では各種の代謝変化への影響が、高齢者では腎機能に好ましくない影響が、検証すべき課題として残されているとシステマティック・レビューが結論づけているためです。そのうえで「十分な科学的根拠はまだ得られていないものの」と添えられています1。

    目標量のエビデンスレベルはD2とされています1。根拠の強さを示す記号で、基準の中でも確実性が高いほうではありません。

    参考までに、日本人20歳以上の実際のたんぱく質エネルギー比率は、調査の脂質・炭水化物の比率から逆算すると約15%になります2。目標量の範囲のなかにあります。

    自分がどこにいるか

    整理すると、数字はこう並びます。

    足りているかどうか。日本人の平均は推奨量を超えています。まず、自分が平均から大きく外れていないかを見ます。栄養素には血液で確かめられるものと、食べている量から見るものがあり、たんぱく質は後者です。

    増やす理由があるかどうか。筋量を保ちたい、あるいは65歳以上である。この場合は、推奨量より多い側に理由があります。

    どこで止まるか。筋量については1.6 g/kg体重/日。それ以上の効果は確かめられていません。

    もう1つ、筋肉とは別の使い道があります。体が異物を処理して外へ出すとき、第II相でくっつける材料はアミノ酸から作られます。グリシン、タウリン、グルタミン酸、そして硫酸は含硫アミノ酸から。解毒の材料は、特別な物質ではなくアミノ酸と糖です。

    ただし、ここから「たんぱく質を増やせば処理が速くなる」とは言えません。足りていない状態から足したときと、足りている状態から足したときでは、起きることが違います。そして日本人の平均は、すでに推奨量を超えています。

    「たんぱく質は多いほどいい」も「たんぱく質は腎臓に悪い」も、同じ報告書のなかで根拠が乏しいとされていました。足すかどうかは、その前に自分の目的を決めてからになります。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 各論 エネルギー・たんぱく質 1-2 たんぱく質 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316462.pdf(維持必要量 p.87、耐容上限量 p.93、推奨量以上の摂取 p.94、高齢者とフレイル pp.94-95、目標量 pp.95-96、CKD p.96、概要 p.97、基準表 p.103)
    2. 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」栄養素等摂取量(表3・表4) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf

    本記事は公的な基準と統計の整理であり、個別の診断・治療・栄養指導に代わるものではありません。特定の食品・サプリメント・製品の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。必要量には個人差があり、記載の数値がそのまま当てはまるとは限りません。

  • 睡眠の質を上げるために、まず確かめる2つ

    睡眠の質を上げるために、まず確かめる2つ

    身体が必要とする時間以上に床の上で長く過ごすと、眠りの質は下がります。寝つきが悪くなり、途中で目が覚め、熟眠感が減る。厚生労働省の睡眠ガイドにそう書かれています1。

    「明日は大事な日だから早く寝よう」は、逆に働きます。

    そして、その「質」が何を指すのかも定義されています。睡眠休養感、つまり「睡眠で休養がとれている」という感覚です。

    装置で測る数値ではありません。朝、目が覚めたときの自分の感覚のほうです。

    成人への推奨は、3つだけ

    厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が、成人に向けて挙げているのは次の3つです1。

    成人の推奨事項(睡眠ガイド2023)
    内容
    量 適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する
    質 食生活や運動等の生活習慣、寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める
    不調のとき 生活習慣等の改善が重要だが、病気が潜んでいる可能性にも留意する

    3つしかありません。そして「◯◯を摂る」「◯◯を使う」といった項目は、ひとつも入っていません。

    長く寝ようとすると、質は下がる

    ここが、いちばん実用的で、いちばん知られていない部分です。

    ガイドはこう書いています。身体が必要とする睡眠時間以上に眠ろうとして床の上で長く過ごすと、「寝つくまでに長く時間がかかる」「途中で目が覚める時間(回数)が増える」「熟眠感が減る」など、眠りの質が低下する1。

    つまり、「明日は大事な日だから早く寝よう」は、逆に働きます。眠くないのに床に入る時間を増やすと、寝つきが悪くなり、途中で目が覚め、朝の休養感が落ちる。

    質を上げたいときにまず見るのは、床にいる時間を延ばしていないかのほうかもしれません。

    必要な時間は、年齢と季節で変わる

    「7時間寝ればいい」という数字も、一律ではありません。脳波で実際に測った研究では、年齢とともに、実際に眠れる時間が短くなります1。

    脳波で測った夜間の睡眠時間は15歳前後で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と年齢とともに短くなる
    成人後は、およそ20年ごとに30分の割合で夜間の睡眠時間が減っていきます1。45歳で6.5時間眠れているなら、それは短いのではなく年齢どおりです。

    季節でも動きます。冬は夏に比べて10〜40分ほど長くなることが示されています1。

    そして個人差があります。ガイド自身が、こう注意しています。10時間を超える長い睡眠を必要とする人の場合、ガイドに沿って睡眠時間を8時間に短くすることは、かえって睡眠不足を招く可能性がある1。

    だから「指針」ではなく「ガイド」になった

    この文書は、2014年版までは「睡眠指針」という名前でした。2023年版で「睡眠ガイド」に変わっています。

    報告書は、その理由を書いています。「指針」という表現が、全ての国民が等しく取り組むべき事項であるという誤解を与える可能性等を考慮した1。

    名前を変えてまで、全員が同じことをする話ではないと伝えようとしています。「睡眠の質を上げる10の方法」のような一律のリストとは、立っている場所が違います。

    日本の現状

    参考までに、いまの日本の数字です。20〜59歳では、睡眠時間が6時間未満の人が約35〜50%を占めます1。

    そして「睡眠による休養を十分とれていない者の割合」は、平成21年の18.4%から平成30年の21.7%へ増加しました。国の評価は「D(悪化している)」です1。とくに50歳代で増え方が大きくなっていました。

    量が足りていない人が半分近くいて、休養感のほうは10年で悪化した。質の前に、量が確保できていないという順番が見えてきます。

    時間は足りているのに、休養感が低いとき

    ここは分けて考える必要があります。

    ガイドは、睡眠時間を十分確保しているにもかかわらず睡眠休養感が低下した場合、医療機関などで原因を詳しく調べてもらう必要があるとしています1。

    閉塞性睡眠時無呼吸のような睡眠障害が隠れていると、睡眠環境や生活習慣、嗜好品のとり方を改善しても、休養感は戻りません1。

    いびきを指摘されたことがある、日中の眠気が強い、朝の頭痛がある。こうした場合は、生活の工夫を続けるより先に相談したほうが早く進みます。

    今日から見られること

    ここでも、当てはまるかどうかと、数えられるかどうかを分けておきます。

    「睡眠障害」「すっきりしない朝」は、多くの説明が原因として名乗りを上げる症状です。栄養素不足の一覧にも、検査結果の症状一覧にも入っています。一般の人の9割が、週に何個かこうした症状を経験しています。

    対して、この記事で見てきた睡眠休養感は、指針が採用している指標です。当てはまるかどうかではなく、自分で答えられる問いになっています。

    「質を上げる」の前に確かめること
    見るもの 手がかり
    眠っている時間 6時間を切っていないか。切っているなら、まずここ
    床にいる時間 必要以上に長くしていないか。延ばすと質は下がる
    朝の感覚 「休まった」と感じるか。これが公的指針でいう「質」
    年齢 45歳で6.5時間なら、短いのではなく年齢どおり
    前夜の条件 お酒を飲んだ日は後半の質が落ちます

    順番があります。量が足りていないなら、質の工夫より先に量です。量は足りているのに休養感が低いなら、生活の工夫か、病気が隠れていないかの確認へ進みます。

    検査で測る睡眠の指標と、本人が感じる休まり方は、あまり一致しません。ウェアラブル端末が出す「深い睡眠 32分」という数字より、朝の感覚のほうが公的指針の見ている指標に近い、ということになります。

    「質」は、数字ではなかった

    睡眠の質を上げようとして、装置やアプリの数値を追いかけると、行き先が分からなくなります。指標が違うからです。

    公的指針が見ているのは、朝起きたときに休まったと感じるかどうかでした。検査はそれぞれ違う問いに答えていて、睡眠の検査もその例外ではありません。そして、そこへ近づく方法として挙げられているのは、生活習慣と睡眠環境の見直しです。特別なものは入っていません。

    まず、眠っている時間が6時間を切っていないか。次に、床にいる時間を必要以上に延ばしていないか。この2つを確かめるところからで、十分に始められます。寝つきが気になるなら、最後にカフェインを摂った時刻も同じくらい確かめやすい項目です。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf

    本記事は公的な指針の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・サプリメント・製品の効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。必要な睡眠時間には個人差があり、記載の数字がそのまま当てはまるとは限りません。