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  • 食品添加物が心配なとき、何を見れば位置が分かるか

    食品添加物が心配なとき、何を見れば位置が分かるか

    日本では、添加物ごとに一日摂取許容量(ADI)が決まっていて、実際に日本人がどれだけ摂っているかも毎年調べられています。その結果は公開されています。

    「避けたほうがいい」かどうかを決める前に、自分が実際にどのあたりにいるかを見られる、ということです。推測で避ける必要はありません。

    ADIは、100で割って作られている

    同じ考え方で測られているものが、ほかにもあります。残留農薬は対ADI比で最大2.954%、カドミウムは耐容量に対して平均35%・95パーセンタイルで67%でした。並べると、距離が違います。

    日本では、添加物の安全性評価を内閣府の食品安全委員会が行います。動物を用いた毒性試験の結果をもとに、一日摂取許容量(ADI)が添加物ごとに設定されます1。

    ADIの作り方は、意外に単純です。

    動物実験で害の出なかった量を安全係数100で割って一日摂取許容量が決まる
    食品安全委員会の説明によれば、毒性試験から導き出される無毒性量を、安全係数100で割ってADIを算出します2。動物と人の違い、人どうしの個人差を見込んだ係数です。

    そのうえで厚生労働省が、薬事・食品衛生審議会で審議し、食品ごとの使用量と使用の基準を設定します1。ADIは目標ではなく、超えないようにする側の線です。

    実際に、どれだけ摂っているか

    基準を決めるだけでは、実際にどれだけ摂っているかは分かりません。そこで、摂取量の調査が継続して行われています。

    方法はマーケットバスケット方式と呼ばれます。スーパー等で200〜300種類の食品を実際に購入し、食品群ごとに混ぜて分析し、それに食品摂取量の調査データを掛け合わせて一日の摂取量を推定します1。表示ではなく、買ってきた食品の実測から積み上げる形です。

    推定された一日摂取量がADIに対して占める割合。最も高いトコフェロールで17.2%、リン化合物6.7%、プロピレングリコール1.1%
    2006〜2008年度の推定。ADIに対する割合が最も高かったのはトコフェロールで17.2%、リン化合物は6.7%(MTDIに対して)、プロピレングリコールは1.1%でした3。

    17.2%という数字の受け取り方には、少し注意がいります。ADI自体が無毒性量を100で割った値なので、ADIの17.2%は、動物実験で害の出なかった量の約580分の1にあたります。

    「複数を同時に摂ったら」はどうなのか

    ここは、当然出てくる問いです。ADIは物質ごとに設定されます。では、いくつも同時に摂ったときはどうなるのか。

    この点も検討されています。食品安全委員会の2006年度の調査報告は、複数の添加物を同時に摂ったときの影響について、実際に問題となる可能性は極めて低く、理論的な可能性の推定にとどまるとしたうえで、こう結論しています2。

    個々の食品添加物の評価を十分に行うことで、食品添加物の複合影響についても実質的な安全性を十分確保することが可能

    理由として挙げられているのは、医薬品との違いです。医薬品は体に作用を及ぼすことを目的としているため相互作用が問題になりますが、添加物はそもそも体に作用させることを目的としておらず、かつ使用基準の範囲内でしか使われないため、複合摂取時の相互作用は現れにくいとされています2。

    ただし、相互作用の実例はあります。清涼飲料水で、アスコルビン酸と安息香酸ナトリウムが反応してベンゼンが生じた例が知られています。現在の摂取レベルでのリスクは非常に低いと評価されていますが、「何も起きない」ではなく「調べたうえで、問題になる水準ではないと判断されている」ということです2。

    「添加物を減らす」が、実際に意味していること

    添加物を減らそうとすると、実際に減るのは加工食品の割合です。そして加工食品の割合が下がると、添加物以外のものも同時に動きます。食塩、脂質、糖、食物繊維。

    体調に変化があったとして、それが添加物によるものなのか、食塩や食物繊維によるものなのかは、この方法では分けられません。一度に一つだけ変えるという原則が、ここでも効いてきます。

    つまり「添加物を避ける」という言い方は、実際には食事全体の構成を変えることを指しています。目的が食事の質なら、そちらを直接見るほうが早く進みます。

    「E621」は、EUの番号である

    検査結果や輸入食品の表示に、E621、E102、E250といった記号が並ぶことがあります。これはEUの食品添加物番号です。

    EU規則1333/2008に基づき、欧州食品安全機関(EFSA)の評価を経て承認された添加物に付されます4。Eは「Europe」です。日本の表示制度には存在しない記号なので、そのままでは意味が取れません。

    最初の数字が、用途を表しています。

    E番号の範囲と用途
    範囲 用途 例
    E100番台 着色料 E102(黄色4号)、E123(赤色2号)、E124(赤色102号)、E127(赤色3号)
    E200番台 保存料・酸化防止剤・発色剤 E220(二酸化硫黄)、E249(亜硝酸カリウム)、E250(亜硝酸ナトリウム)、E251(硝酸ナトリウム)
    E500番台 pH調整剤・固結防止剤 E535(フェロシアン化ナトリウム)
    E600番台 調味料・うま味 E621(グルタミン酸ナトリウム)、E627(グアニル酸ナトリウム)、E640(グリシン)

    日本語の表示に直すと、見え方が変わります。E621は「調味料(アミノ酸等)」、E102は「着色料(黄4)」、E250は「発色剤(亜硝酸Na)」。日本の食品表示で毎日見ている名前です。

    なお、日本で実際に使用基準が動いた例もあります。ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム等)は、小児の上位層で上限を超えていたことが調査で分かり、2018年に菓子・生菓子・パンへ1kgあたり0.1g以下の基準が新設されました。

    つまりE番号が並んでいても、特別な物質が並んでいるわけではありません。普段見ている表示を、別の記号で書いたものです。そして前の節で見たとおり、日本ではこれらの摂取量が毎年推定されていて、一日摂取許容量に対する割合が最も高かったもので17.2%でした。

    検査結果に添加物の名前が出た場合

    まず、これは中毒の診断ではありません。そして、体内の添加物の量を測る一般的な臨床検査は存在しません。鉛や水銀のように、入口を1つに絞れるという構造にもなっていません。

    用途ごとの数字もあります。甘味料7種の対ADI比は0.002〜0.25%でした。

    表示の読み方には、決まった手順があります。原材料名欄の「/」の右側が添加物で、重量の多い順に並んでいます。ただし一括名で書かれるものの中身と、加工助剤・キャリーオーバーは表示されません。

    できるのは、何がどれだけ入っているかを見ることです。加工食品を食べる頻度、飲料の種類、間食の内容。記録すれば分かることであって、検査を追加しなくても手がつけられます。

    そして、結果に添えられた症状の一覧を見て、当てはまると感じたときは、その症状がそもそもどれくらいありふれているかを先に確かめてください。

    調べられていることと、いないこと

    この記事で確かめたのは、次の3つです。

    食品添加物について、調べられていること
    状況
    個別の安全性 物質ごとにADIが設定されている(無毒性量÷100)
    実際の摂取量 継続して推定されている。最も高いものでADIの17.2%
    複合影響 検討され、個別評価で実質的な安全性は確保できるとされている
    体内の量を測る検査 一般の臨床検査には存在しない

    避けるかどうかは、最終的にはその人が決めることです。ただ、「調べられていない」と「調べたうえで問題になる水準ではないとされている」は別のものです。この区別は、健康情報を読むときにくり返し出てきます。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省「食品添加物 よくある質問(消費者向け)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/qa_shohisya.html
    2. 内閣府食品安全委員会「添加物に関する質問に川西徹委員がお答えします」 https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/tenkabutsu_anzen.html 引用元:食品安全委員会「平成18年度食品安全確保総合調査 食品添加物の複合影響に関する情報収集調査 報告書」平成19年3月
    3. 河﨑裕美, 高木繁行, 大西有希子ほか. マーケットバスケット方式による食品添加物の一日摂取量の推定(2006-2008年度). 日本食品化学学会誌. 2011;18(3):150-162. doi:10.18891/jjfcs.18.3_150 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfcs/18/3/18_KJ00007729478/_article/-char/ja/
    4. Regulation (EC) No 1333/2008 on food additives(EU 食品添加物規則)。EUで評価・承認された添加物に付される番号体系 https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2008/1333/oj/eng

    本記事は日本の制度と調査結果の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の食品・製品の推奨や否定を目的とするものでもありません。食物アレルギーや特定の成分で症状が出る場合は、この記事の一般的な整理は当てはまりません。

  • 症状リストが当てはまったとき、どう受け取るか

    症状リストが当てはまったとき、どう受け取るか

    過去7日間に症状がまったくなかった人は、10.6%でした。残りの9割は、何かしら症状を抱えています。経験した症状の数は、中央値で5個。

    だから「慢性的な疲労感」「集中力の低下」「肌荒れ」「眠気」を並べたリストは、ほとんどの人に当てはまります。当てはまったことは、原因が特定できたことを意味しません。

    その症状が、そもそもどれくらいありふれているか。それを知っておくと、リストの読み方が変わります。

    1週間に、5個

    ニュージーランドで行われた全国調査があります。無作為に選んだ一般の人1,000人に、過去7日間で46項目の症状のうちどれを経験したかを尋ねたものです1。

    一般の人が過去7日間に経験した症状は中央値5個。症状がまったくなかった人は10.6%
    対象は治療中の患者ではなく、無作為抽出した一般の人です。上位5つは、腰痛38%、疲労36%、頭痛35%、鼻づまり・鼻水34%、関節痛34%でした1。

    症状があること自体は、日常の状態です。健康な人にも症状はあります。

    だから、よくある症状を並べたリストは当たる

    実例で見ます。RESONA-LABの検査結果報告書には、欄ごとに症状の一覧が添えられています3。

    報告書に載っている症状の一覧
    欄 添えられている症状
    食品不耐性 慢性的な疲労感、集中力の低下、眠気、肌荒れ、消化不良・腹部の違和感
    体内蓄積 集中力の低下・思考力の鈍化、疲労感や倦怠感、ホルモンバランスの乱れ、炎症の悪化
    解毒機能 思考がぼんやりする、すっきりしない朝が増える、代謝の低下による体重増加、免疫力の低下による体調不良
    ビタミン・ミネラル不足 免疫機能の低下、疲れやすさや倦怠感、肌トラブル、集中力低下、睡眠障害、立ちくらみ、筋肉機能の低下

    並べて気づくのは、4つの欄が、ほとんど同じ症状を挙げていることです。疲労感、集中力の低下、肌。

    どれか1つの欄に当てはまったのではなく、4つ全部に当てはまります。上の調査が示しているとおり、これらは9割の人が週に何個か経験しているものだからです。

    だから、この一覧の使い道は「自分がどれに該当するか」を決めることではありません。該当の有無は、そこからは決まりません。この記事の後半で扱う記録のほうが、答えに近づきます。

    疲労・頭痛・肌荒れ・眠気・お腹の不調といった、ありふれた症状を並べれば、たいていの人に当てはまります。

    リストに書かれている症状が、その原因で起きることは実際にあります。ただ、当てはまったことは、原因がそれだと示していません。他の原因でも同じ症状は出るからです。

    症状リストが当てはまることと、原因がそれであることは別。多くの原因が同じ症状につながる
    疲労は、睡眠不足でも、貧血でも、うつでも、感染症でも、単に忙しい週でも起きます。リストは「この原因ならこの症状が出る」を示しますが、逆向きには読めません。

    これは、健康情報を読むときにくり返し出てくる構造です。「50%減った」という数字を見たら元の頻度を探すのと同じで、症状のリストにも「元の頻度」があります。誰にでもある症状を並べているのか、それとも珍しい症状を挙げているのか。そこで意味がまったく変わります。

    名前がつくと、症状の見え方が変わる

    もう一つあります。原因を告げられること自体が、その後の体調の受け取り方を変えます。

    古典的な観察があります。職域の検診で高血圧が見つかり、本人に告げられた人たちを追跡したところ、その後の欠勤日数が増えました2。血圧の値が変わったからではなく、「高血圧である」と知らされたことのあとに起きた変化です。

    症状リストを読んだあとも、似たことが起こります。それまで気に留めていなかった感覚に注意が向き、記憶の中から該当する場面が拾い上げられます。期待や不安が症状の側に働く経路は、実際に測られています。

    では、どう見分けるのか

    リストに当てはまったとき、確かめられることが3つあります。

    1. 誰にでもある症状か

    疲労、頭痛、肌荒れ、眠気。これらは一般の人の3割前後が、この1週間に経験しています。当てはまったことに情報量は多くありません。

    逆に、頻度の低い症状が並んでいるなら、当てはまったことの意味は大きくなります。

    2. 順番が合っているか

    その症状は、原因とされているものより後から始まったのか。前からあったのか。

    前からあったなら、その原因では説明がつきません。ここは記憶があいまいになりやすいところなので、思い出せる範囲でかまいません。「去年の健診のころはどうだったか」といった目印を使うと考えやすくなります。

    3. 変えたら、変わるか

    いちばん確かなのがこれです。原因とされるものを一つだけ変えて、症状がどうなるかを見ます。

    やめるだけでは足りません。戻したときに症状が返ってくるかまで見て、初めて対応関係が見えてきます。一度に一つだけ変える、やめて、戻して、比べる。手順は同じです。

    記録が効くのは、ここ

    この3つは、いずれも記録がないと確かめられません。

    いつから、どんなときに、どれくらいの頻度で。日付と時刻が入っていれば、順番も変化も後から追えます。検査が答えていない部分は、この記録でしか埋まりません。

    逆に、記録がないまま症状リストと照らし合わせると、当てはまったという印象だけが残ります。

    リストで自己判断しないほうがいい場合

    次のような症状は、原因を探す段階にありません。ありふれた症状のリストと同じ枠には入らないものです。

    リストで判断してはいけない症状
    症状
    体重が意図せず減っている
    発熱が続いている
    血便がある、便が黒い
    皮膚や白目が黄色い
    今まで経験したことがない突然の激しい頭痛
    症状が日ごとに悪化している

    当てはまったところから、始まる

    症状リストに当てはまることは、悪いことではありません。気づくきっかけになります。

    ただ、そこは結論ではなく出発点です。当てはまった時点で分かっているのは「その症状が自分にもある」ことまでで、原因はまだ分かっていません。

    元の頻度、順番、変えたときの変化。この3つを確かめると、リストの中から自分に関係のあるものだけが残ります。

    参考文献・参考資料

    1. Petrie KJ, Faasse K, Crichton F, Grey A. How common are symptoms? Evidence from a New Zealand national telephone survey. BMJ Open. 2014;4(6):e005374. doi:10.1136/bmjopen-2014-005374 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24928596/
    2. Haynes RB, Sackett DL, Taylor DW, Gibson ES, Johnson AL. Increased absenteeism from work after detection and labeling of hypertensive patients. New England Journal of Medicine. 1978;299(14):741-744. doi:10.1056/NEJM197810052991403 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/692548/
    3. RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による。報告書の見本は公式サイトで公開されています https://resona-lab.com/humans

    本記事は症状の受け取り方を整理したものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の検査・製品の効果を示すものでもありません。

  • 解毒機能のA〜Eを、どう読んで何をするか

    解毒機能のA〜Eを、どう読んで何をするか

    レポートには、A〜Eの意味が書いてあります。A 理想的な状態/B 軽い改善が必要/C 低下している状態/D 早急な改善が必要/E 緊急に改善が必要。解毒機能を、どれだけ早く整えたほうがいいかの段階です。

    そして評価は1つではありません。総合評価とは別に、腸・肝臓・腎臓それぞれにA〜Eが付きます。どこが足を引っ張っているかは、そちらで分かれます。

    健康診断にも同じA〜Eがありますが、答えている問いが違います。健診のDは「要精密検査・治療」。こちらのDは「解毒機能の改善が早急に必要」です。

    5段階が、何を刻んでいるか

    解毒機能の評価基準(レポート記載)
    記号 状態
    A 解毒機能が理想的な状態
    B 軽い改善が必要な状態
    C 解毒機能が低下している状態
    D 早急な改善が必要な状態
    E 緊急に改善が必要な状態

    刻まれているのは、解毒機能をどれだけ早く整えたほうがいいかです。病名ではありません。

    レポート自身が冒頭でこう記しています。「本検査は疾病の診断や治療を目的とするものではなく、健康管理の参考情報を提供するものです」。Dが付いていても、病気が見つかったということではありません。

    腸・肝臓・腎臓は、別々に付く

    総合評価のほかに、腸・肝臓・腎臓のそれぞれにA〜Eが付きます。3つが同じとは限りません。総合がDでも、内訳を見ると1つだけ低い、ということが起こります。

    レポートが記している、それぞれが低下したときに現れるもの
    低下すると
    腸 栄養吸収不良、免疫力低下、全身の炎症、脳機能や肌にまで影響する。全身健康の要とされています
    肝臓 解毒力が弱まり、疲労感、消化不良、皮膚トラブルが現れ、全身に毒素が蓄積する
    腎臓 老廃物や余分な水分の排出が滞り、むくみ、高血圧、貧血などの全身症状が現れる

    3つとも「出す」に関わりますが、担当している出口が違います。腎臓は尿として、腸は便として。そして肝臓は、尿から出せないものを胆汁に乗せて腸へ送り出す側です。

    だから順番があります。肝臓が送り出しても、腸の通過が滞っていれば出ていきません。3つの評価が違うときは、出口に近いほうから見ます。

    同じA〜Eでも、答えている問いが違う

    健康診断の結果にも、A〜Eの判定がついています。記号は同じですが、測っているものが違います。

    同じA〜Eが、それぞれ答えていること
    答えている問い Dの意味
    健康診断 いま、治療や精密検査が必要な異常があるか 要精密検査・治療1
    この検査 処理して外へ出す働きが、どの状態にあるか 早急な改善が必要な状態

    健診の判定区分は、A異常なし/B軽度異常/C要再検査・生活改善/D要精密検査・治療/E治療中です1。

    どちらも「早く手を打つほうがいい順」ですが、対象が違います。健診が並べているのは疾患の疑い。こちらが並べているのは解毒機能の状態です。検査ごとに答えている問いが違うのは、ここでも同じです。

    レポートが挙げている、整え方

    レポートは、解毒機能を整える方法として3つを挙げています。

    解毒機能を整える方法(レポート記載)と、詳しく書いた記事
    レポートの記述 詳しく
    不足栄養素を補う 検査で測るビタミン・ミネラルは、排出経路に関わる栄養素です
    不耐性食品を避けた食生活 全部やめてはいけません。1品目ずつ確かめます
    蓄積が多いモノを避ける 金属は入口が分かっています。大型の魚、古い水道管など

    3つとも、入ってくる側と、材料の側です。「解毒機能を直接鍛える」という項目は入っていません。

    処理そのものは、常時動いている工程です。止めたり再開したりするものではなく、材料が足りているかと、出口が詰まっていないかで変わります。

    記号から、最近の生活を振り返る

    レポートには「解毒機能不全による影響」として、思考がぼんやりする、すっきりしない朝が増える、代謝の低下による体重増加、免疫力の低下による体調不良、が挙げられています。

    読むと当てはまる感じがします。ただしありふれた症状を並べたリストは、たいていの人に当てはまります。当てはまったことは、原因がそれだと示していません。

    使い道があるのは、そちらではありません。総合評価の記号ではなく、腸・肝臓・腎臓の3つのうちどれが低いかを見ます。

    3つとも「出す」に関わりますが、担当している出口が違います。だから見る順番が決まります。

    低かった欄と、先に見る場所
    低かったのは 先に見る
    腸 便通の回数と形。基準は週3回未満です
    肝臓 お酒の量と、飲んでいる薬・サプリの数
    腎臓 水分の量と、むくみが出る時間帯

    3つが同じ記号のときは、出口に近いほうからです。肝臓が胆汁に出したものは、いったん腸に置かれます。そこが滞っていれば、上流を動かしても行き場がありません。

    今日できるのは、低かった欄を1つ選んで、その行の項目を1週間だけ記録することです。記号は月単位でしか動きませんが、便通も、酒量も、水分も、今日から数えられます。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム」ほか、健診の判定区分(A〜E)の一般的な運用による https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001231392.pdf

    本記事は検査レポートの記載事項の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。検査は疾病の診断や治療を目的とするものではなく、健康管理の参考情報を提供するものです。特定の製品・サプリメントの効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。

  • 金属の蓄積に、今日から手を打つ方法

    金属の蓄積に、今日から手を打つ方法

    パラジウム、銀、プラチナ、カドミウム、金、水銀、鉛、アルミニウム、ニッケル。検査に並ぶこの9つは、日本人の生活の中で体へ入ってくる入口の順に近い並びです。

    有名なのは鉛・水銀・カドミウムの3つですが、残る6つにも根拠があります。パラジウム・銀・プラチナ(白金)・金・アルミニウム・ニッケルは、日本皮膚科学会のガイドラインが、体に入って症状を起こす金属として名指ししている顔ぶれです5。入口は、歯科治療、装身具、眼鏡フレーム、化粧品、たばこ。

    そしていちばん使える事実は、こちらです。溜まった量は固定ではありません。厚生労働省は水銀について、「体内に取り込まれた量が半分にまで減少する期間は約2ヶ月」と書いています4。入口を変えれば、体内の量は動きます。

    なぜ、この9つなのか

    重金属というと、水俣病やイタイイタイ病の水銀・カドミウム、あるいは鉛が思い浮かびます。金やプラチナが並んでいると、場違いに見えます。

    ところが皮膚科の側から見ると、並びが変わります。日本皮膚科学会の『接触皮膚炎診療ガイドライン2020』は、金属が皮膚からだけでなく「生体内に吸収されることにより」全身に症状を起こす型を「全身型金属アレルギー」として扱い、原因になりうる金属を挙げています5。

    検査に並ぶ9つの金属と、学会ガイドラインが挙げている感作源5
    金属 ガイドラインが挙げている主な入口
    パラジウム 眼鏡フレーム、腕時計、電気製品。歯科金属
    銀 装身具、メッキ、貨幣、食器。歯科用
    プラチナ(白金) 貴金属装飾品、貴金属回収作業、メッキ。歯科用
    金 貴金属装飾品、貴金属回収作業、メッキ。歯科用
    水銀 化粧用クリーム(保存剤としてまれに)、消毒剤、乾電池。歯科用(アマルガム。2034年に世界的に廃止)
    アルミニウム 化粧品、歯磨き、ベーキングパウダー、医薬品、顔料。食品側は上限も摂取量調査もあり、2018年に基準ができた
    ニッケル バックル、腕時計バンド、イヤリング、ネックレス、メッキ、乾電池
    カドミウム (皮膚のガイドラインでは汚染金属として扱われる。入口は主食と、たばこ)
    鉛 (同上。入口は職業上の取り扱い、古い塗料、古い水道管)

    9つのうち7つが、日常の持ち物と口の中に入口を持っています。これが、金やプラチナが並んでいる理由です。

    ガイドラインははっきりこう書いています。「歯科金属はパラジウム、金、水銀、錫などを含有することが多く、時にニッケル、クロム、コバルトなども含む」5。日本の保険診療で広く使われてきた銀歯は金銀パラジウム合金で、ガイドラインの付表にも、この合金名がそのまま載っています5。

    ここで分かるのは、入口がどこにあるかだけです。症状が出るかどうかは別で、金属アレルギーの診断はパッチテストなどによって皮膚科で行われます。

    溜まった量は、固定ではない

    「蓄積」という言葉は、一度入ったら出ていかないような印象を与えます。実際は違います。

    厚生労働省は、魚介類の水銀についての注意事項の中で、同じ文を3回繰り返しています。「体内に取り込まれた水銀は代謝、排泄されます。その体内に取り込まれた量が半分にまで減少する期間は約2ヶ月です」4。

    だから同じ文書は、妊娠に気づくのが遅れた場合について、「妊娠に気づいた段階から水銀の摂取量をコントロールすることで一定の効果が期待される」と書いています4。

    ただし、この速さは物質によってまったく違います。カドミウムは腎皮質での半減期が20〜50年、鉛は血液で約28〜36日ですが骨に移った分はずっと長い。溜まる場所が違うからです。

    入口を変えれば、体内の量は動きます。これが、蓄積の欄を見たときにいちばん効く事実です。溜まっているかどうかを心配するより、どこから入っているかを1つ特定するほうが、実際に量を変えます。

    入口は、金属ごとに違う

    検査の説明資料は、蓄積の入口として次を挙げています。それぞれ、公的な基準や調査がどこまであるかが違います。

    挙げられている入口と、公的な基準・調査の有無
    入口 入るもの 公的な基準・調査
    大型の魚 メチル水銀 妊婦向けの摂食目安(魚種ごと・g単位)4
    水道水 鉛、トリハロメタン類 水質基準。鉛0.01mg/L以下、総トリハロメタン0.1mg/L以下6。浄水器側の表示も法定
    主食(米・小麦・大豆) カドミウム 耐容週間摂取量に対して平均35%
    歯科治療 パラジウム、銀、金、水銀 JIS規格で組成が決まっている
    装身具・眼鏡・腕時計 ニッケル、パラジウム 学会ガイドラインの感作源リスト5
    化粧品・日焼け止め 酸化チタン、酸化亜鉛(ナノ粒子) 塗る形では角層より奥へ入ったという報告が大半ではない。EUは25%まで安全としている
    たばこ カドミウム、ニッケル 1本に1.8〜2.8µg、20本で2〜4µgの吸入。吸入は肝臓を通らない
    缶 ビスフェノールA 溶出は業界自主基準で規格の1/250以下。ただし日本に耐容量はない
    プラスチック容器 フタル酸エステル類 2025年6月からポジティブリスト制度が完全施行。物質ごとにTDIもある
    プラスチック(微細) マイクロプラスチック 健康リスク評価そのものが未了
    撥水加工・フライパン PFAS 日本のTDIは20 ng/kg体重/日
    職業上の取り扱い 鉛ほか 鉛中毒予防規則による法定健康診断1

    なお鉛については、日本を含む多くの国で、環境や食品からの曝露がこの数十年で大きく減っています。CDCの報告も、環境と食事からの鉛曝露が過去30年で大幅に減少し、集団の血中鉛濃度も相応に下がったことを前提に書かれています2。

    並べると分かるのは、基準の細かさが入口によって全然違うことです。魚は魚種ごとにg単位で目安がある。PFASは数字が1つある。プラスチックは評価自体が終わっていません。

    鉛と水銀は、実際に医療で測れる

    労働衛生の分野では、鉛を扱う作業者に定期的な測定が義務づけられています。鉛中毒予防規則第53条に基づくもので、検査項目には血液中の鉛の量と、尿中のデルタアミノレブリン酸の量が含まれます1。体内に入った鉛の量を、数値で追う仕組みが動いています。

    水銀については、厚生労働省が「一般に体内の水銀濃度は毛髪で測定します」と書いています4。同時に、「妊婦であっても毛髪の水銀濃度等を測定することは必要ないと考えています」とも書いています。測る方法が確立していることと、全員が測る必要があることは別だ、という立場です4。

    そして同じ文書は、日本人の平均摂取量を示しています。1日あたり8.2µg。妊婦を対象とした耐容量の57%です4。うち88.1%(7.18µg/日)が魚介類からでした。

    「出す」より先に、入口を見る

    キレート剤は、金属と結合して尿から排出させる薬です。これは中毒と診断がついた場合の治療薬で、診断のないまま使われて死亡した例が報告されています2。

    汗については、尿に匹敵する排泄が報告されている一方で、測り方が確立していません。市販の「デトックス」をうたう食品やプログラムについては、そもそも有効性を評価した無作為化比較試験が行われていません3。効くかどうか以前に、確かめられていません。

    一方、体が常時行っている処理のほうは、経路が分かっています。医学の教科書は胆汁を「腎臓でろ過または排泄できない脂溶性物質の主要排泄経路」とし、そこへ出されるものに重金属を名指しで挙げています。

    魚を、やめないでください

    水銀と聞いて最初に浮かぶのが魚です。ここで「では魚をやめよう」と進む前に、公的な注意事項が誰に向けて何を言っているかを見ておく価値があります。

    厚生労働省は、魚介類と水銀について注意事項を公表しています。ただしこれは妊婦に向けたものです。同じ文書に、こう書かれています。

    今回の注意事項は胎児の健康を保護するためのものです。子供や一般の方々については、通常食べる魚介類によって、水銀による健康への悪影響が懸念されるような状況ではありません。

    さらに同じ文書は、「魚介類を全く食べない集団では、高度不飽和脂肪酸が欠乏し、小児の知能低下や成人の心臓病のリスクが上昇することが報告されています」とも記しています4。

    魚を減らせば安全、とは言い切れない。公的な文書自身がそう書いています。

    妊娠中の方への目安

    妊娠している方、その可能性がある方については、魚種ごとに「1回約80gとして週に何回まで」という目安が示されています。キンメダイやメカジキは週1回まで、キハダ・ビンナガ・ツナ缶は通常どおりで差し支えない、といった区分です4。

    そして注意事項自体が、「本注意事項は、妊婦の方々に水銀濃度が高い魚介類を食べないように要請するものではありません」と書いています4。減らすのは特定の魚種を食べる回数で、魚をやめることではありません。

    添加物の欄が該当した場合

    体内蓄積の欄には、重金属とは別に添加物の項目があります。こちらには、金属とは違う点が二つあります。

    ひとつは、体内の添加物の量を測る一般的な臨床検査がないこと。鉛や水銀のように、入口を1つに絞れるという構造にはなっていません。

    もうひとつは、摂取量の側が継続して調べられていることです。日本では添加物ごとに一日摂取許容量が設定され、実際の摂取量も推定されています。2006〜2008年度の調査では、許容量に対する割合が最も高かったもので17.2%でした。

    できるのは、加工食品の頻度を記録することです。ただしそれを変えると、添加物以外(食塩・脂質・食物繊維)も同時に動きます。何が効いたのかを見るには、そこも踏まえる必要があります。

    確かめたいときは、何を伝えるか

    気になる曝露に心当たりがある場合は、確かめる価値があります。たとえば、鉛やその化合物を扱う仕事をしている。古い建物の改修に関わっている。輸入品の民間薬や食器を日常的に使っている。

    医療機関で伝えるのは、「検査で異常と言われた」ではなく「この曝露に心当たりがあります」のほうです。曝露の内容と期間が分かれば、必要な検査を選んでもらえます。

    原因不明の腹痛、手足のしびれ、貧血、集中力の持続的な低下。これらが続いているなら、金属の話とは別の枠です。入口を減らしても動きません。

    入口を1つ決めて、2ヶ月待つ

    結果には「蓄積による体の影響」として、集中力の低下、疲労感、ホルモンバランスの乱れといった症状が添えられています。読むと当てはまりますが、これらはもともと、一般の人の3割前後が今週経験している症状です。当てはまったことは、原因の特定にはなりません。

    使えるのは、そちらではありません。上の入口の表から、自分に当てはまるものを1つ選ぶほうです。

    口の中に金属が入っているか。眼鏡フレームや腕時計が肌に当たり続けているか。たばこを吸うか。缶飲料を毎日飲むか。大型の魚を週に何回食べているか。どれも、思い出すのではなく、今日その場で確認できます。

    そして選んだ1つを変えたら、2ヶ月です。厚労省が水銀について書いている半減期がその長さで、そのあいだ入口を変えていれば、体内の量は半分に近づく側にあります4。1週間で結果を見ようとすると、何も起きていないように見えます。

    出す側についても、経路は分かっています。医学の教科書は胆汁を「腎臓で排泄できない物質の主要排泄経路」とし、そこへ出されるものに重金属を名指しで挙げています。そして腸が詰まっていれば、胆汁に出されたものは行き場がありません。入口を1つ閉じることと、出口を動かすことは、同時にできます。

    そして、閉じるのでも閉じないのでもなく、減らせる入口もあります。乾燥ヒジキの無機ヒ素は、ゆでこぼしで9割減ります。鉄・カルシウム・食物繊維は7割以上残ります。食べ続けながら減らせます。

    なお日本人が許容量にいちばん近づいている金属は、主食から入るカドミウムです。平均で耐容週間摂取量の35%、95パーセンタイルで67%でした。これは主食なので、入口を閉じる対象にはなりません。閉じられる入口と、閉じられない入口を分けることが、最初の作業です。

    入口ごとにどこまで数字があるかは、入ってくるものと、出す力に一覧で並べています。

    そのうえで、測る前に始める「排出」には、効果が確かめられていないものと、診断なしに使えば命に関わるものが混ざっています。結果を受け取ったあとに確かめる項目のなかで、ここがいちばん実害に近い場所です。

    参考文献・参考資料

    1. 鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号)第53条(健康診断) https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000037/
    2. Centers for Disease Control and Prevention. Deaths associated with hypocalcemia from chelation therapy–Texas, Pennsylvania, and Oregon, 2003-2005. MMWR Morbidity and Mortality Weekly Report. 2006;55(8):204-207. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16511441/
    3. Klein AV, Kiat H. Detox diets for toxin elimination and weight management: a critical review of the evidence. Journal of Human Nutrition and Dietetics. 2015;28(6):675-686. doi:10.1111/jhn.12286 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25522674/
    4. 日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドライン改定委員会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」日本皮膚科学会雑誌 2020;130(4):523-567.(全身型金属アレルギー、表12「種々の金属による病型・症状とその感作源」、付表5「アレルゲン金属と使用可能な歯科金属との対応表」) https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/130_523contact_dermatitis2020.pdf
    5. 水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)。鉛及びその化合物 0.01mg/L以下、総トリハロメタン 0.1mg/L以下 https://laws.e-gov.go.jp/law/415M60000100101/
    6. 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」平成17年11月2日(平成22年6月1日改訂) https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-a.pdf パンフレット:これからママになるあなたへ

    本記事は公的資料と研究状況の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の製品・サプリメント・治療の効果を示すものでも、実施を勧めるものでもありません。キレート剤を含む医薬品は、医師の診断と処方のもとで使用されるものです。自己判断で入手・使用しないでください。

  • 「不足」と出た栄養素を、少ない手数で埋める

    「不足」と出た栄養素を、少ない手数で埋める

    「不足」と出た栄養素は、出す側にも効いています。足りない分を補うだけの話ではありません。

    体が不要なものを処理して外へ出すとき、第II相で別の分子をくっつけて水に溶ける形に変えます。そのくっつけるものは、グルクロン酸ならグルコース、メチル基ならメチオニン、硫酸なら含硫アミノ酸。すべて糖とアミノ酸から作られます。

    つまり足りなければ、処理が滞ります。「不足」の欄は、入れる側の話に見えて、出す側の材料の話でもあります。

    なぜ、測っても分からないのか

    カルシウムとマグネシウムは、血液検査で測れます。それでも、その値からは足りているかが分かりません。理由は、体の作りにあります。

    カルシウムの99%は骨と歯にあり、血液中は約1%。血中が下がると骨から溶け出して元に戻るため、血液の値は保たれる
    『日本人の食事摂取基準(2025年版)』は、カルシウムの99%が骨及び歯に存在し、血中濃度が低下すると副甲状腺ホルモンの分泌が増えて主に骨から溶け出し、元の濃度に戻ると記しています1。

    血液中のカルシウム濃度は8.5〜10.4 mg/dLという狭い範囲に保たれています。下がりそうになると、骨から補われて元に戻ります。つまり血液の値は、蓄えが減っていても正常のままでいられます。

    マグネシウムも同じ構造です。体内には約25gあり、その50〜60%が骨に存在します。血清濃度が低下すると、腎臓での再吸収が増えると同時に、骨からマグネシウムが遊離して使われます1。

    だから食事摂取基準は、これらの必要量を血液検査からではなく、体内蓄積量・尿中排泄量・経皮的損失量を積み上げる方法や、摂った量と出た量の差を測る出納試験から算出しています1。

    報告書はマグネシウムについて、「マグネシウムの不足や欠乏を招く摂取量を推定することは難しい」とはっきり書いています1。

    この3つは、測れば答えが出る

    血液の値が蓄えをよく反映する栄養素もあります。こちらには、学会が定めた判定の基準まであります。

    ビタミンD

    血中25(OH)D濃度を測ると、足りているかどうかが数値で分かります。30 ng/mL以上で充足、20 ng/mL未満で欠乏。日本内分泌学会と日本骨代謝学会が2017年に公表した判定指針の線引きです2。

    亜鉛

    日本臨床栄養学会の『亜鉛欠乏症の診療指針2024』は、血清亜鉛値について60 µg/dL未満を亜鉛欠乏症、60〜80 µg/dL未満を潜在性亜鉛欠乏としています3。測定は早朝空腹時が望ましいとされています。時間帯や食事で値が動くためです。

    鉄

    鉄には二段構えの指標があります。ヘモグロビンが貧血の有無を、フェリチンが貯蔵鉄の量を反映します。ヘモグロビンが正常でも貯蔵鉄が減っている状態はありうるため、この二つは別に見ます。

    ただしフェリチンは炎症や感染で上がるため、一点の数値だけでは読めません。読める人と一緒に見る意味がある検査です。

    葉酸

    葉酸も血液で測れますが、何を測るかで意味が変わります。食事摂取基準は、体内の葉酸の栄養状態を表す指標として「短期的な指標である血清中葉酸ではなく、中長期的な指標である赤血球中葉酸濃度」に関する報告を基に検討した、と記しています4。

    直前に食べたものが血清の値を動かします。習慣的に足りているかを見るなら、赤血球のほうです。

    一覧にすると、こうなる

    栄養素ごとの、医療機関での確かめ方
    栄養素 血液の値で足りているか分かるか 測る項目・注意
    ビタミンD 分かる 血中25(OH)D。学会の判定指針あり
    亜鉛 分かる 血清亜鉛。早朝空腹時。診療指針あり
    鉄 分かる ヘモグロビンとフェリチン。炎症で上がる
    葉酸 条件つき 血清は短期、赤血球は中長期の指標
    銅 条件つき 血清銅、セルロプラスミン
    カルシウム 分からない 血中は狭い範囲に保たれ、骨から補われる
    マグネシウム 分からない 同じく、腎での再吸収と骨からの遊離で保たれる
    カリウム・ナトリウム 分からない 血液の値は調節の結果。摂取量は尿から推定する
    ビタミンA・C・E — 一般の診療で測ることは多くない

    ナトリウムについては、確かめる方法が別にあります。食事摂取基準は、24時間尿中ナトリウム排泄量からナトリウム摂取量を推定することができると記しています1。血液ではなく尿を見る、という切り替えです。

    カルシウムとマグネシウムは、確かめようがない

    ここは、はっきりさせておいたほうがいい部分です。

    血液では分かりません。では食事記録ではどうか。こちらも、個人が自分でやって足りているかを判定できる精度にはなりません。食事摂取基準そのものが、これらの必要量を血液検査からではなく、体内蓄積量・尿中排泄量・経皮的損失量を積み上げる方法や出納試験から算出しています1。研究の設備で行う方法です。

    報告書はマグネシウムについて、「マグネシウムの不足や欠乏を招く摂取量を推定することは難しい」とはっきり書いています1。

    できるのは1つだけです。骨の状態が気になるなら、骨密度を測る。血液のカルシウム値ではなく、骨そのものを見る検査で、数値が出ます。

    測れないものは、入れる側から見る

    カルシウムとマグネシウムのように、血液で足りているかが分からない栄養素があります。そこで止まると、できることがなくなります。

    確かめられないなら、入れる側を決めるほうが早い。栄養素ごとに、主な供給源は決まっています。

    12の栄養素と、主な供給源5
    栄養素 主な食品
    ビタミンA にんじん、かぼちゃ、レバー
    ビタミンC 柑橘類、ピーマン、ブロッコリー
    ビタミンD 魚(鮭・いわし)、卵黄、きのこ類
    ビタミンE ナッツ、植物油、アボカド
    葉酸 緑黄色野菜、豆類、レバー
    カルシウム 乳製品、小魚、大豆製品
    マグネシウム ナッツ、海藻、豆類
    カリウム 果物(バナナ・メロン)、いも類、豆類
    ナトリウム 食塩、味噌、漬物
    鉄 赤身肉、レバー、ほうれん草
    亜鉛 牡蠣、肉、ナッツ
    銅 レバー、ナッツ、シーフード

    並べると、同じ食品が何度も出てきます。レバー、ナッツ、豆類、魚、海藻。数えると、この5つで12のうち10に関わっています。関わっていないのは、ビタミンC(柑橘類・ピーマン・ブロッコリー)とナトリウムだけです。

    重なっている食品と、関わる栄養素
    食品 関わる栄養素
    レバー ビタミンA、葉酸、鉄、銅
    ナッツ ビタミンE、マグネシウム、亜鉛、銅
    豆類 葉酸、カルシウム(大豆製品)、マグネシウム、カリウム
    魚 ビタミンD、カルシウム(小魚)
    海藻 マグネシウム

    埋める対象が12あるのではなく、重なっている5つを先に置くほうが早いということになります。血液で確かめられるかどうかに関係なく、入れる側は同じです。

    注意点が1つ。ナトリウムは日本人の場合、足りないより多い側にあるのが通常です。ここだけは増やす対象になりません。

    全部をどうにかしようとしない

    「不足」の欄に複数の栄養素が並んでいると、全部を埋めたくなります。

    そこは止めたほうがいい理由があります。結果に添えられた「不足するとこうなる」という症状の一覧は、ありふれた症状を並べたもので、たいていの人に当てはまります。当てはまったことは、原因がそれだと示していません。

    そして足すかどうかの前に、足りているかどうかという順番があります。並んだ項目を上から埋めても、どれが効いたのかは分かりません。一度に一つだけ変えるのは、ここでも同じです。

    「不足」と「出す力」は、同じ材料の話

    ここまでで、栄養素ごとの事情は分かれました。血液に反映されるもの、骨から補われて反映されないもの、尿から推定するもの。

    ただ、体の中での使われ方には共通するところがあります。

    不要なものを処理して外へ出すとき、くっつける材料は糖とアミノ酸から作られます。特別な物質は一つも出てきません。つまり「不足」の欄と「解毒機能」の欄は、同じ材料を見ています。

    そして出す側には順番があります。上流の材料が足りていても、出口が滞っていれば行き場がない。逆に出口が動いていても、材料が足りなければ処理が進まない。

    「不足」は、足りない分を補う話であると同時に、出す力の話でもあります。結果の4つの欄が別々の採点ではないのは、こういうところです。

    12個を1つずつ埋めない

    ここから先は、実際に何を見るかです。12の栄養素を1つずつ埋めようとすると、サプリメントが12本必要になります。そうはなりません。上の表のとおり、供給源が重なっているからです。

    「不足」の欄に4つ5つ並んでいても、動かす場所は1つか2つで足りることが多いということです。

    今日できるのは、「不足」に並んだ名前を、重なっている食品の表に当てることです。レバー・ナッツ・豆類・魚・海藻のうち、自分の「不足」にいちばん多く関わっている行が1つ見つかります。そこが、いちばん少ない手数で動く場所です。

    参考文献・参考資料

    1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 各論 ミネラル(多量ミネラル) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316468.pdf(ナトリウム、カルシウム pp.255-256、マグネシウム pp.261-262)
    2. 日本内分泌学会・日本骨代謝学会・厚生労働省難治性疾患克服研究事業ホルモン受容機構異常に関する調査研究班. ビタミンD不足・欠乏の判定指針. 日本内分泌学会雑誌. 2017;93(Suppl):1-10. https://jsbmr.umin.jp/guide/pdf/vitaminDmanual2017.pdf J-STAGE
    3. 日本臨床栄養学会編『亜鉛欠乏症の診療指針2024』 https://www.jscn.gr.jp/pdf/aen2024.pdf
    4. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 各論 ビタミン(水溶性ビタミン)葉酸 p.208 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316467.pdf
    5. RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による。報告書の見本は公式サイトで公開されています https://resona-lab.com/humans

    本記事は栄養素の指標と検査項目の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の検査・製品・サプリメントの効果を示すものでも、実施や使用を勧めるものでもありません。どの検査が必要かは症状と状況によって異なります。

  • 合わない食品が何十品目も出ても、全部やめてはいけない

    合わない食品が何十品目も出ても、全部やめてはいけない

    合わない食品が何十品目も出ても、すべてを一度にやめてはいけません。やめること自体に、栄養・生活・再開のしやすさという三方向のコストがあるためです。

    とくに三つめが知られていません。食べない期間が長引くほど、再開のハードルは上がります。

    やることは逆で、1品目ずつ、やめて、戻して確かめる。手順は単純です。

    この記事は食品の欄だけを扱います。結果全体をどう受け取るかは、別の記事で整理しました。

    「不耐性」は、アレルギーとは別のもの

    食べ物で起きる不調は、免疫が関わるものと、関わらないものに分かれます。この分かれ方は別の記事で整理しました。

    命に関わる反応が起きるのは、免疫が関わる側です。じんましん、唇や喉の腫れ、息苦しさ、繰り返す嘔吐。これらは不耐性ではなく、免疫が関わる側の反応です。この記事の「やめて、戻して確かめる」手順は、そこには使えません。少量から試すという方法そのものが危険になります。

    やめることには、コストがある

    「合わないなら、やめておけば安全」と考えたくなります。ただ、除去には三方向のコストがあります。

    栄養。野菜・果物・魚・肉・穀物にまたがって除くと、そこから摂っていたものが同時に抜けます。何十品目を一度に外すと、残る選択肢はかなり狭くなります。

    生活。外食、会食、家族と同じ食卓、旅行。食べられないものが増えるほど、日常の選択肢が減ります。検査値には出ませんが、毎日効いてきます。

    戻しにくくなること。食べない期間が長引くほど、再開のハードルは上がります。

    確かめられているのはアレルギーの領域で、不耐性そのものではありません。それでも、避け続けることの向きを示す結果ではあります。ピーナッツアレルギーのリスクが高い乳児640名を、生後11か月未満から「食べる群」と「避ける群」に無作為に分けた試験では、5歳時点のアレルギー発症率は避けた群のほうが高くなりました1。

    これは乳児のアレルギー発症を防ぐ話で、大人が食品を外して戻す話ではありません。そのまま当てはめることはできません。ただ、避けることが自動的に安全側とは限らない、という考え方が医療の中にあることは知っておく価値があります。

    診療の側は「全部やめない」方向へ動いている

    もう一つ、除去を実際に運用している診療科の手順があります。金属アレルギーの金属制限食です。

    皮膚科では、金属アレルギーが疑われる患者にニッケル・コバルト・クロムを減らした食事を指導することがあります。その運用に、3つの条件が書かれています6。

    金属制限食に置かれている条件
    条件 理由
    2ヶ月続けて無効なら、速やかに中止する 効かない除去を続ける理由がない
    厳格すぎる制限は避ける 微量元素欠乏症をきたす可能性がある
    必ず医師の指導のもとで行う 制限する対象に必須金属が含まれるため

    ここに「期限」があることに注目してください。始めるときに、やめる条件が決まっています。

    制限の対象になるのは、豆類、木の実、穀類、チョコレート、ココア、紅茶、貝類、レバー、胚芽6。そのまま鉄・亜鉛・銅の供給源です。減らす対象が、そのまま栄養の供給源になっている。だから期限が要ります。

    不耐性の欄に何十品目も並んだときも、構造は同じです。金属の側でも、この順番が決まっています——先に食事を2ヶ月、それで動かなければ次を考える。先に全部を外す、という手順はどこにも出てきません。

    日本小児アレルギー学会の『食物アレルギー診療ガイドライン2021』は、食物経口負荷試験によって完全除去を回避することを推奨度1として示しています2。食物経口負荷試験とは、医療機関で少量から実際に食べてみて、どこまでなら症状が出ないかを確かめる検査です。

    そこで使われるのは、食べるか食べないかの二択ではなく、量の段階です。

    食物経口負荷試験で使われる量の段階。少量・中等量・日常摂取量の三段階で確かめる
    「食物経口負荷試験の手引き2020」による総負荷量の例。牛乳なら少量1〜3mL、中等量10〜50mL、日常摂取量100〜200mLと段階が置かれています2。

    診断がついたアレルギーですら、いま目指されているのは「全部やめない」ことです。

    これは不耐性についての推奨ではありません。ただ、確かめる手段があって診断もついている側でさえ完全除去を避ける方向にあるなら、診断のついていない「合わない」に対して、いきなり完全除去から入る理由は見当たりません。

    自分の感覚だけでは、犯人を決められない

    「この食品で不調になる」という自覚が、実際にその食品によるものかどうか。ここは、思っているより難しいところです。

    英国で成人20,000人に尋ねた調査では、食物不耐性を自覚していた人は約20%でした。そのうち希望者に対して、本人にも研究者にも中身が分からない状態で確かめたところ、実際に再現性のある反応が出たのは1.4〜1.8%でした3。

    グルテンでも同じことが起きています。自分でグルテンが合わないと考えている人を対象にした試験で、グルテンに特異的な反応が確認できたのは8%でした4。この構造は別の記事で詳しく扱いました。

    症状は実際に起きています。難しいのは、そこから原因を一つに名指しするところです。

    だから、確かめる手順が要ります。思い当たった食品をそのまま犯人と決めて除去を広げると、症状は残ったまま、食べられるものだけが減ります。

    結果に並んだ品目も同じです。そのまま除去リストとして使うのではなく、どれから確かめるかの順番を決める手がかりとして使うほうが、外れが少なくなります。

    では、どう確かめるか

    この手順には、診療ガイドラインに載っている形があります。低FODMAP食は、続ける食事ではなく、合わないものを見つけるための手順です。期間を決めて減らし、1つずつ戻して比べます。

    手順は単純です。

    1. いま実際に困っている症状があるか

    ここから始めます。症状がなく日常生活で困っていない場合は、結果だけを理由に食生活を一度に大きく変える必要はありません。検査結果に項目が並んでいることと、症状があることは別です。

    2. 心当たりのある1〜2品目に絞る

    結果に並んだ順ではなく、自分の実感で選びます。同時に複数を変えると、何が効いたのか分からなくなります(一度に一つだけ変える)。

    3. やめて、戻して、比べる

    外して記録し、そのあと戻して記録します。1回では偶然と区別がつきません。可能なら、もう一度繰り返します。

    外す期間に決まった正解はありません。日をまたいで出る症状なら2週間ほどが実務的な目安になりますが、大事なのは長さより、戻したときに症状が返ってくるかどうかまで見ることです。やめて楽になっただけでは、その食品のせいだと決められません。

    見るのは三つです。量(少しなら平気か、たくさんだと出るか)、時間差(食べてすぐか、翌日か)、再現性(毎回同じことが起きるか)。この三つが揃うと、対応関係の確からしさが上がります。

    4. 記録は日付と時刻で残す

    「なんとなく調子が悪い」では比べられません。何を、いつ、どれだけ食べて、いつ、どんな症状が出たか。検査値が動いていないとき、記録できるのは症状のほうだけです。

    自分で試さないほうがいい場合

    次に当てはまる場合は、この手順を自分で行わないでください。

    自己判断で除去・再開を行わないほうがよい場合
    状況 理由
    じんましん、唇や喉の腫れ、息苦しさ、繰り返す嘔吐がある 免疫が関わる反応の可能性。再開時に強い反応が出ることがある
    子どもの食事 除去が成長と栄養に影響しうる。医師・管理栄養士と決める
    妊娠中・授乳中 必要量が変わる時期にあたる
    すでに食べられる食品が少ない さらに外すと栄養の幅が確保できない
    体重が意図せず減っている、発熱が続く、血便がある 食品とは別の原因を先に確かめる必要がある

    免疫が関わる側は、別の枠になる

    「合わない」の中身が免疫の側なら、確かめ方も対応も変わります。検査ごとに答えている問いが違うのは、ここでも同じです。

    食品との関係を確かめる主な方法
    調べたいこと 方法
    免疫が関わるアレルギーか 特異的IgE検査、皮膚プリックテスト
    どこまでなら食べられるか 食物経口負荷試験
    乳糖を分解できているか 呼気水素試験
    セリアック病か 血液の抗体検査、内視鏡

    一方、食物に対するIgG抗体を測る検査を見かけることがありますが、欧州アレルギー・臨床免疫学会のタスクフォースは2008年、これを食物アレルギーの診断ツールとして推奨しないという立場を示しています5。IgGは、その食品を食べていることを反映する正常な反応でもあるためです。

    減らすのではなく、絞る

    検査結果に多くの品目が並ぶと、選択肢が減ったように感じます。ただ、そこに書かれているのは「食べてはいけないもの」の一覧ではありません。

    実際に困っている症状があるなら、確かめる対象は1つか2つで足ります。症状がなければ、結果だけを理由に食生活を一度に大きく変える必要はありません。乳糖不耐症のように機序がはっきりしている例でも、量によって出方が変わります。

    食べられるものを減らす方向ではなく、対象を絞る方向へ。結果の使い方としては、そちらのほうが手戻りがありません。

    参考文献・参考資料

    1. Du Toit G, Roberts G, Sayre PH, et al. Randomized trial of peanut consumption in infants at risk for peanut allergy. New England Journal of Medicine. 2015;372(9):803-813. doi:10.1056/NEJMoa1414850 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25705822/
    2. 海老澤元宏. ガイドラインのワンポイント解説「食物アレルギー診療ガイドライン2021 小児〜成人まで」. アレルギー. 2022;71(10):1195-1200. https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/71/10/71_1195/_pdf/-char/ja ガイドライン本体:日本小児アレルギー学会『食物アレルギー診療ガイドライン2021』協和企画, 2021年(Minds)
    3. Young E, Stoneham MD, Petruckevitch A, Barton J, Rona R. A population study of food intolerance. Lancet. 1994;343(8906):1127-1130. doi:10.1016/s0140-6736(94)90234-8 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7910231/
    4. Biesiekierski JR, Peters SL, Newnham ED, Rosella O, Muir JG, Gibson PR. No effects of gluten in patients with self-reported non-celiac gluten sensitivity after dietary reduction of fermentable, poorly absorbed, short-chain carbohydrates. Gastroenterology. 2013;145(2):320-328.e3. doi:10.1053/j.gastro.2013.04.051 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23648697/
    5. Stapel SO, Asero R, Ballmer-Weber BK, et al. Testing for IgG4 against foods is not recommended as a diagnostic tool: EAACI Task Force Report. Allergy. 2008;63(7):793-796. doi:10.1111/j.1398-9995.2008.01705.x https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18489614/
    6. 足立厚子「金属アレルギーの対処法〜全身型金属アレルギーを中心に〜」アレルギー 2020;69(3):169-173. https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/69/3/69_169/_pdf

    本記事は検査結果の扱い方と、確かめ方の手順を整理したものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。特定の製品・サプリメントの効果を示すものでもありません。

  • 検査結果を受け取ったら、まず何から手をつけるか

    検査結果を受け取ったら、まず何から手をつけるか

    レポートは4つの欄に分かれていますが、答えている問いは1つです。報告書の最後に、こう書かれています。

    検査で測るビタミン・ミネラルは、排出経路の鍵を握る栄養素。つまり、「何が溜まっているか」だけでなく、出す力(排出力)が足りているかまでわかります。1

    入ってくるものと、出す力。4つの欄は、この2つを別々の角度から見たものです。だから「不足栄養素」と「解毒機能」は、別々の採点ではありません。

    入ってくるものと、処理して出す力の両方で体に残る量が決まることを示す図
    同じものを同じだけ食べても、体に残る量は人によって変わります。入れた量だけを数えても、いま自分の中にどれだけあるかは決まりません。

    欄ごとに、どこまで数字があるか

    4つの欄は、公的な基準や調査がどこまで存在するかが、それぞれ違います。同じ「該当あり」でも、次に何ができるかが変わります。

    欄ごとの、外にある数字
    欄 外にある公的な数字
    食品不耐性(消化難) 診療ガイドラインは完全除去を回避することを推奨度1で示している
    体内蓄積(重金属) 魚種ごとの摂食目安、水質基準、耐容週間摂取量。水銀は体内の量が半分になるまで約2ヶ月
    体内蓄積(添加物) 一日摂取許容量。日本人の実際の摂取量は、最も高いものでその17.2%
    体内蓄積(プラスチック) ない。報告書の欄も「準備中・・・」
    解毒機能 生理学として経路が確立。胆汁が重金属の主要排泄経路
    不足ビタミン・ミネラル 食事摂取基準。ただし血液で確かめられるものと、できないものがある

    欄ごとの詳しい記事は、この記事の最後にまとめています。

    並べると、プラスチックの欄だけが空いていることが見えます。これは体の側ではなく、測る技術の側の話です。

    解毒機能は、3つに分かれている

    解毒機能の欄には、総合評価のほかに腸・肝臓・腎臓それぞれのA〜Eがあります1。3つが同じとは限りません。

    この3つは、担当している出口が違います。腎臓は尿、腸は便。そして肝臓は、尿から出せないものを胆汁に乗せて腸へ送り出す側です。

    だから順番があります。肝臓が送り出しても、腸の通過が滞っていれば出ていきません。3つの評価が違うときは、出口に近いほうから見ます。

    「不足」の欄は、出す力の欄でもある

    報告書は、各栄養素について「解毒への関与」という欄を設けています1。12の栄養素すべてにあります。

    つまり不足の欄と解毒機能の欄は、同じものの両側です。処理して外へ出す反応には材料が要る。その材料が、測っている栄養素だということです。

    反応の中身は物質名まで分かっています。第I相はシトクロムP450による酸化、第II相でグルクロン酸や硫酸、アミノ酸をくっつけて水に溶ける形にする。特別な物質は一つも出てきません。糖とアミノ酸です。

    だから「不足」の欄は、12個を1つずつ埋めるものではありません。重なっている供給源を先に置くほうが早く届きます。

    報告書の「やること」を、数字に置き換える

    報告書には、欄ごとに「〜する方法」が書かれています。どれも方向だけで、数字はありません。その数字がどこにあるかを並べます。

    報告書の記述と、対応する数字
    報告書の記述 数字がある場所
    不足栄養素を補う 血液で線が引けるのはビタミンD・亜鉛・鉄・葉酸。カルシウムとマグネシウムは食品の側から
    不耐性食品を避けた食生活 全部やめない。1品目ずつ、やめて戻す。期限を先に決める
    蓄積が多いモノを避ける 入口は9種それぞれ違います。歯科金属、装身具、たばこ、缶、魚、水道
    水分をしっかり摂る 日本に水の目安量はない。見るのは渇きと尿の色。そして蛇口の最初の5分
    適度な運動で汗をかく 汗中の濃度は報告されている。ただし出どころが血液と皮膚の2つあり、分けられない
    肝機能を高める食事 上流だけ速めると中間代謝物が溜まります。出口が先です。人での試験があるものは限られます

    最後の2つは、はっきりさせておく価値があります。「汗で出す」と「肝機能を高める」は、方向としては挙げられていますが、どちらも人で確かめられた手順があるわけではありません。

    入口は、今日その場で数えられる

    結果を受け取ったあとに、いちばん早く動くのは蓄積の欄です。入口が分かっているからです。

    報告書の説明ページには、10の入口が挙げられています。水道水、大型の魚、化粧品・日焼け止め、プラスチック容器、缶、加工食品、撥水加工の生活用品、歯の治療、医療処置、喫煙1。

    このうち、思い出すのではなく、今日その場で確認できるものがあります。

    いま確認できる入口
    確認すること どこを見るか
    口の中に金属があるか 鏡。保険診療の銀歯は金12%・パラジウム20%・銀40%以上の合金
    肌に当たり続けている金属があるか 眼鏡フレーム、腕時計、バックル、ピアス
    缶の飲料を毎日飲むか この1週間の本数。公的に書かれているのは「毎食缶詰を中心にしない」まで
    大型の魚を週に何回食べるか 妊娠中は魚種ごとに目安があります。それ以外の人への制限はありません
    たばこを吸うか この1週間の本数。1本1.8〜2.8µg。吸入は肝臓を通らない
    日焼け止めが散乱剤か吸収剤か 成分表示。血中に出ることが測られているのは吸収剤のほう

    そして変えたら、2ヶ月です。厚生労働省が水銀について書いている体内半減期がその長さで、1週間で見ようとすると何も起きていないように見えます。

    ただしこの速さは物質によって100倍以上違います。カドミウムは腎皮質での半減期が20〜50年です。すでに溜まった分より、これから入る量のほうが動かせます。

    症状の一覧が当てはまったとき、どう受け取るか

    報告書には、欄ごとに「〜が悪いと?」「不足すると」という症状の一覧が添えられています。疲労感、集中力の低下、肌荒れ、眠気。

    これらは、一般の人の9割が週に何個か経験している症状です。調査では、過去7日間に症状がまったくなかった人は10.6%、経験した数の中央値は5個でした。

    実際、報告書の4つの欄は、ほとんど同じ症状を挙げています。1つの欄に当てはまったのではなく、4つ全部に当てはまります。だから当てはまったことからは、どの欄が該当するかは決まりません。

    決まるのは、上の入口の表のほうです。口の中に金属があるかどうかは、当てはまる・当てはまらないではなく、あるかないかです。

    項目ごとに、詳しく

    入口と出口の全体像は、入ってくるものと、出す力にまとめています。

    安全のための補足

    服用中の薬を、自分の判断で減らしたりやめたりしないでください。中止したときに何が起きるかまで含めて、処方した側が判断するものです。

    症状が続いている、悪化している、日常生活に支障が出ている。そういうときは、この結果を読んでいる場合ではありません。体重が意図せず減っている、発熱が続いているときも同じです。検査の結果より、いま起きていることのほうが先です。

    そして自己判断の「排出」は行わないでください。金属を出す薬は中毒と診断がついた場合の治療薬で、診断のないまま使われて死亡した例が報告されています。

    今日、決めること

    4つの欄を同時に動かそうとすると、どれも中途半端になります。今月変えるものを、1つだけ選びます。

    欄ごとの、最初の1つ
    気になった欄 今月の1つ
    食品不耐性 印の付いた中から1〜2品目だけ外して、2週間後に戻す
    体内蓄積 入口の表から、自分に当てはまるものを1つ閉じる
    解毒機能 腸・肝臓・腎臓のうち低かった1つを1週間記録する
    不足栄養素 重なっている供給源を先に置く。12個を1つずつ埋めない

    どれを選んでも構いません。選ばないことだけが、何も変わらない選択です。

    そして結果は、いまの状態の記録です。水銀なら体内の量が半分になるまで約2ヶ月。今月変えたことは、来月以降の数字の側にあります。

    参考文献・参考資料

    1. RESONA-LAB 検査結果報告書(人用・試供品サンプル)の記載による。報告書の見本は公式サイトで公開されています https://resona-lab.com/humans

    本記事は検査結果報告書の記載事項の整理であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。検査は疾病の診断や治療を目的とするものではなく、健康管理の参考情報を提供するものです。特定の製品・サプリメントの効果を示すものでも、使用を勧めるものでもありません。